「今後の内部調査に向けて、実デブリサンプルの採取に向けて(開発中)」の版間の差分

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'''<big>表1 RPV内部の調査部位、調査方法・項目、現状推定、調査の目的のまとめ</big>'''
'''<big>表1 RPV内部の調査部位、調査方法・項目、現状推定、調査の目的のまとめ</big>'''
[[ファイル:調査部位.png|左|サムネイル|1100x1100ピクセル|'''表1 RPV内部の調査部位、調査方法、調査項目、調査目的、及び、現状推定''']]


{| class="wikitable"
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!<big>''' 部位、調査方法 '''</big>
!<big>'''主な構造物・堆積物'''</big>
!'''<big>破損状態に関する現状での推定</big>'''
!'''<big>調査項目</big>'''
!'''<big>調査の目的</big>'''
|-
|'''<big>RPV内の上部構造物</big>'''
〇炉心側から画像調査、線量測定
〇残留構造物のスミア採取
〇破損の痕跡があった場合、接近調査
〇付着物があった場合、サンプリング
〇調査装置のスミア採取
|〇気水分離器
〇シュラウドヘッド
〇支持格子
〇スプレイノズル
〇スパージャ
|〇上部構造物はほぼ残留と推定
〇支持格子等に溶融の痕跡、付着物がある可能性
|〇本来位置からの変位
〇構造材表面の溶融・凝固・付着などの痕跡
〇同、腐食状態
〇炉心上部での線量分布
〇構造材表面や調査装置のスミアによる、U粒子の探索、付着成分の同定
|〇事故時の上部構造材の健全性確認
〇事故時のピーク温度推定
〇海水影響
〇FPと核物質の移行・付着ふるまい
〇事故時の化学環境、U粒子、FP、ホウ素の移行・付着ふるまい
|-
|'''<big>本来、炉心があった部位</big>'''
'''<big>炉心支持板支持金具があった部位を含む</big>'''
〇炉心中央から上下周方向を画像観察、線量測定
〇堆積物があった場合、接近調査
〇同、サンプリング
〇調査装置のスミア採取
|# 炉心外周底部に残留の可能性
〇燃料集合体
〇チャンネルボックス
〇制御棒ブレード
<nowiki>#</nowiki>炉心支持板部位に残留の可能性
〇燃料集合体の下部構造物
〇炉心支持金具
〇炉心支持板
|〇炉心部にはほとんど残留物がないと推定
(ミューオン調査結果に基づく推定)
〇炉心周辺底部に切り株燃料集合体が残留している可能性
〇炉心支持板、炉心支持金具等が一部残留している可能性
〇1,2,3号機で、炉心から下部プレナムへのデブリ移行
パスが異なっていた可能性
|〇残留物(切り株燃料集合体、炉心支持板等)の有無
〇炉心領域での線量分布
<u># 残留物があった場合、</u>
〇マクロな堆積・残留状態、堆積物分布(3D画像)
〇堆積・残留物表面の溶融・凝固などの痕跡
〇同、腐食状態
〇同、線量分布
〇堆積・付着物サンプルや調査装置スミアによる、主成分(炉心物質)の物理化学的な状態、FP、ホウ素、海水成分など、その他含有成分の同定
|〇事故シナリオ、デブリふるまい
〇FPと核物質の移行・付着ふるまい
<u>さらに、</u>
〇事故シナリオ、デブリふるまい
〇事故時のピーク温度推定
〇海水影響、水蒸気酸化の進展程度
〇FPと核物質の移行・付着ふるまい
〇事故時の化学環境、U/Zr/Feの相互作用の進展、FP、ホウ素のふるまい
|-
|'''<big>シュラウド(内側表面)</big>'''
〇炉心中央側から全周を画像観察、線量測定
〇シュラウドのスミア採取
〇付着物や破損の痕跡があった場合、接近調査
〇付着物や破損個所周辺のサンプリング
〇調査装置のスミア採取
|〇シュラウド
|〇1,2,3号機で、炉心から下部プレナムへのデブリ移行
パスが異なっていた可能性
〇1号機では、デブリがシュラウド破損し、下部プレナムに移行した可能性
(TMI-2事故との類似性)
|〇本来位置からの変位
〇シュラウド表面の溶融・凝固・付着などの痕跡
〇同、腐食状態
〇同、線量分布
〇付着物や調査装置スミアによる、U粒子の探索、付着成分の同定
<u># 破損孔があった場合、</u>
〇破損孔周辺、破損孔内の堆積・残留物の状態
〇同、線量分布
〇堆積・付着物サンプルや調査装置スミアによる、主成分(炉心物質)の物理化学的な状態、FP、ホウ素、海水成分など、その他含有成分の同定
|〇事故時のシュラウド健全性確認
〇事故時のピーク温度推定
〇海水影響
〇FPと核物質の移行・付着ふるまい
〇事故時の化学環境、U粒子、FP、ホウ素の移行・付着ふるまい
|-
|'''<big>シュラウド(RPV壁との隙間)</big>'''
〇遠隔調査
〇破損孔があった場合、破損孔内部の侵入調査
〇破損孔内部堆積物のサンプリング
〇調査装置のスミア採取
|〇冷却水循環や計測用の機器
|〇同上
|〇遠隔測定による、破損状態の確認
<u># 破損孔があった場合、上と同じ</u>
|〇事故時のシュラウド健全性確認
<u>さらに、</u>
〇デブリ移行経路、移行量の解明
〇デブリ移行経路の解明、デブリ移行時の化学環境、ピーク温度の推定
〇ピーク温度の推定、周辺の健全性確認
〇事故時の化学環境、デブリ状態、FP、ホウ素の移行・付着ふるまい
|-
|'''<big>下部プレナム</big>'''
'''<big>本来の炉心支持板の下</big>'''
〇炉心中央側から画像観察、線量測定
〇堆積・破損物の分布、3D画像
〇堆積・破損物の接近調査
〇堆積物のサンプリング
〇残留構造物があった場合、スミア採取
〇調査装置のスミア採取
|#燃料集合体の一部
〇切り株燃料集合体、その崩落物
<nowiki>#</nowiki>構造物(鋼材)
〇炉心支持板
〇炉心支持金具
〇CRGT
<nowiki>#</nowiki>デブリ(破損・溶融した炉心物質)
〇ルースデブリ
〇多孔質デブリ(再溶融・凝固物)
〇金属デブリ
〇スラリー、スラッジ
|
〇1,2,3号機で、炉心から下部プレナムへのデブリ移行
パスが異なっていた可能性
〇1,2,3号機で、下部プレナム堆積後の、デブリ再溶融
過程、デブリと下部プレナムの構造物との相互作用過程が異なっていた可能性
|〇構造物の破損・デブリの堆積状態の確認(3D画像)
〇RPV容器底部の変位・変形、破損孔の位置・サイズ
〇各種堆積物のサンプル分析(特に界面領域)による、主成分(炉心物質)の物理化学的な状態、FP、ホウ素、海水成分など、その他含有成分の同定
|〇推定図の更新、事故シナリオ、デブリふるまいの理解精緻化
〇事故時のRPV底部健全性確認、事故シナリオ、デブリふるまい
〇デブリ移行・再溶融・RPV破損のメカニズム解明。
〇事故時の化学環境、U/Zr/Feの相互作用の進展、FP、ホウ素のふるまい
|}
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2024年4月2日 (火) 17:13時点における版

 日米CNWG(Japan-US Civil Nuclear Energy Research and Development Working Group)における、1F事故解析分野での情報交換(1F Forensics Expert Meeting)での米国側提案を踏まえて、東京電力HDは、1F1~3号機について、内部調査が望まれる部位と調査項目を整理している[1]。ここでは、それを参考にしつつ、1F事故進展に関する最近の進捗を考慮して、デブリ/FPふるまいに係る内部調査の部位と項目を整理した。

RPV内部の調査、実デブリサンプル採取に向けて(1~3号機共通)

・この項目では、1F1~3号機に関する、RPV内事故フェーズの理解に関する最近の進捗を考慮して、デブリ/FPふるまいんい係るRPV内部の調査部位と調査項目を整理した。

・以下では、それぞれの部位ごとの調査・観測項目と、その目的を整理した。さらに、RPV内デブリふるまいで特に重要な2課題について、内部調査とサンプル分析で拡充したい知見を整理した。

RPV内部調査での、デブリ/FPふるまいに係る調査部位と調査項目

・1~3号機共通で、RPV内部調査・サンプリングの注目部位は、①RPV内の上部構造物、②シュラウド、③本来炉心があった部位(本来炉心支持板や支持金具があった部位を含む)、④下部プレナム(本来炉心支持板があった部位の下)、に大別できる(図1)。

表1に、RPV内部の調査部位、調査方法・項目、現状推定、調査の目的、についてまとめて示す。

図1 RPV内部の主な調査部位


















表1 RPV内部の調査部位、調査方法・項目、現状推定、調査の目的のまとめ

表1 RPV内部の調査部位、調査方法、調査項目、調査目的、及び、現状推定

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RPV内でのデブリふるまいにおける重要2課題

① 炉心部でのデブリいったん堆積~下部プレナムへのデブリ移行

• いったん堆積したデブリの堆積状態(堆積物による水蒸気透過度の程度)、堆積物中での溶融プール形成・拡大の有無

• デブリ溶融プール中の化学状態(U-Zr-Fe-O系メルトでの、(亜)酸化度、組成、温度)

• デブリ移行シナリオ、以降経路(TMI-2型、あるいは、BWRドレナージ型)

② 下部プレナムでのデブリ再溶融~RPV破損・デブリのペデスタル内移行開始

• 崩落したデブリが、下部プレナム、炉心支持板周辺で、いったん堆積した状態の痕跡調査

• デブリ溶融過程(金属デブリと酸化物デブリの相互作用、鋼材の溶融)

• デブリ溶融状態((亜)酸化度、金属/酸化物メルトの成層化程度、温度、粘性、RPV内壁との間のクラスト層の状態)

• デブリとRPVとの伝熱、デブリによるRPV局所破損の有無

• RPV破損孔の位置、サイズ

• ペデスタル内への崩落時の、デブリ温度、酸化度、粘性

デブリサンプリングへの期待

• 多様なサンプルの採取(g規模で、外観や堆積状態の異なるデブリをできるだけ多種類採取)

• ボーリング調査:深さ方向調査(堆積物の深さ方向分布、特に、異なる堆積物の界面サンプル) # ボーリング困難な場合でも、深さ方向のサンプリングが採取されるのが望ましい、

参考:重要課題①( 炉心部でのデブリいったん堆積~下部プレナムへのデブリ移行)について

1号機(炉心部でのデブリ崩落~下部プレナムへのデブリ移行シナリオ)

• いったん堆積したデブリの堆積


図1 1号機でのRPV内デブリふるまいシナリオ






















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参考文献

[1] https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2022/08/4-1.pdf