2PEN2103 TEM 領域14

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更新履歴 

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No 日付 分類 内容 備考 記載者
1 2022/05/16 新規 2PEN2103 TEM分析結果(領域14)の登録 IRID報告書(付録-4)の内容を転記。分析機関での精査を終えていない生データの段階であるため、wordファイルの原本へのリンクを作成するに留めた。 原稿作成:鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
2 2022/08/25 改訂 図(HAADF像、EDS元素マッピング、EDS線分析、EDS点分析、電子線回折)を分析機関での精査後のバージョンに差し替えた(リンク先wordファイルを更新)。 鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
3 2023/3/23 改訂 本文(仮)の追記 図面精査:鈴木(NFD)
wiki原稿(仮)作成:池内(JAEA)
4 2023/03/29 承認 分析データへの掲載承認 池内(JAEA)

断面の微細構造及び元素分布

TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像

 図1に、2PEN2103着目領域14のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図2に示す。当該領域を構成する粒子は、約20 μmの幅を有した不定形粒子であった。粒子の大部分は、HAADF-STEM像において明灰色を呈するほぼ均一な組織を有していた。以後、本分析結果の説明において、「連続相部分」という。この連続相部分の下側には、明灰色の相と暗灰色の相が微細に混ざり合った領域を形成していた。以後、本分析結果の説明において、「混相部分」という。連続相部分と混相部分は複雑な形状の境界で接していることから、以後、両部分を合わせて一つの粒子と見做し、本分析結果の説明において、この粒子を「主粒子」という。
 主粒子の下側には、大きさ数十 [nm] から数 [μm]の微粒子が密集していた。以後、本分析結果の説明において、この領域を単に「主粒子下部」という。

STEM-EDX元素マッピング

 断面のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3(主粒子左側)及び図4(主粒子右側)に示す。
 試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 主粒子の連続相部分では、U及びZrが同位置に検出された。ただし、連続相部分と混相部分の境界近傍において、Zr濃度が若干高い箇所が認められた。
  • 主粒子の混相部分では、U及びZrを含む部分と、Cr及びFeを含む部分が混在していた。
  • 主粒子下部では、大部分をFeが占めていたが、その一部においてMg、Al、Si、S、Ca、Ti、Ni、Pbのスポットが認められた。
  • 酸素(O)は、断面全体に分布していた。

図3 STEM-EDXマップ(主粒子左側)

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

SEI:明視野像/ C(スミア繊維)(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ O/(Crの影響が含まれる) (Na※)(高輝度部分はU,W,Gaの影響)/ (Mg※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Al(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ Si(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ S(U,Pbと重複する部分はそれらの影響)/ (Cl※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Ca(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ (Ti※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Cr(Mn※)(高輝度部分はU,W,Crの影響)/ FeNi(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ (Cu※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Zn※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Se※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Zr(Mo※)(高輝度部分はUの影響)/ (Tc※)(高輝度部分はU,W,S,Pbの影響)/ (Ru※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Rh※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Pd※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Ag※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Cd※)(高輝度部分はUの影響)/ (Sn※)(高輝度部分はUの影響)/ (Sb※)(高輝度部分はU,W,Caの影響)/ (Te※)(高輝度部分はU,W,Caの影響)/ (I※)(高輝度部分はU,W,Caの影響)/ (Cs※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Ba※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Sm※)(高輝度部分はU,W,Crの影響)/ W(観察片作製用W保護膜)(Uと重複する部分はその影響)/ Pb(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ U

図4 STEM-EDXマップ(主粒子右側)

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

SEI:明視野像/ C(スミア繊維)(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ O/(Crの影響が含まれる) (Na※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Mg(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ Al(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ Si(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ S(U,W,Pbと重複する部分はそれらの影響)/ (Cl※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ Ca(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ Ti(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ Cr(Mn※)(高輝度部分はCrの影響)/ FeNi(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ (Cu※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Zn※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Se※)(高輝度部分はU,W,Mg,Alの影響)/ Zr(Mo※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Tc※)(高輝度部分はU,W,Pb,Sの影響)/ (Ru※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Rh※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Pd※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Ag※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Cd※)(高輝度部分はUの影響)/ (Sn※)(高輝度部分はU,Kの影響)/ (Sb※)(高輝度部分はU,Caの影響)/ (Te※)(高輝度部分はU,W,Caの影響)/ (I※)(高輝度部分はU,W,Caの影響)/ (Cs※)(高輝度部分はU,Wの影響)/ (Ba※)(高輝度部分はU,W,Tiの影響)/ (Sm※)(高輝度部分はCrの影響)/ W(観察片作製用W保護膜)(Uと重複する部分はUの影響)/ Pb(高輝度部分はU,Wの影響)/ U

STEM-EDX線分析データ

 主粒子の連続相部分と混相部分、及び主粒子下部を横切る位置でSTEM-EDXによる線分析を実施した。線分析の位置及び測定対象元素(U、Zr、Fe、Cr、O)の線分析データを図5に示す。
 主粒子の連続相部分の位置(左端からの距離が約0.8 μmから約5.8 μmの箇所)では、主粒子上では、線分析箇所の左から右にかけてUとZrのカウント数の緩やかな増加(膜厚変化による)が認められたものの、UとZrとのカウント比は概ね一定であった。主粒子の混相部分の位置(左端からの距離が約5.8 μmから約8.2 μmの箇所)では、Fe及びCrのカウント数が増加する位置と、U及びZrのカウント数が増加する位置が、相補的に出現した。主粒子下部(左端からの距離が約8.2 μm以上の箇所)では、微粒子が存在する位置において、測定対象元素の中でも特にFe及びOのカウント数の増加が認められた。

各相組成の半定量分析結果

点分析位置

 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置として、図6に示す通り計11箇所設定した。主粒子の連続相部分から3箇所(位置①~③)、主粒子の混相部分のうちUとZrが多い箇所から1箇所(位置④)、同じく混相部分のうちFeとCrが多い箇所から2箇所(位置⑤⑥)、主粒子下部のうちFeの多い粒子とその周辺から3箇所(位置⑧~⑩)、同じく下部領域のうち特徴元素としてSi(位置⑦)及びCa(位置⑪)を含む箇所を1箇所ずつ設定した。

図6 STEM-EDX点分析位置及び半定量取得データ

各測定点での同定元素

 各位置(①~⑪)での点分析で取得したスペクトルを図8に示す。ソフトウェアの解析により出力された一次データを表1に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。

  • 位置①では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置②では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置③では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置④では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置⑤では、O、Cr、Fe、及びごく小さい強度のMgのピークが検出された。Zrのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑥では、O、Cr、Fe、及びごく小さい強度のZrのピークが検出された。
  • 位置⑦では、O、Mg、Al、Si、K、Fe、及びごく小さい強度のTiのピークが検出された。
  • 位置⑧では、O、Fe、及びごく小さい強度のNiのピークが検出された。
  • 位置⑨では、O、Fe、Ni、及びごく小さい強度のSiのピークが検出された。Mnのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑩では、O、S、Ca、Fe、及びごく小さい強度のSiのピークが検出された。
  • 位置⑪では、O、Ca、Cr、及びFeのピークが検出された。U及びZrのピークもわずかな強度で認められた。
表1 一次データ
位置 OK NaK MbK AlK SiK SK CaK TiK Cr K MnK FeK NiK ZnK ZrK Mo K RuL SnL SbL TeL CsL BaL Pb L UM KK
77.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.2 0.0 0.0 8.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.5 /
77.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.1 0.0 0.0 7.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.7 /
77.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.8 0.0 0.1 0.0 0.0 7.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.7 /
76.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 1.0 0.0 5.4 0.0 0.0 7.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 9.7 /
60.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 27.8 0.0 11.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
61.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 26.8 0.0 10.1 0.0 0.0 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
67.5 0.0 2.8 4.2 18.8 0.0 0.0 0.7 0.0 0.1 5.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 2.3
60.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 38.7 0.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
56.1 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 38.5 4.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
51.2 0.0 0.0 0.0 1.4 5.6 7.7 0.0 0.0 0.0 34.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
64.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 31.9 0.0 0.4 0.0 2.7 0.0 0.0 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /

(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。

各測定点での半定量分析結果

 一次データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに表2に示す。なお、測定位置によっては主要な存在元素が異なる別の相や粒子が近接する箇所(位置④⑤⑥⑩⑪)があり、これらの測定位置では周辺の隣接粒子や隣接相に含まれる元素からの信号を検出している可能性がある。半定量分析結果のうち、このような周辺の隣接粒子や隣接相からの寄与を含む可能性のある元素については、半定量値に “*” を付して示した。

表2 半定量分析結果
位置 O Na Mg Al Si S K Ca Ti Cr Mn Fe Ni Zn Zr Mo Ru Sn Sb Te Cs Ba Pb U
77 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 8 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
77 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 8 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
77 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 8 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
77 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 1* n.d. 5* n.d. n.d. 7 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 10
60 n.d. 1 n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 28 n.d. 11 n.d. n.d. L.O.Q* n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
62 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. 27 n.d. 10 n.d. n.d. 1* n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
66 n.d. 3 4 19 n.d. 2 n.d. 1 n.d. n.d. 5 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
60 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / n.d. n.d. n.d. n.d. 39 1 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
57 n.d. n.d. n.d. 1 n.d. / n.d. n.d. n.d. L.O.Q 38 4 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
51 n.d. n.d. n.d. 1 6 / 8 n.d. n.d. n.d. 34* n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
65 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. / 32 n.d. L.O.Q n.d. 3* n.d. n.d. L.O.Q n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q

(注意事項)
・ “n.d.”は、EDX信号のエネルギースペクトルにピークが確認されず、検出限界以下と判断した元素である。
・ “L.O.Q”.は、スペクトルにピークが確認できるものの、本表に示す元素を100%とした場合に0.5at%未満となり、定量下限以下と判断した元素である。
・ 本表の数値は、“n.d.”及び“L.O.Q.”を除いた半定量性を持つデータを示していると判断した元素を100%として規格化して表示した。
・ “ * ” を付した数値は、周辺の隣接相や隣接粒子からの影響を含む可能性がある。

TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果

 電子線回折の測定位置を図9に、各位置で取得した回折図形を図10に、結晶構造の同定結果を表3に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同図に示す。
 主粒子の連続相部分である位置⑫では、構造解析の結果c-UO2のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置①~③)においてUと同程度の濃度でZrが含まれていたことから、当該箇所はc-(U, Zr)O2と推定された。
 主粒子の混相部分である位置⑬では、構造解析の結果c-FeO3O4のパターンと一致しており、近傍(位置⑤)のEDX点分析におけるCr/Fe原子比が約2~3の範囲にあったことから、当該箇所はc-FeCr2O4と推定された。
 主粒子下部に密集する微粒子のひとつである位置⑭では、構造解析の結果c-FeO3O4のパターンと一致した。近傍(位置⑧)のEDX点分析では主要元素としてO及びFeが認められたことから、当該箇所はc-FeO3O4と推定された。
 下部領域に密集する微粒子のひとつである位置⑮では、構造解析において回折図形に合致する標準化合物が無く、結晶構造の同定には至らなかった。このため、EDXの結果のみから推定した。近傍(位置⑦)のEDX点分析では主要元素としてO、Si及びFeが認められたことから、SiOO2とFeO3O4の混合物、またはSi-Fe-O系の酸化物と推定した。
 下部領域に密集する微粒子のひとつである位置⑯では、構造解析において該当する回折図形に合致する標準化合物が無く、結晶構造の同定には至らなかった。このため、EDXの結果のみから推定した。近傍(位置⑪)のEDX点分析では主要元素としてO及びCaが認められ、また、OとCaとの原子比(約2)がCaOを想定した場合(1)よりも高いことから、Ca(OH)2またはCaCO3と推定した。

図9 電子線回折の測定位置

図10 TEM回折図形

表3 TEM構造解析結果及び主要化学組成の推定結果
位置 TEM構造解析結果 TEM構造解析所見※2 EDX結果を含めた主要化学組成の推定
c-UO2 方位[],[],[] c-(U,Zr)O2(①②③※1)
c-FeCr2O4 方位[],[] c-FeCr2O4(⑤※1)
c-Fe3O4 方位[],[] c-Fe3O4(⑧※1)
不明 SiO2及びFe3O4/Si-Fe-O(⑦※1)
不明 Ca(OH)2/CaCO3(⑪※1)

(注)※1 参考としたEDX点分析位置
※2 方位の並び順は回折図形の並び順に同じ

分析結果のまとめ

 2PEN2103領域14で観察されたU含有粒子は、約20 μmの幅を持つ不定形粒子(主粒子)であった。主粒子の大部分(連続相部分)はc-(U,Zr)O2相(U : Zrの原子比が約6 : 4)であり、その一部で若干Zr濃度の高い領域が認められた。主粒子の一部(混相部分)では、Cr及びFeを含む部分がU及びZrを含む部分と混在し、連続相部分と密着するように接していた。その一部においてc- FeCr2O4が同定された。また、粒子の周囲(主粒子下部)では、大きさ数十 [nm] から数 [μm]の微粒子が密集しており、その中にc-Fe3O4、Si-Feの酸化物、Caの化合物(水酸化物または炭酸塩と推定)が存在した。



図データ