TMI-2での事故進展に伴う物質移行挙動
ナビゲーションに移動
検索に移動
概要
TMI-2事故後の炉心形状、事故時の計測データ、種々のメカニズム解析に基づく炉心物質移行の時系列の推定結果は、参考文献[1][2]でとりまとめられている。
- 0~100分:一次冷却水の部分的な喪失。炉心冷却自体は継続。
- 100~174分:一次冷却水ポンプの停止、冷却水の沸騰と炉心の露出開始、炉心の過熱、Zry酸化、下部クラストの形成。
- 174~180分:一次冷却水B系ループの起動、周辺部の燃料集合体の冷却、上部デブリベッドの形成、Zry酸化が加速、
- 180~200分:冷却水の沸騰とドライアウト継続、溶融プールの成長。
- 200~224分:高圧注水系起動、上部デブリ層の急冷、溶融プールの成長は継続。
- 224~226分:側部クラストが破れ溶融プールの一部がRPV下部ヘッドに移行。
- 226分~15.5時間:RPV底部の加熱・クリープの可能性。下部ヘッドにおけるデブリベッドの冷却、一次冷却系の循環冷却の確立。
燃料デブリ・堆積物の生成プロセスの検討に資する情報
- TMI-2の場合、低融点の構造物(Zry、SUS、Ag-In-Cdなど)が先に流下し、炉心下部の水位面近傍で凝固することによりクラストが形成され、これが坩堝の役割を果たすことで溶融プール形成の起点となったと考えられている。1F2号機の場合、有効燃料部に水位を形成していなかった可能性があり、大規模な溶融プールの形成には至らず、金属系のデブリが先行して流下した可能性がある。
関連項目
参考文献
- ↑ Broughton J.M., Kuan P, Petti D.A., Tolman E.L. (1989): “A scenario of the Three Mile Island Unit 2 accident”, Nuclear Technology, 87, 34-53.