炉心上部構造物(UCSA)の切断解体
1987年から、炉心部からの破損燃料集合体と溶融凝固デブリの取り出しと並行して、炉心下部構造物(LCSA)と炉心上部構造物(UCSA)の解体撤去とデブリ回収計画の検討が具体的に進められた[1]。
LCSAについては、初期案として、中央部に約1.2m角の開口部を設け、そこから長尺ツールや真空吸引システムを挿入して、LCSA内の堆積デブリや下部プレナムの堆積デブリを回収する工法が提案された。しかし、
参考:炉心下部構造物(LCSA)の切断解体
1987:
・Defueling Tool Advisory Group設置、遠隔装置(X-Yブリッジなど)
・下部プレナムデブリ、LCSA、UCSA、切り株燃料のビデオ撮影、デブリ取り出し過程にそって
・R6集合体近くの下部プレナムへのデブリ移行ルート周辺のサンプル採集(写真)
・UCSAは容器槽内にあり、遮蔽体にボルト止め、さらに、LCSAを吊り上げ保持
・容器槽はSS製のシリンダー構造、高さ170インチ、外周145インチ、厚さ2インチ
・8枚の水平コアフォーマープレートと36枚のバッフルプレートが取り付け
・課題は、バッフル板の裏側にどうやってアクセスするか ・バッフル板のタイプは2種類 ・集合体5個分の幅を持つプレートが炉心サイドに、角用のステップ構造をもつプレートが4枚(合計8枚)
2つのアプローチ:
・幅広プレートをプラズマアークで縦方向に切断。次に水平方向に切断。ボルト位置をかわしての切断。プレート取り外し、開口部形成。
・角プレートは4つに解体、 ・この方法で切断すれば、ボルト1476本の内、576本をはずせば、コアフォーマへのアクセスが可能となる。
バッフル板撤去後のデブリ回収:
・バッフルフローホールやボルト周辺の固着デブリ
・最下部は、下部格子との接合部、プラズマアークで切断
・コアフォーマプレート、バッフルプレート、コアバレルの内側の固着デブリのかきとり
・ルースデブリのフラッシング ・複数種類のツールが必要となる。
・4.2トンがコアフォーマ領域に(1987.12のビデオ調査)
1988
UCSA取り出し計画
・UCSA取り出し計画完成、認可。
① プラズマアークで、バッフル板の全長縦切り、8か所で。
② 油圧打撃レンチで取付ボルト撤去、バッフル板とコアフォーマの接続解除
③ バッフル板の何か所かを撤去、コアフォーマに堆積しているデブリへのアクセス
④ レンチで撤去できないボルトは、コアボーリング装置利用
・1988年に、必要ツールの設計・製作・機能確認 ・プラズマアークで予備的なボルト撤去実施、5本成功。4本は装置故障でうまくいかず。さらに、画像データの不足で開口部のクリーンアップ不十分
1989
・つづいて、UCSA解体撤去とコアフォーマ侵入デブリ回収の完了
・炉内物質の99.7%を取り出し ・89年の進捗は、LCSAの解体とデブリ取り出し、下部プレナムデブリ取り出し、UCSA解体とデブリ取り出し、クリーンアップと調査
・バッフル板は36枚、水平方向のコアフォーマプレートにボルトでとりつけ。バッフル板の外側をコアフォーマ領域と言う。
・解体手順 ① バッフル板を縦方向に8か所で切断、プラズマトーチ、手動マニピュレータ。36枚すべてをバラバラに解体するのは時間がかかるため8か所だけ
② 864本のコアフォーマへの取付ボルト撤去。油圧レンチ。ドリル。
③ 2本のクランプを切り出した8分割のバッフル板の上部にとりつけて、コアフォーマプレートから分離。表裏面をフラッシング
④ コアフォーマ領域に堆積していたデブリかき落とし(ウォータージェット、0.76L/秒、82,737 kPa)、真空吸引、大きな粒子は叩き落とし
⑤ 8分割分繰り返し。いったんデブリ吸引した領域にデブリが再度移行しないように、防護プレート取り付け ⑥ 下部プレナムの残留デブリを最後に回収 4.1.4. 最終的な取りだし ・残留デブリのピックアップ、真空吸引 ・炉心上部から下部に向けて、フラッシング、かきとり ・最終作業は1989.12に開始、1990初旬に終了予定
1990
・UCSAに一時的にとりつけたシュラウドも、バッフルプレートの解体、コアフォーマプレートからのデブリ回収の後に、解体予定。バッフルプレート撤去後に、コアフォーマ領域にデブリが侵入しないように取り付けていた。
UCSAについて、再度真空吸引処理
参考文献
[1] J.M. Rodabaugh et al., Disassembly and Defueling of the Three Mile Island Unit 2 Upper Core Support Assembly, Nucl. Technol. 87 (1989) 1117-1121.