RPV下部ヘッドで採取された燃料デブリ試料の分析結果(微細構造)
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概要
下部ヘッドから採取した岩石状試料の分析結果と、それに基づく下部ヘッドへのリロケーション機構・降温過程の推定。[1]
- 下部ヘッドから採取した岩石状試料の分析結果
- (U,Zr)O2の結晶粒が析出し、粒界にAl-Fe-Cr-O系の共晶構造を形成。(U,Zr)O2の結晶粒は概ね均質で(図1左)、融体が急冷されたものと推定。結晶粒全体がUリッチな相とZrリッチな相に分離している領域もあり(図1右)、緩やかに冷却されたことを示唆。
- 共晶構造はボイド近傍にも集中しており(図2)、融点の低い(1625K~1645K)液体であったと考えられる。
- 下部ヘッドへのリロケーション機構
- 事故発生から224分後にクラスト側部が溶融し、バッフル板を通って溶融炉心の一部が下部に移行(既知)。
- 移行中に融点の高い(U,Zr)O2が凝固。この時の冷却速度は、二相分離をもたらす程度には緩やかであったと推定。
- 融点の低いFe-Cr-Al-O系の融体と、 (U,Zr)O2の固液混合状態にあり、ステンレス鋼の融点(1670K)と同程度の温度であったと推定。⇒下部構造材の損傷が軽微であったことと整合。
燃料デブリ・堆積物の生成プロセスの検討に資する情報
- 微細構造から、下部ヘッドへのリロケーション機構及び降温過程を推定。
- 融点が低いFe-Cr系の融体中にU-Zr系酸化物が析出し、固液混合の状態で移行したことを示唆。
関連項目
参考文献