RPV外で採取された燃料デブリ試料の分析結果(微細構造、放射性核種組成,元素組成)
ナビゲーションに移動
検索に移動
概要
B系ループ蒸気発生器の上部配管シート(図1)から採取した粒子状の燃料デブリ試料(B系ループの冷却水ポンプが稼働していた事故後174~192分の間に移行したものと推定)について、微細構造、放射性核種組成、元素組成、構成相を分析。[1][2]
- 微細構造:UO2破片、Zry破片、UO2/ZrO2混合物などから構成。粒子成長、気孔のサイズ、UO2やAg-In-Cd制御棒の溶融の有無、U–Zr–O三元系の微細構造などの情報から、到達温度を推定。
- 放射性核種組成:中~高揮発性核種(137,134Cs, 106Ru, 125Sb)は粒径の小さい粒子に保持されやすい傾向にあり、これらの核種についてはUO2燃料から放出され、比表面積の大きな(粒径の小さい)粒子表面に再堆積した可能性。
- 元素組成:U, Zr, Fe, Cr, Ni, Ag, In, Cdなどを定量。Zrの組成は炉心平均よりも低く(5分の1程度)、U-Zr-O酸化物デブリが生成する前にZrをベースとする溶融金属が下部に移行したことを示唆。
燃料デブリ・堆積物の生成プロセスの検討に資する情報
- RPV外に堆積した燃料デブリの微細構造や主要元素組成などの性状データに基づき、RPV外への放出のタイミングを考慮しつつ、RPV内における温度条件や炉心物質の移行挙動を類推している。
関連項目
参考文献
- ↑ 1.0 1.1 Hayner G.O., and Hardt T.L. (1989): “TMI-2 B-Loop steam generator tube sheet loose debris examination and analysis”, GEND-INF-090.
- ↑ Hayner G.O., and Hardt T.L. (1989a): “Three Mile Island Unit 2 B-Loop steam generator tubesheet loose debris examination and analysis”, Nuclear Technology, 87:1, 191-195.