APSR(軸方向出力調整棒)挿入試験
TMI-2炉には、本来、61個の制御棒集合体と8個の軸方向出力調整棒(APSR: Axial Power-Shaping Rod)集合体が装荷されていた。APSRは炉心中央に対して円環状に配置されていた。事故時には、APSRは25%引き抜き状態にあった(全長の75%が挿入された状態)。スクラムにより、制御棒は全挿入されるが、APSRは25%引き抜き位置で維持されていた。TMI-2で採用された燃料デブリの上部取り出しのためには、準備工程として圧力容器の上部ヘッドを取りはずす必要があった。そのためには、制御棒やAPSRのリードスクリューをあらかじめ取り外す必要があった。リードスクリュー取り外し(あるいは切断)のためには、リードスクリューをできるだけ押し下げ、APSRを炉心内に再挿入する必要があった。
そこで、APSR挿入作業の際に発生する音波シグナルを計測し、炉心上部の状態に係るデータを収集する計画が立案された(APSR挿入試験[1])。音波シグナル計測のために、リードスクリューの駆動機構に加速度計が取り付けられた。得られたデータは、B&W社(Babcock & Wilcox Company)とSAI社(Science Applications, Incorporated)でそれぞれ解析が行われた。APSR挿入試験の結果は、事故後のインコアモニター(熱電対、中性子計測)の信号やQuick Lookで得られた画像データとあわせて、事故炉上部の状態の総合的な評価に用いられた。
参考:Quick Look計画
参考文献
[1] R.W. Garner, D.E. Owen, M.R. Martin, An assessment of the TMI-2 Axial Power-shaping rod dynamic test results, GEND-INF-038, 1983.