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|+更新履歴
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|1
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|2022/04/25
|2025/2/19
|新規
|新規
|2PEN2101 FE-SEM/WDXの分析結果の登録(IRID報告書より転記)。
|FE-SEM/WDX分析結果の掲載(出典<ref name="JAEA23a">令和3年度福島第一原子力発電所の炉内付着物サンプル等の分析,日本原子力研究開発機構,JAEA-Data/Code 2023-005.</ref>)
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|旧ページは [[Gr1:2PEN2101(2021)SEM-WDX|こちら(アクセス限定:Gr1)]]
|原稿作成:佐々木(JAEA)<br>
wiki転記:池内(JAEA)
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|2
|2022/10/26
|修正
|FE-SEM/WDXの分析結果説明文の修正
*周辺からの影響の明記。
|議論のページを参照。
|原稿作成:佐々木(JAEA)<br>
wiki転記:池内(JAEA)
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|3
|2022/11/15
|修正
|FE-SEM/WDXの分析結果説明文の修正
*「定性分析」と「元素マッピング」、「点分析」と「面分析」の表現の運用の見直し
|議論のページを参照。
|佐々木・池内(JAEA)
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|4
|2022/11/24
|承認
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|池内(JAEA)
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図(2PEN2101)-3aに,2PEN2101のFE-SEM用試料の全体SEIを示す。試料は繊維質であり,表面に付着物が確認できる。表面の付着物が多い箇所を中心に,Uの面分析を連続的に実施してU含有粒子の探索を行った。確認されたU含有粒子については,粒子上とその周辺での点分析により全波長域での特性X線の波長プロファイルを取得して特性X線ピークを有する元素の検出(定性分析)を行った後,面分析にて過去分析を実施したU,Pu,Cs,Sb,Zr,Zn,Fe,Cr,Ni,Mo,Siおよび前述の点分析で検出された元素の分布を確認した(元素マッピング)。
==試料蒸着処理==
 
切り出した試料のカーボン蒸着処理を行い、FE-SEM用の分析ステージに乗せた様子を図1に示す。


図(2PEN2101)-4aに2PEN2101のWDX点分析による波長プロファイル及び検出元素を,図(2PEN2101)-4bにWDX面分析によるU,Pu,Cs,Sb,Zr,Zn,Fe,Cr,Ni,Mo,Si,Ca,Al,Ti,Cuの特性X線像を示す。2PEN2101には,約1 [μm]径のU含有粒子が確認された。U含有粒子上の点分析による波長プロファイルでは、U,Pu,Fe,Zn,Ti,Alのピークが検出された。また,周辺の点分析ではZn,Cu,Ti,Caのピークが検出された。面分析の結果,U含有粒子と同じ個所にはPuが確認されたがZrは確認されず,U含有粒子の周辺にはFe,Ni,Zn,Moが粒状に確認され,Ca,Al,Ti,Cuも見られている。これらの結果から、U含有粒子上の点分析による波長プロファイル上で検出されたFe,Zn,Ti,Alについては、U含有粒子の周辺の領域からの影響を受けていると推測される。
<gallery mode="packed" heights=400px>
Image:2PEN2101-sem-1.jpg|'''図1 2PEN2101 カーボン蒸着処理後、FE-SEM用の分析ステージに乗せた様子'''
</gallery>


また,Csについては,U含有粒子周辺で特性X線が検出されているが,定性分析においてUが測定されている個所では,Cs周辺のバックグラウンド値が上昇する傾向があり,面分析ではこの傾向と分離ができないこと,令和3年度の試料においてはいずれの試料においても定性分析で明確にCsのピークが確認されなかったため,参考データとした。Csが燃料デブリに含有されるかどうかは,燃料デブリ取扱い上の大きな検討課題であり,定量を行うには,今後何らかの方法を検討する必要である。
==全体SEI画像==


以上より、U含有粒子上ではPuが検出され、U含有粒子周辺にはFe、Ni、Zn、Mo、Ca、Al、Ti、Cuが検出された。
FE-SEM用試料の全体SEIを図2に示す。試料は繊維質であり、表面に付着物が確認できる。表面の付着物が多い箇所を中心に、Uの面分析を連続的に実施してU含有粒子の探索を行った。


<gallery mode="packed" heights=450px>
<gallery mode="packed" heights=700px>
Image:Gr1:SEM2PEN2101-1.jpg|図(2PEN2101)-3a<br>2PEN2101 FE-SEM観察結果
Image:2PEN2101-sem-2.jpg|'''図2 2PEN2101 全体SEI'''
Image:Gr1:SEM2PEN2101-2.jpg|図(2PEN2101)-4a<br>2PEN2101 WDX 定性分析(点分析)結果
Image:Gr1:SEM2PEN2101-3.jpg|図(2PEN2101)-4b<br>2PEN2101 WDX 元素マッピング(面分析)結果
</gallery>
</gallery>
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別掲注釈:WDX面分析について


1) WDXでの元素の判別は、特性X線のピークカウントがバックグラウンドの3倍以上のとき。面分析はバックグラウンドは1~2カウントであり、5カウント以上の場合を有意なデータとする。
==確認されたU含有粒子==
 
U含有粒子の探索によって確認されたU含有粒子を図3に示す。約1μm径のU含有粒子が確認された。


2) ピークカウントがバックグラウンドの3倍に達せず、参考データとした元素を※を付けた。
<gallery mode="packed" heights=500px>
Image:2PEN2101-sem-3.jpg|'''図3 2PEN2101 U含有粒子'''
</gallery>


3) CsはUの特性X線ピークの個所でバックグラウンドレベルが上昇する傾向があるため、参考データとした。
==点分析による波長プロファイル及び検出元素==
図4~7にWDX点分析の概略位置、測定された波長プロファイル及び検出元素を示す。<br/>
U含有粒子上の点分析による波長プロファイルでは、U、Pu、Fe、Zn、Ti、Alのピークが検出された。また、周辺の点分析ではZn、Cu、Ti、Caのピークが検出された。<br/>


4)各元素の特性X線は以下のピークを用いた。
<gallery mode="packed" heights=700px>
Image:2PEN2101-sem-4-point location.jpg|'''図4 2PEN2101 WDX点分析の概略位置'''</br>点A:U含有粒子上 点B:U含有粒子周辺の粒子 点C:スミア繊維上
</gallery>


U :3.907A(Mα)   Pu: 3.505A(Mβ) Cs: 2.892A(Lα) Sb: 3.439A(Lα)
<gallery mode="packed" heights=400px>
Image:2PEN2101-sem-4-point A.jpg|'''図5 2PEN2101 波長プロファイル及び検出元素 点A:U含有粒子上'''
Image:2PEN2101-sem-4-point B.jpg|'''図6 2PEN2101 波長プロファイル及び検出元素 点B:U含有粒子周辺の粒子'''
Image:2PEN2101-sem-4-point C.jpg|'''図7 2PEN2101 波長プロファイル及び検出元素 点C:スミア繊維上'''
</gallery>


Zr: 6.073A(Lα)   Fe: 1.937A(Kα)  Cr: 2.291A(Kα)  Ni: 1.657A(Kα)
==面分析による特性X線像==
図8にWDX面分析によるU、Pu、Cs、Sb、Zr、Zn、Fe、Cr、Ni、Mo、Si、Ca、Al、Ti、Cuの特性X線像を示す。<br/>
U含有粒子と同じ箇所にはPuが確認された。また、U含有粒子の周辺にはFe、Ni、Zn、Moが粒状に確認され、Ca、Al、Ti、Cuも確認された。<br/>
これらの結果から、U含有粒子上の点分析による波長プロファイル上で検出されたFe、Zn、Ti、Alについては、U含有粒子の周辺の領域からの影響を受けていると推測される。


Zn: 1.436A(Kα)    Mo: 5.409A(Lα)  Si: 7.127A(Kα)  Ca: 3.355A(Kα)
<gallery mode="packed" heights=800px>
Image:2PEN2101-sem-6-5.jpg|'''図8 2PEN2101 面分析による特性X線像'''<br/>(注)・ 各元素の特性X線像の取得に用いた波長については[[analysismethod-2021-JAEA#FE-SEM/WDX|分析方法(JAEA 2021年度 受入サンプル共通) FE-SEM/WDX]]を参照。<br/>・ 有意でないと判定した元素は※を付し、括弧書きとした。元素を有意に含むか否かの判定の考え方については[[analysismethod-2021-JAEA#FE-SEM/WDX|分析方法(JAEA 2021年度 受入サンプル共通) FE-SEM/WDX]]を参照。
</gallery>


Al: 8.312A(Kα)    Ti: 2.741A(Kα)  Cu: 1.542A(Kα)
==SEM/WDX分析からのU含有粒子上及びU含有粒子周辺の元素検出結果==
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以上より、U含有粒子上ではPuが検出され、U含有粒子周辺にはFe、Ni、Zn、Mo、Ca、Al、Ti、Cuが検出された。

2025年3月17日 (月) 17:13時点における最新版

更新履歴
No 日付 分類 内容 備考
1 2025/2/19 新規 FE-SEM/WDX分析結果の掲載(出典[1] 旧ページは こちら(アクセス限定:Gr1)

試料蒸着処理

切り出した試料のカーボン蒸着処理を行い、FE-SEM用の分析ステージに乗せた様子を図1に示す。

全体SEI画像

FE-SEM用試料の全体SEIを図2に示す。試料は繊維質であり、表面に付着物が確認できる。表面の付着物が多い箇所を中心に、Uの面分析を連続的に実施してU含有粒子の探索を行った。

確認されたU含有粒子

U含有粒子の探索によって確認されたU含有粒子を図3に示す。約1μm径のU含有粒子が確認された。

点分析による波長プロファイル及び検出元素

図4~7にWDX点分析の概略位置、測定された波長プロファイル及び検出元素を示す。
U含有粒子上の点分析による波長プロファイルでは、U、Pu、Fe、Zn、Ti、Alのピークが検出された。また、周辺の点分析ではZn、Cu、Ti、Caのピークが検出された。

面分析による特性X線像

図8にWDX面分析によるU、Pu、Cs、Sb、Zr、Zn、Fe、Cr、Ni、Mo、Si、Ca、Al、Ti、Cuの特性X線像を示す。
U含有粒子と同じ箇所にはPuが確認された。また、U含有粒子の周辺にはFe、Ni、Zn、Moが粒状に確認され、Ca、Al、Ti、Cuも確認された。
これらの結果から、U含有粒子上の点分析による波長プロファイル上で検出されたFe、Zn、Ti、Alについては、U含有粒子の周辺の領域からの影響を受けていると推測される。

SEM/WDX分析からのU含有粒子上及びU含有粒子周辺の元素検出結果

以上より、U含有粒子上ではPuが検出され、U含有粒子周辺にはFe、Ni、Zn、Mo、Ca、Al、Ti、Cuが検出された。

  1. 令和3年度福島第一原子力発電所の炉内付着物サンプル等の分析,日本原子力研究開発機構,JAEA-Data/Code 2023-005.