TMI-2での事故進展に伴う物質移行挙動

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概要

事故時のRPV内圧力推移及び想定される損傷炉心形状(参考文献[1] Fig.6,8-10,12,14)

TMI-2事故後の炉心形状、事故時の計測データ、種々のメカニズム解析に基づく炉心物質移行の時系列の推定結果。[1]

  • 0~100分:一次冷却水の部分的な喪失。炉心冷却自体は継続。
  • 100~174分:一次冷却水ポンプの停止、冷却水の沸騰と炉心の露出開始、炉心の過熱、Zry酸化、下部クラストの形成。
  • 174~180分:一次冷却水B系ループの起動、周辺部の燃料集合体の冷却、上部デブリベッドの形成、Zry酸化が加速、
  • 180~200分:冷却水の沸騰とドライアウト継続、溶融プールの成長。
  • 200~224分:高圧注水系起動、上部デブリ層の急冷、溶融プールの成長は継続。
  • 224~226分:側部クラストが破れ溶融プールの一部がRPV下部ヘッドに移行。
  • 226分~15.5時間:RPV底部の加熱・クリープの可能性。下部ヘッドにおけるデブリベッドの冷却、一次冷却系の循環冷却の確立。


燃料デブリ・堆積物の生成プロセスの検討に資する情報

  • TMI-2の場合、低融点の構造物(Zry、SUS、Ag-In-Cdなど)が先に流下し、炉心下部の水位面近傍で凝固することによりクラストが形成され、これが坩堝の役割を果たすことで溶融プール形成の起点となったと考えられている。1F2号機の場合、有効燃料部に水位を形成していなかった可能性があり、大規模な溶融プールの形成には至らず、金属系のデブリが先行して流下した可能性がある。

参考文献

  1. 1.0 1.1 Broughton J.M., Kuan P, Petti D.A., Tolman E.L. (1989): “A scenario of the Three Mile Island Unit 2 accident”, Nuclear Technology, 87, 34-53.