燃料デブリの分類について

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燃料デブリ特性の分類(従来の検討)

平成26年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金(燃料デブリの性状把握)[参考文献1]」において、

(i) TMI-2事故の情報(最終形態、デブリ分析データ)、(ii) 1F模擬デブリ試験(BWR部材や海水成分とUO2反応試験、1F模擬コンクリートMCCI試験)、(iii) 熱力学データベース解析等により、

RPV内とRPV外の燃料デブリ特性を整理した【表:燃料デブリのミクロ性状表、図:燃料デブリ形状の仮定】

 このうち、燃料デブリのミクロ性状表は、燃料デブリを構成すると考えられる主要成分について、諸物性を文献調査し、リスト化した。

 燃料デブリ形状のうち、原子炉圧力容器(Reactor Pressure vessel: RPV)内の燃料デブリ(in-vessel debris)については、米国スリーマイル原子力発電所(TMI-2)事故【図:TMI-2事故でのRPV内の最終形態[参考文献2]】で発生した燃料デブリの分析データに基づいて推定した。RPV外の燃料デブリ(ex-vessel debris)については、欧米各国で実施された模擬試験の結果、および、福島第一原子力発電所(1F)の模擬コンクリートと模擬デブリ(ウランとジルコニウムの混合二酸化物:(U,Zr)O2)の反応試験の結果などから推定した。

 また、燃料デブリの特徴を、様々な専門家間で共有するため、予想される化学反応メカニズムに基づいて、燃料デブリの概念図を例示した【図:燃料デブリの概念図[参考文献3]】。併せて、照射燃料中での核分裂生成物(Fission Products: FP)のふるまいに基づいて、燃料デブリ中のFP分布の傾向を予想し整理した【表:燃料デブリ中のFP分布の予想】

 これらの検討結果や、その他の従来知見を参照し、国内大学などで、独自に検討が進められ、様々な燃料デブリの概念図が提案されている【図:燃料デブリの概念図[参考文献4]】

 これらは、1Fの原子炉格納容器(Primary Containment Vessel: PCV)の内部調査があまり進んでいない段階で、燃料デブリ取り出し方針を検討するための基礎知見としてまとめられたものである。したがって、デブリ取り出し工程の検討に向けて、PCV内部調査の結果や1F事故進展解析の結果を反映し、改定していく必要がある。


原子炉格納容器(PCV)内部調査の進展と炉内状況推定図:

 2017年から、1Fの1~3号機のPCV内部調査が開始され、事故炉内部の破損状態や燃料デブリの分布が少しずつあきらかになってきている[参考文献5: 東京電力公開情報]。

 平成26/27年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金(総合的な炉内状況把握の高度化)[参考文献6]」において、PCV内部調査の結果、ミューオンを使った原子炉建屋の透視画像、事故時のプラントデータ、事故炉周辺で得られた様々な観測結果、1F事故シナリオ解析、様々なシビアアクシデント模擬試験の結果、等の関連知見を整理して、1Fの1~3号機の炉内状況推定図が取りまとめられた。炉内状況推定図は、東京電力により随時改定され、廃炉工程の検討に利用されている。炉内状況推定図では、廃炉工程でデブリを取り扱うことを想定したマクロな観点で、燃料デブリをいくつかのカテゴリーに分類している(例:切り株燃料集合体、粒子状デブリ、金属リッチデブリ、溶融固化物、等)。


燃料デブリ分類のアップデートについて

従来の燃料デブリ概念図は、マクロ/ミクロ視点が十分に整理されておらず、また、作成者or編集者の専門性に基づく恣意性が見られる。

内部調査や事故進展解析の最新情報が十分に反映されていない。

多分野の専門家が共有し、どこをどのように調査するか、どのようなデブリサンプルを採取して分析とどのような知見拡充が期待されるか、

等の議論に活用できるデータベースとして、アップデートする必要がある。

従来の燃料デブリ特性リスト

燃料デブリの構成成分、形状について

燃料デブリを構成すると考えられる主要成分について、諸物性を文献調査し、リスト化【ミクロ性状表】。

TMI-2デブリのデータ(in-vessel debris)と、1F模擬コンクリートと溶融模擬デブリ((U,Zr)O2)の反応試験の結果(ex-vessel debris)などから、想定される燃料デブリの形状や特徴を推定【特性リスト】

これらは、PCV内部調査があまり進んでいない段階で、TMI-2事故の知見や、TMI-2事故を参照した模擬試験の結果に基づいてまとめられた。

デブリ取り出しの検討に向けて、最近のPCV内部調査の結果や事故解析の検討結果を反映し、改定していく必要がある。