「今後の内部調査に向けて、実デブリサンプルの採取に向けて(開発中)」の版間の差分

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=== RPV内でのデブリふるまいにおける重要2課題 ===
=== RPV内でのデブリふるまいにおける、重要2課題 ===


==== ① 炉心部でのデブリいったん堆積~下部プレナムへのデブリ移行 ====
==== ① デブリいったん堆積(炉心部)~デブリ溶融プールの形成・拡大(炉心部)~下部プレナムへのデブリ移行(溶融物or高粘性デブリ) ====
• いったん堆積したデブリの堆積状態(堆積物による水蒸気透過度の程度)、堆積物中での溶融プール形成・拡大の有無
〇 1F1~3号機では、炉心支持板直上で、崩落した炉心物質がいったん堆積したと推定されている。しかし、炉心物質の崩落に至る過程が1~3号機で異なっている('''以下の参考資料参照''')。
 
* 1号機では、RPV内高圧条件で、冷却水水位が徐々に低下したと推定されている。従って、炉心物質は、水蒸気潤沢雰囲気にさらされていたと推定されている。
* 2号機では、SRV弁開操作により冷却水の減圧沸騰が発生し、以降、制御棒溶落~燃料棒崩落の初期までは、RPV内が低圧の水蒸気枯渇条件で維持されたと推定されている。また、それ以降でも、炉心の上部では、燃料崩落まで水素濃度の高い条件が継続したと推定されている。
* 3号機では、炉心の上部で冷却水の水位が徐々に低下して炉心が露出し、一部燃料溶融が開始された段階で、ARD作動により冷却水の減圧沸騰が発生し、以降、炉心下部での制御棒溶落~燃料棒崩落の初期段階は、低圧の水蒸気枯渇条件で進展したと推定されている。
 
〇 燃料被覆管の酸化が進みやすい条件では、燃料棒の形状が比較的高温まで維持されやすく、このために燃料ペレットと燃料被覆管の界面で形成されるU-Zr-Oメルトが維持・拡大しやすい。U-Zr-Oメルトが成長すると、崩落時のデブリが塊状になりやすい。塊状のデブリでは、崩落時にその内部の酸化が進みにくいと推定される。燃料被覆管の酸化が進みにくい条件では、比較的低い温度でU-Zr-Oメルトが噴出し、燃料棒の形状が変化する可能性が高い。この場合には、デブリは粒子状になりやすい。粒子状のデブリでは、崩落時にその酸化が進みやすいと推定される。
 
* 1号機では、水蒸気潤沢条件で燃料被覆管の表面酸化が進んだため、最も高温まで燃料棒の形状が維持され、燃料棒内部でのU-Zr-Oメルト成長が最も進んだと推定されている。このため、崩落直前までのデブリ酸化は進みやすいが、崩落・堆積以降のデブリ酸化は進みにくかった可能性が推定されている。
* 2号機では、水蒸気枯渇条件で、初期の燃料被覆管酸化が進んだため、比較的低い温度条件で、燃料棒の崩落が進んだと推定されている。このため、崩落直前までのデブリ酸化度は比較的低いが、崩落・堆積途中で酸化が進んだ可能性が考えられる。
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デブリの堆積状態(堆積物による水蒸気透過度の程度)、堆積物中での溶融プール形成・拡大の有無


• デブリ溶融プール中の化学状態(U-Zr-Fe-O系メルトでの、(亜)酸化度、組成、温度)
• デブリ溶融プール中の化学状態(U-Zr-Fe-O系メルトでの、(亜)酸化度、組成、温度)

2024年4月2日 (火) 17:47時点における版

 日米CNWG(Japan-US Civil Nuclear Energy Research and Development Working Group)における、1F事故解析分野での情報交換(1F Forensics Expert Meeting)での米国側提案を踏まえて、東京電力HDは、1F1~3号機について、内部調査が望まれる部位と調査項目を整理している[1]。ここでは、それを参考にしつつ、1F事故進展に関する最近の進捗を考慮して、デブリ/FPふるまいに係る内部調査の部位と項目を整理した。

RPV内部の調査、実デブリサンプル採取に向けて(1~3号機共通)

・この項目では、1F1~3号機に関する、RPV内事故フェーズの理解に関する最近の進捗を考慮して、デブリ/FPふるまいんい係るRPV内部の調査部位と調査項目を整理した。

・以下では、それぞれの部位ごとの調査・観測項目と、その目的を整理した。さらに、RPV内デブリふるまいで特に重要な2課題について、内部調査とサンプル分析で拡充したい知見を整理した。

RPV内部調査での、デブリ/FPふるまいに係る調査部位と調査項目

・1~3号機共通で、RPV内部調査・サンプリングの注目部位は、①RPV内の上部構造物、②シュラウド、③本来炉心があった部位(本来炉心支持板や支持金具があった部位を含む)、④下部プレナム(本来炉心支持板があった部位の下)、に大別できる(図1)。

表1に、RPV内部の調査部位、調査方法・項目、現状推定、調査の目的、についてまとめて示す。

図1 RPV内部の主な調査部位

















表1 RPV内部の調査部位、調査方法、調査項目、調査目的、及び、現状推定
























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RPV内でのデブリふるまいにおける、重要2課題

① デブリいったん堆積(炉心部)~デブリ溶融プールの形成・拡大(炉心部)~下部プレナムへのデブリ移行(溶融物or高粘性デブリ)

〇 1F1~3号機では、炉心支持板直上で、崩落した炉心物質がいったん堆積したと推定されている。しかし、炉心物質の崩落に至る過程が1~3号機で異なっている(以下の参考資料参照)。

  • 1号機では、RPV内高圧条件で、冷却水水位が徐々に低下したと推定されている。従って、炉心物質は、水蒸気潤沢雰囲気にさらされていたと推定されている。
  • 2号機では、SRV弁開操作により冷却水の減圧沸騰が発生し、以降、制御棒溶落~燃料棒崩落の初期までは、RPV内が低圧の水蒸気枯渇条件で維持されたと推定されている。また、それ以降でも、炉心の上部では、燃料崩落まで水素濃度の高い条件が継続したと推定されている。
  • 3号機では、炉心の上部で冷却水の水位が徐々に低下して炉心が露出し、一部燃料溶融が開始された段階で、ARD作動により冷却水の減圧沸騰が発生し、以降、炉心下部での制御棒溶落~燃料棒崩落の初期段階は、低圧の水蒸気枯渇条件で進展したと推定されている。

〇 燃料被覆管の酸化が進みやすい条件では、燃料棒の形状が比較的高温まで維持されやすく、このために燃料ペレットと燃料被覆管の界面で形成されるU-Zr-Oメルトが維持・拡大しやすい。U-Zr-Oメルトが成長すると、崩落時のデブリが塊状になりやすい。塊状のデブリでは、崩落時にその内部の酸化が進みにくいと推定される。燃料被覆管の酸化が進みにくい条件では、比較的低い温度でU-Zr-Oメルトが噴出し、燃料棒の形状が変化する可能性が高い。この場合には、デブリは粒子状になりやすい。粒子状のデブリでは、崩落時にその酸化が進みやすいと推定される。

  • 1号機では、水蒸気潤沢条件で燃料被覆管の表面酸化が進んだため、最も高温まで燃料棒の形状が維持され、燃料棒内部でのU-Zr-Oメルト成長が最も進んだと推定されている。このため、崩落直前までのデブリ酸化は進みやすいが、崩落・堆積以降のデブリ酸化は進みにくかった可能性が推定されている。
  • 2号機では、水蒸気枯渇条件で、初期の燃料被覆管酸化が進んだため、比較的低い温度条件で、燃料棒の崩落が進んだと推定されている。このため、崩落直前までのデブリ酸化度は比較的低いが、崩落・堆積途中で酸化が進んだ可能性が考えられる。

デブリの堆積状態(堆積物による水蒸気透過度の程度)、堆積物中での溶融プール形成・拡大の有無

• デブリ溶融プール中の化学状態(U-Zr-Fe-O系メルトでの、(亜)酸化度、組成、温度)

• デブリ移行シナリオ、以降経路(TMI-2型、あるいは、BWRドレナージ型)

② 下部プレナムでのデブリ再溶融~RPV破損・デブリのペデスタル内移行開始

• 崩落したデブリが、下部プレナム、炉心支持板周辺で、いったん堆積した状態の痕跡調査

• デブリ溶融過程(金属デブリと酸化物デブリの相互作用、鋼材の溶融)

• デブリ溶融状態((亜)酸化度、金属/酸化物メルトの成層化程度、温度、粘性、RPV内壁との間のクラスト層の状態)

• デブリとRPVとの伝熱、デブリによるRPV局所破損の有無

• RPV破損孔の位置、サイズ

• ペデスタル内への崩落時の、デブリ温度、酸化度、粘性

デブリサンプリングへの期待

• 多様なサンプルの採取(g規模で、外観や堆積状態の異なるデブリをできるだけ多種類採取)

• ボーリング調査:深さ方向調査(堆積物の深さ方向分布、特に、異なる堆積物の界面サンプル) # ボーリング困難な場合でも、深さ方向のサンプリングが採取されるのが望ましい、

参考:重要課題①( 炉心部でのデブリいったん堆積~下部プレナムへのデブリ移行)について

1号機(炉心部でのデブリ崩落~下部プレナムへのデブリ移行シナリオ)

• いったん堆積したデブリの堆積


図1 1号機でのRPV内デブリふるまいシナリオ






















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参考文献

[1] https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2022/08/4-1.pdf