LFCMの分析結果とその生成環境の推定結果

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図1 事故後のLFCMの分布状況(参考文献[1] Fig.6,12)
図2 Siマトリックス中のUリッチな相(参考文献[1] Fig.11)
図3 UO2-SiO2-ZrO2三成分系の液相線投影(参考文献[1] Fig.25)

LFCM試料の分析結果、外観、熱解析等のデータに基づき、LFCMの生成環境の推移が考察されている。[1]

  • 建屋(図1)から採取したLFCM試料の特徴
    • Siリッチなガラス質のマトリックス中に次のような様々な結晶が析出(図2)。
    • Uリッチな酸化物:Zr~2-4 wt%
    • Zrリッチな酸化物:m- or t-ZrO2. U:Zr~1:7
    • チェルノビライト:Uを少量(~<12wt%)含むジルコン相
    • 溶融金属:球状
  • LFCMの生成環境の推移
    • 爆発~数秒:燃料は瞬間的に2600℃まで到達。爆発に伴い、周辺コンクリートが炉心内に導入される。
    • ~10h:崩壊熱により炉心の過熱が進み、U-Zr-O系(~1900℃)、UO2-ZrO2-SiO2系(>1500℃。図3)のメルトの形成が進む。
    • ~11h:炉心内のメルトがサブリアクタ領域に移行し、垂直流の起点を作る。爆発から65h後には水平流も発生。
    • ~83h:LFCMの凝固が進行。内部は1600-1700℃で推移。爆発から120h後には完全に凝固。


燃料デブリ・堆積物の生成プロセスの検討に資する情報 ChNPP4の建屋内に分布するLFCMは、爆発後数日かけてゆっくりと加熱・冷却を経たものであり、その微細構造においては、(Zr,U)SiO4の形成や正方晶系(Zr,U)O2の形成など、1700℃程度での特徴が表れているように見える。



関連項目

チェルノブイリ原子力発電所事故
既往知見

参考文献

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 Pazukhin, E.M. (1994): “Fuel-containing lavas of the Chernobyl NPP fourth block: topography”, physicochemical properties, and formation scenario, Radiochemistry, 36, 109-154.