3号機の事故進展

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図3.1: 3号機事故進展

原子炉スクラム~炉心損傷

図3.1に,3号機における事故進展推定シナリオを示す。…

炉心損傷〜燃料デブリの下部プレナム移行

3号機では,炉心溶融・ペデスタルへの炉心物質移行は,3/13にHPCIによる注水が停止した後から,3/14 11:00頃の水素爆発までに起こったと推定される。HPCIによる注水が停止した後,炉心冷却水は減少し,正門付近で中性子が検出された3/13 5:30頃には炉心損傷が開始していた可能性が高い。炉心温度は上昇し,9:00頃のADS作動前には炉心溶融が進行していたと予測される。ADS作動によってRPVが減圧され,減圧沸騰した下部プレナム水は急速に蒸気を炉心に供給したものと考えられる。ADS作動直後の炉心への急激な蒸気供給によって、炉心の高温化した金属の一部は酸化して水素を発生したものと考えられるが、その後の圧力履歴を勘案すると、多くの金属はこのときに酸化していなかった可能性がある。豊富な蒸気供給にも関わらず高温の金属が酸化しない条件として、金属が溶融プール内に存在し、燃料クラストによって蒸気と遮断されていた可能性がある。ADS作動後、数度にわたって見られるRPV圧の一時的な上昇は,炉心の下部プレナムへのスランピングを示していると考えられる。2号機と比較して,大きいエンタルピーを持ったより高い温度の燃料デブリが固液混合状態で下部プレナムへ移行し,下部プレナムには塊状デブリが堆積した可能性がある。

燃料デブリの下部プレナム移行〜RPV破損

3/13 10:00頃と同12:00頃に燃料スランピングと思われるRPV圧力上昇がみられる。特に12:00頃のRPV圧力上昇は顕著で,大規模なスランピングが生じたと考えられる。D/Wの圧力上昇も0.74 MPaとなっており,PCVトップフランジからリークを生じていた可能性がある。この時のD/W圧力の上昇を説明するためには相当量の水素発生が必要であり(GOTHICコード解析による予測[1]では約400 kg),ADS作動直後にかなりの金属が酸化せずに存在していたとの推定の根拠となっている。

3/13 20:40頃からD/W圧力は低下しているが,これは下部プレナムにおける蒸気発生の低下によるものと考えられ,下部プレナムの液相水の枯渇に対応している可能性が高い。液相水の枯渇後,下部プレナムのデブリが昇温し,RPVバウンダリー破損とデブリのペデスタルに向けた流出が生じたものと考えられる。

RPV破損以降

D/W圧力が3/14 0:00頃から上昇に転じていることから,この時点ではペデスタルに移行した炉心物質がペデスタルに存在していた冷却水を蒸発させていると考えられる。ただし,D/W圧力の上昇が緩慢であることから,炉心物質のペデスタル移行は極めて緩慢であった可能性が高い。3/14 0:00以降は同日7:00頃までD/W圧力が徐々に上昇しているが,この圧力上昇はペデスタルでの蒸気発生に対応していると考えられ,7時間程度の時間スケールでデブリのペデスタル移行が生じていると推定される。

ペデスタル内部調査によると,2~3 mの堆積物が確認されているが,この体積は炉心物質などが密な状態で存在している状態では説明できず,堆積内部にかなりの隙間を有している可能性がある。仮に顕著なMCCIが生じたとすると,デブリは相当高温になっていたと思われ,堆積物内に多くの隙間を有することとは相いれない面がある。このことから,3号機ではMCCIはあまり起きていない可能性も指摘されている。他方,ペデスタル堆積物内部で再溶融が起きた可能性はあり,その場合,成分偏析,再溶融・再凝固による相状態の複雑化が予測される。ここでも,凝固速度は燃料デブリの特性に影響する可能性が高い。

事故後の状態および内部調査結果

※最終状態のまとめと、推定図および内部調査結果の比較等を記載

参考文献

  1. I. Sato et al.(2020), Evaluation of core material energy change during the in-vessel phase of Fukushima-Daiichi Unit 3 based on observed pressure data utilizing GOTHIC code analysis, Journal of Nuclear Science and Technology (under review)