「2PEN2103-TEM-Region14」の版間の差分

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Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域14-18(位置11).jpg|位置⑩
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域14-18(位置11).jpg|位置⑩
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{| class="wikitable"| style="margin:0 auto"
|+ 表1 一次データ
! 位置
! OK
! NaK
! MbK
! AlK
! SiK
! SK
! CaK
! TiK
! Cr K
! MnK
! FeK
! NiK
! ZnK
! ZrK
! Mo K
! RuL
! SnL
! SbL
! TeL
! CsL
! BaL
! Pb L
! UM
! KK
|-
| ①
| 77.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.8
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 8.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 13.5
| /
|-
| ②
| 77.5
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.8
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 7.9
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 13.7
| /
|-
| ③
| 77.9
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.8
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 7.5
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 13.7
| /
|-
| ④
| 76.8
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 1.0
| 0.0
| 5.4
| 0.0
| 0.0
| 7.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 9.7
| /
|-
| ⑤
| 60.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 27.8
| 0.0
| 11.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
| ⑥
| 61.8
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 26.8
| 0.0
| 10.1
| 0.0
| 0.0
| 1.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
| ⑦
| 67.5
| 0.0
| 2.8
| 4.2
| 18.8
| 0.0
| 0.0
| 0.7
| 0.0
| 0.1
| 5.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 2.3
|-
| ⑧
| 60.4
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 38.7
| 0.9
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
| ⑨
| 56.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.8
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.4
| 38.5
| 4.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
| ⑩
| 51.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 1.4
| 5.6
| 7.7
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 34.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
| ⑪
| 64.6
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 31.9
| 0.0
| 0.4
| 0.0
| 2.7
| 0.0
| 0.0
| 0.4
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| /
|-
|}
<p style="text-align:center">
(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。
</p>


===各測定点での半定量分析結果===
===各測定点での半定量分析結果===

2024年3月12日 (火) 11:39時点における版


更新履歴 

更新履歴
No 日付 分類 内容 備考 記載者
1 2022/05/16 新規 2PEN2103 TEM分析結果(領域14)の登録 IRID報告書(付録-4)の内容を転記。分析機関での精査を終えていない生データの段階であるため、wordファイルの原本へのリンクを作成するに留めた。 原稿作成:鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
2 2022/08/25 改訂 図(HAADF像、EDS元素マッピング、EDS線分析、EDS点分析、電子線回折)を分析機関での精査後のバージョンに差し替えた(リンク先wordファイルを更新)。 鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
3 2023/3/23 改訂 本文(仮)の追記 図面精査:鈴木(NFD)
wiki原稿(仮)作成:池内(JAEA)
4 2023/03/29 承認 分析データへの掲載承認 池内(JAEA)

断面の微細構造及び元素分布

TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像

 図1に、2PEN2103着目領域14のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図2に示す。当該領域を構成する粒子は、約20 μmの幅を有した不定形粒子であった。粒子の大部分は、HAADF-STEM像において明灰色を呈するほぼ均一な組織を有していた。以後、本分析結果の説明において、「均相部分」という。この均相部分の下側には、明灰色の相と暗灰色の相が微細に混ざり合った領域を形成していた。以後、本分析結果の説明において、「混相部分」という。均相部分と混相部分は複雑な形状の境界で接していることから、以後、両部分を合わせて一つの粒子と見做し、本分析結果の説明において、この粒子を「主粒子」という。
 主粒子の下側には、大きさ数十 [nm] から数 [μm]の微粒子が密集していた。以後、本分析結果の説明において、この領域を単に「下部領域」という。


STEM-EDX元素マッピング

 断面のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3(主粒子左側)及び図4(主粒子右側)に示す。試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 主粒子の均相部分では、U及びZrが同位置に検出された。ただし、Zr濃度がやや高い箇所が認められた。
  • 主粒子の混相部分では、U及びZrを含む部分と、Cr及びFeを含む部分が混合していた。
  • 下部領域では、大部分をFeが占めていたが、その一部においてMg、Al、Si、S、Ca、Ti、Ni、Pbのスポットが認められた。
  • 酸素(O)は、断面全体に分布していた。

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

STEM-EDX線分析データ

 主粒子の均相部分と混相部分、及び下部領域を横切る位置でSTEM-EDXによる線分析を実施した。線分析の位置及び線分析データを図5に示す。  主粒子の均相部分の位置(左端からの距離が約0.8 μmから約5.8 μmの箇所)では、U及びZrのカウント数は概ね一定であった。主粒子の混相部分の位置(左端からの距離が約5.8 μmから約8.2 μmの箇所)では、Fe及びCrのカウント数が増加する位置と、U及びZrのカウント数が増加する位置が、相補的に出現した。下部領域(左端からの距離が約8.2 μm以上の箇所)では、微粒子の位置において、Feのカウント数が他の元素よりも高い傾向が認められた。

各相組成の半定量分析結果

点分析位置

 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置を、図6~7に示す通り計11箇所設定した。主粒子の均相部分から3箇所(位置①~③)、主粒子の混相部分のうちUとZrが多い箇所から1箇所(位置④)、同じく混相部分のうちFeとCrが多い箇所から2箇所(位置⑤⑥)、下部領域のうちFeの多い粒子とその周辺から3箇所(位置⑧~⑩)、同じく下部領域のうち特徴元素としてSi(位置⑦)及びCa(位置⑪)を含む箇所を1箇所ずつ設定した。

各測定点での同定元素

 各位置(①~⑪)での点分析で取得したスペクトルを図8~18に示す。ソフトウェアの解析により出力された半定量取得データは、図6~7に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。

  • 位置①~③では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置④では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置⑤では、O、Cr、Fe、及びごく小さい強度のMg、Zrのピークが検出された。
  • 位置⑥では、O、Cr、Fe、、及びごく小さい強度のZrのピークが検出された。
  • 位置⑦では、O、Mg、Al、Si、K、Fe、及びごく小さい強度のTiのピークが検出された。
  • 位置⑧では、O、Fe、及びごく小さい強度のNiのピークが検出された。
  • 位置⑨では、O、Fe、Ni、及びごく小さい強度のSi、Mnのピークが検出された。
  • 位置⑩では、O、S、Ca、Fe、及びごく小さい強度のSiのピークが検出された。
  • 位置⑪では、O、Ca、Fe、及びごく小さい強度のZr、Uのピークが検出された。
表1 一次データ
位置 OK NaK MbK AlK SiK SK CaK TiK Cr K MnK FeK NiK ZnK ZrK Mo K RuL SnL SbL TeL CsL BaL Pb L UM KK
77.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.2 0.0 0.0 8.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.5 /
77.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.1 0.0 0.0 7.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.7 /
77.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.8 0.0 0.1 0.0 0.0 7.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.7 /
76.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 1.0 0.0 5.4 0.0 0.0 7.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 9.7 /
60.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 27.8 0.0 11.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
61.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 26.8 0.0 10.1 0.0 0.0 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
67.5 0.0 2.8 4.2 18.8 0.0 0.0 0.7 0.0 0.1 5.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 2.3
60.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 38.7 0.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
56.1 0.0 0.0 0.0 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 38.5 4.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
51.2 0.0 0.0 0.0 1.4 5.6 7.7 0.0 0.0 0.0 34.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /
64.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 31.9 0.0 0.4 0.0 2.7 0.0 0.0 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 /

(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。

各測定点での半定量分析結果

 半定量取得データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに以下に示す。

TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果

 電子線回折の測定位置、各位置で取得した回折図形、及び結晶構造の同定結果を図19に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同図に示す。
 主粒子の均相部分である位置⑫では、構造解析の結果c-UO2のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置①~③)においてUと同程度の濃度でZrが含まれていたことから、当該箇所はc-(U,Zr)O2と推定された。
 主粒子の混相部分である位置⑬では、構造解析の結果c-FeCr2O4のパターンと一致しており、近傍(位置⑤)のEDX点分析におけるCr/Fe原子比(約2~3)とも整合していることから、当該箇所はc-FeCr2O4と推定された。
 下部領域に密集する微粒子のひとつである位置⑭では、構造解析の結果c-Fe3O4のパターンと一致した。近傍(位置⑧)のEDX点分析では主要元素としてO及びFeが認められたことから、当該箇所はc-Fe3O4と推定された。
 下部領域に密集する微粒子のひとつである位置⑮では、構造解析において該当する結晶構造を特定できなかった。近傍(位置⑦)のEDX点分析では主要元素としてO、Si及びFeが認められたことから、SiO2とFe3O4の混合物、またはSi-Fe-O系の酸化物であることが推定された。
 下部領域に密集する微粒子のひとつである位置⑯では、構造解析において該当する結晶構造を特定できなかった。近傍(位置⑪)のEDX点分析では主要元素としてO及びCaが認められ、また、OとCaとの原子比(約2)がCaOを想定した場合(1)よりも高いことから、Ca(OH)2またはCaCO3と推定された。


 2PEN2103領域14は、組成がほぼ一様で約20 μmの大きなc-(U,Zr)O2粒子であった。その一面にはFeとCrをまだらに含んだ層が密着するように接しており、その一部においてFe3O4が同定された。また、粒子の周囲では、FeCr2O4相が存在することが同定された。c-(U,Zr)O2粒子とFeとCrをまだらに含んだ層の密着面は複雑な構造をしており、冷却時の相分離により形成された可能性が考えられる。



図データ