「2PEN2103-TEM-Region12」の版間の差分

提供:debrisWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
(ページの作成:「{{DISPLAYTITLE:2PEN2103 TEM 領域12}} ===更新履歴 === {| class="wikitable sortable mw-collapsible mw-collapsed" |+ 更新履歴 !width="30pt"|No !width="100pt"|…」)
 
124行目: 124行目:
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域12-17(位置10).jpg|位置⑩
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域12-17(位置10).jpg|位置⑩
</gallery>
</gallery>
{| class="wikitable"| style="margin:0 auto"
|+ 表1 一次データ
! 位置
! OK
! NaK
! MbK
! AlK
! SiK
! SK
! CaK
! TiK
! Cr K
! MnK
! FeK
! NiK
! ZnK
! ZrK
! Mo K
! RuL
! SnL
! SbL
! TeL
! CsL
! BaL
! Pb L
! UM
|-
| ①
| 72.0
| 0.0
| 0.1
| 0.4
| 0.4
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.7
| 0.1
| 1.8
| 0.0
| 0.0
| 8.9
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 15.5
|-
| ②
| 72.0
| 0.0
| 0.0
| 0.2
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.8
| 0.1
| 1.6
| 0.0
| 0.1
| 9.6
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 15.2
|-
| ③
| 72.7
| 0.0
| 0.0
| 0.2
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.9
| 0.1
| 1.6
| 0.0
| 0.1
| 9.6
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 14.2
|-
| ④
| 80.9
| 0.0
| 0.0
| 0.3
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.4
| 0.2
| 1.6
| 0.0
| 0.1
| 4.1
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 12.2
|-
| ⑤
| 55.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.1
| 43.5
| 0.1
| 0.0
| 0.1
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.1
|-
| ⑥
| 78.5
| 0.0
| 0.3
| 0.1
| 0.6
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 5.0
| 0.3
| 0.0
| 14.8
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
|-
| ⑦
| 78.6
| 0.0
| 0.0
| 0.2
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.6
| 0.1
| 1.5
| 0.0
| 0.0
| 6.7
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 11.9
|-
| ⑧
| 56.1
| 0.0
| 0.4
| 0.1
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 28.0
| 1.3
| 13.1
| 0.0
| 0.0
| 0.7
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
|-
| ⑨
| 72.6
| 0.0
| 0.2
| 0.2
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 5.5
| 0.3
| 3.6
| 0.0
| 0.0
| 7.8
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 9.3
|-
| ⑩
| 56.9
| 0.0
| 1.5
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.1
| 41.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
|-
|}
<p style="text-align:center">
(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。
</p>


===各測定点での半定量分析結果===
===各測定点での半定量分析結果===

2024年3月12日 (火) 11:32時点における版


更新履歴 

更新履歴
No 日付 分類 内容 備考 記載者
1 2022/05/16 新規 2PEN2103 TEM分析結果(領域12)の登録 IRID報告書(付録-4)の内容を転記。分析機関での精査を終えていない生データの段階であるため、wordファイルの原本へのリンクを作成するに留めた。 原稿作成:鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
2 2022/08/25 改訂 図(HAADF像、EDS元素マッピング、EDS線分析、EDS点分析、電子線回折)を分析機関での精査後のバージョンに差し替えた(リンク先wordファイルを更新)。 原稿作成:鈴木(NFD)
wiki転記:池内(JAEA)
3 2023/3/23 改訂 本文(仮)の追記 図面精査:鈴木(NFD)
wiki原稿(仮)作成:池内(JAEA)
4 2023/03/29 承認 分析データへの掲載承認 池内(JAEA)

断面の微細構造及び元素分布

TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像

 図1に、2PEN2103着目領域12のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図2に示す。当該領域の断面中央には、幅約10 μmのほぼ均一な構造を持った台形状の粒子が存在した。以後、本分析結果の説明において、この粒子を「台形状粒子」という。
 台形状粒子の周囲には、大きさ数十[nm]から1 μmの大きさを持つ微粒子が密集していた。

STEM-EDX元素マッピング

 領域12の断面全体のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3に示す。試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 台形状粒子の内部ではU及びZrが検出され、それぞれ均一に分布していた。U及びZrを含む領域は、台形状粒子の右下部にも存在した。
  • 台形状粒子の周囲には、主にFeが広く分布していた。さらに、Mg、Al、Si、S、Cr、Ni、Sn、Pbを含む領域が存在した。

 台形状粒子の右下部(U及びZrを含む領域)を拡大した視野(視野Aという)に対して取得した元素マップを、図4に示す。試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 視野Aでは、数十 [nm] から数百 [nm] の大きさの粒子において、UとZrが検出された。これらの粒子間にはFeとCrが検出された。
  • 視野AのUとZrを含む粒子の周囲には、Feが広く分布していた。さらに、Mg、Si、Ca、Cr、Ni、Zn、Sb、Pbを含む領域が存在した。


(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

STEM-EDX線分析データ

 台形状粒子を横切る位置で取得した線分析データを図5に示す。台形状粒子の内部では、UとZrがほぼ均一に分布していた。台形状粒子の周辺(左端から約1.2 μmまでの位置、及び約5.3 μm以上の位置)では、Feのカウント数の増加が認められた。左端から約1.0~1.2 μmの位置では、Crのカウント数の増加が認められた。  視野Aを横切る位置で取得した線分析データを図6に示す。大きさ数百 [nm] の粒子の位置では、UとZrのカウント数の増加が認められた。また、画面左端から約0.1~0.2 μm に位置する大きさ約100 nmの粒子では、Uのカウント数は増加せず、Zrのカウント数が増加した。線分析位置の左端付近と右端付近ではFeのカウント数の増加が認められた。

各相組成の半定量分析結果

点分析位置

 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置を、図7に示す通り設定した。台形状粒子から3箇所(位置①~③)、台形状粒子の近傍でUとZrを含む粒子から1箇所(位置④)、視野AにおいてUとZrを含む粒子から2箇所(位置⑦⑨)、同視野のZrを含む粒子から1箇所(位置⑥)、同視野のこれら粒子間に存在するFeとCrを含む箇所から1箇所(位置⑧)、同視野の外周部から1箇所(位置⑩)、及び台形状粒子の周辺に密集する微粒子から1箇所(位置⑤)の計10箇所を設定した。

各測定点での同定元素

 各位置(①~⑩)での点分析で取得したスペクトルを図8~17に示す。ソフトウェアの解析により出力された半定量取得データは、図7に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。

  • 位置①~④では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
  • 位置⑤では、O、及びFeのピークが検出された。
  • 位置⑥では、O、Fe、及びZrのピークが検出された。
  • 位置⑦では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置⑧では、O、Cr、Fe、及びごく小さい強度のZrのピークが検出された。
  • 位置⑨では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置⑩では、O、Mg、及びFeのピークが検出された。


表1 一次データ
位置 OK NaK MbK AlK SiK SK CaK TiK Cr K MnK FeK NiK ZnK ZrK Mo K RuL SnL SbL TeL CsL BaL Pb L UM
72.0 0.0 0.1 0.4 0.4 0.0 0.0 0.0 0.7 0.1 1.8 0.0 0.0 8.9 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 15.5
72.0 0.0 0.0 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.8 0.1 1.6 0.0 0.1 9.6 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 15.2
72.7 0.0 0.0 0.2 0.3 0.0 0.0 0.1 0.9 0.1 1.6 0.0 0.1 9.6 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 14.2
80.9 0.0 0.0 0.3 0.2 0.0 0.0 0.1 0.4 0.2 1.6 0.0 0.1 4.1 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 12.2
55.3 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 43.5 0.1 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1
78.5 0.0 0.3 0.1 0.6 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 5.0 0.3 0.0 14.8 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1
78.6 0.0 0.0 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.6 0.1 1.5 0.0 0.0 6.7 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 11.9
56.1 0.0 0.4 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 28.0 1.3 13.1 0.0 0.0 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1
72.6 0.0 0.2 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 5.5 0.3 3.6 0.0 0.0 7.8 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 9.3
56.9 0.0 1.5 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 41.3 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。

各測定点での半定量分析結果

 半定量取得データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに以下に示す。

TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果

 電子線回折の測定位置、各位置で取得した回折図形、及び結晶構造の同定結果を図18に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同図に示す。
 台形状粒子の位置⑪では、構造解析の結果c-UO2のパターンと一致し、近傍のEDX点分析(位置①②③)ではUと同程度の濃度でZrが検出されたことから、当該箇所はc-(U, Zr)O2と推定された。
 視野AにおいてUとZrを含む粒子である位置⑦は、構造解析の結果c-UO2のパターンと一致し、同位置のEDX点分析ではUと同程度の濃度でZrが検出されたことから、当該箇所はc-(U,Zr)O2と推定された。
 同じく視野AにおいてZrを含む粒子である位置⑥は、構造解析の結果m-ZrO2のパターンと一致した。同位置のEDX点分析では、Zrの他にFeも検出されていた。一方で、この粒子の大きさは高々100 nm程度であり、周辺をFeとOからなる連続相によって取り囲まれている。このため、点分析で検出されたFeは、周辺(断面のみならず、深さ方向からの寄与も含む)からの影響を拾っていると考えられる。以上より、当該箇所はm-ZrO2と推定された。
 視野Aにおいて粒子間の位置を占める位置⑫は、構造解析の結果c-FeCr2O4のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置⑧)におけるCr/Fe原子比(約2)とも整合していることから、当該箇所はc-FeCr2O4と推定された。
 視野Aの外周部である位置⑬では、構造解析の結果c-Fe3O4のパターンと一致し、近傍の点分析(位置⑩)において主にFeが検出されたことから、当該箇所はc-Fe3O4と推定された。

 2PEN2103領域12は、組成がほぼ一様で約10 μmの大きさを持ったc-(U,Zr)O2粒子であり、その近傍にもサブミクロンのc-(U,Zr)O2粒子が複数存在した。これらのc-(U,Zr)O2粒子は、ほぼ同等のU/Zr比を有していた(U : Zrの原子比が約6 : 4)。また、約100 nmの大きさを持ったm-ZrO2の微粒子も存在した。  これらの粒子の近傍及び粒子間にて、c-FeCr2O4及びc-Fe3O4が同定された。



図データ