「下部プレナムハードデブリサンプルの分析データ(VIPプロジェクト)」の版間の差分
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<span style="color:blue">'''VIPプロジェクト'''</span>では[1]、vesselサンプルの他に、下部プレナムハードデブリの一部が分取され、各機関で分析されている。ここでは、その分析結果の概要を示す。 | <span style="color:blue">'''VIPプロジェクト'''</span>では[1]、vesselサンプルの他に、下部プレナムハードデブリの一部が分取され、各機関で分析されている。ここでは、その分析結果の概要を示す。 | ||
== 下部プレナムハードデブリサンプルの回収 == | == 下部プレナムハードデブリサンプルの回収 == | ||
下部プレナムルースデブリがPick-and-Place工法やエアリフトで回収された後に、残留した下部プレナムハードデブリはスライドハンマーで打撃破砕された。'''図1'''に、下部プレナムでのルースデブリの堆積厚さ分布とルースデブリ回収後のハードデブリの堆積厚さ分布を示す[2]。破砕後の岩石状のデブリサンプルは、下部プレナムをおよそ四分割し、それぞれの中央付近から回収された。したがって、本来位置についての情報は失われている。また、北東四半領域では、微粒子デブリのみが残留していたため、岩石状デブリは回収されなかった。'''図2'''に、写真の画質が悪いが、回収されたハードデブリサンプルの外観を示す[2]。 | 下部プレナムルースデブリがPick-and-Place工法やエアリフトで回収された後に、残留した下部プレナムハードデブリはスライドハンマーで打撃破砕された。'''図1'''に、下部プレナムでのルースデブリの堆積厚さ分布とルースデブリ回収後のハードデブリの堆積厚さ分布を示す[2]。破砕後の岩石状のデブリサンプルは、下部プレナムをおよそ四分割し、それぞれの中央付近から回収された。したがって、本来位置についての情報は失われている。また、北東四半領域では、微粒子デブリのみが残留していたため、岩石状デブリは回収されなかった。'''図2'''に、写真の画質が悪いが、回収されたハードデブリサンプルの外観を示す[2]。 | ||
[[ファイル:VIP 7.png|サムネイル|600x600px|'''<big>図1 下部プレナムのルースデブリとハードデブリの堆積状態 [2]</big>''']] | |||
[[ファイル:VIP 8.png|サムネイル|600x600px|'''<big>図2 回収された下部プレナムハードデブリサンプルの外観 [2]</big>''']] | |||
== 下部プレナムハードデブリサンプルの分析の目的 == | == 下部プレナムハードデブリサンプルの分析の目的 == | ||
下部プレナムハードデブリについては、デブリ取り出しとクリーンアップの観点では、詳細分析を行う理由は薄れていた。一方で、事故進展解析の観点では、その物理的、微細組織的、放射化学的特性を分析し、下部ヘッド内面との相互作用状態を調査することで、下部ヘッド破損モデルの開発に向けた知見取得が要請された。従って、NRCが主導し、OECD/NEA/CSNIの枠組みを使って、サンプル採集と各機関への輸送と分析が行われた。 | 下部プレナムハードデブリについては、デブリ取り出しとクリーンアップの観点では、詳細分析を行う理由は薄れていた。一方で、事故進展解析の観点では、その物理的、微細組織的、放射化学的特性を分析し、下部ヘッド内面との相互作用状態を調査することで、下部ヘッド破損モデルの開発に向けた知見取得が要請された。従って、NRCが主導し、OECD/NEA/CSNIの枠組みを使って、サンプル採集と各機関への輸送と分析が行われた。 | ||
非破壊分析としては、外観観察、写真撮影、重量測定、かさ密度とデブリ粒子密度の測定、空孔率測定、が行われた。破壊分析としては、金相観察、SEM/EDX、EPMA、ICP-AES、放射線分析、等が行われた。 | 非破壊分析としては、外観観察、写真撮影、重量測定、かさ密度とデブリ粒子密度の測定、空孔率測定、が行われた。破壊分析としては、金相観察、SEM/EDX、EPMA、ICP-AES、放射線分析、等が行われた。 | ||
2025年12月10日 (水) 08:40時点における版
VIPプロジェクトでは[1]、vesselサンプルの他に、下部プレナムハードデブリの一部が分取され、各機関で分析されている。ここでは、その分析結果の概要を示す。
下部プレナムハードデブリサンプルの回収
下部プレナムルースデブリがPick-and-Place工法やエアリフトで回収された後に、残留した下部プレナムハードデブリはスライドハンマーで打撃破砕された。図1に、下部プレナムでのルースデブリの堆積厚さ分布とルースデブリ回収後のハードデブリの堆積厚さ分布を示す[2]。破砕後の岩石状のデブリサンプルは、下部プレナムをおよそ四分割し、それぞれの中央付近から回収された。したがって、本来位置についての情報は失われている。また、北東四半領域では、微粒子デブリのみが残留していたため、岩石状デブリは回収されなかった。図2に、写真の画質が悪いが、回収されたハードデブリサンプルの外観を示す[2]。


下部プレナムハードデブリサンプルの分析の目的
下部プレナムハードデブリについては、デブリ取り出しとクリーンアップの観点では、詳細分析を行う理由は薄れていた。一方で、事故進展解析の観点では、その物理的、微細組織的、放射化学的特性を分析し、下部ヘッド内面との相互作用状態を調査することで、下部ヘッド破損モデルの開発に向けた知見取得が要請された。従って、NRCが主導し、OECD/NEA/CSNIの枠組みを使って、サンプル採集と各機関への輸送と分析が行われた。 非破壊分析としては、外観観察、写真撮影、重量測定、かさ密度とデブリ粒子密度の測定、空孔率測定、が行われた。破壊分析としては、金相観察、SEM/EDX、EPMA、ICP-AES、放射線分析、等が行われた。
FP分析結果に基づいて、事故時の崩壊熱計算が行われた。
主要成分とFPについて、下部プレナムルースデブリの分析結果と比較された。
参加機関は、SCK・CEN(ベルギー、原子力研究センター)、STUK(フィンランド、放射線・原子力安全センター)、IRSN(フランス、放射線防護・原子力安全研究所)、CEA(フランス、原子力・代替エネルギー庁)、GRS(ドイツ、原子炉安全協会)、CNEN(イタリア、原子力および代替エネルギーの研究開発のための国家委員会)、JAERI(日本、日本原子力研究所)、CSN(スペイン、原子力安全委員会)、SKI(スウェーデン、原子力発電検査機関)、OFEN(スイス、連邦エネルギー庁)、AEA-T(英国、AEAテクノロジー社)、NRC(米国、原子力安全委員会)、EPRI(米国、電力研究所)であった。


VIPプロジェクト立ち上げまでの経緯
- TMI-2事故では、スクラム後224分に、約19トンの溶融デブリが、短時間(2分間以内)で炉心部の溶融プールから下部プレナムに移行した。
- 1985年に下部プレナムのビデオ調査[3]、1986年にコアボーリング調査[4](3か所でLCSAを貫通し、下部プレナムを調査)がそれぞれ実施された。
- 下部プレナム調査で採集されたルースデブリの分析が行われた[5]。
- さらに、下部プレナムデブリ取り出しの過程で、下部ヘッド内面ライナーの一部にクラックが形成されていることが観測された[2]。
- 下部ヘッド破損状態の解明と解析モデル開発に向けた知見獲得を目的として、OECD/NEA/CSNIの枠組みを利用して、VIPプロジェクトが提案された。
- その一環として、下部ヘッドに付着していたハードデブリの一部が回収され、各参加機関に配布された。
サンプル採集
サンプル採集の詳細は、別項目に記載した。
図1に示すように、ビデオ調査により、ルースデブリとハードデブリの堆積マップが作成された[2]。ハードデブリの堆積厚さは、5~45cm程度であった。最大厚さは、下部プレナム中央部のH9,H10,I9,I10集合体位置の下であった。ハードデブリ層は、136kg重のスライドハンマーを約6.1m高さから落下させることで破砕された。破砕物は均質で、目視では金属相は観測されなかった。図2に示すように、およそ4領域からデブリサンプルが回収された[2]。破砕されたハードデブリサンプルから、代表的なデブリ粒子がクラムシェルツールで拾い上げられ収納缶に回収された。
参考:VIPプロジェクト
非破壊分析の結果
重量、かさ密度測定







参考文献
[1] A.M. Rubin, Overview and Organization of Three Mile Island Unit 2 Vessel Investigation Project, 1994.
[2] D.W. Akers et al., Examination of Relocated Fuel Debris Adjacent to the Lower Head of the TMI-2 Reactor Vessel, NUREG/CR-6195, 1994.
[3] J.P. Adams et al., TMI-2 Lower Plenum Video Data Summary, EGG-TMI-7429, 1987.
[4] E. Tolman et al., TMI-2 Core Bore Acquisition Summary Report, EGG-TMI-7385, 1987.
[5] C.S. Olsen et al., Examination of Debris from the Lower Head of the TMI-2 Reactor, GEND-INF-084, 1988.