「燃料デブリの分析(特徴、経験温度)」の版間の差分
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'''図2'''に、TMI-2で使用されていた燃料集合体の模式図を示す。15x15の燃料集合体内に、燃料棒(ジルカロイ被覆管)、および、制御棒案内管と計装管(ジルカロイ製)が配置されている。燃料棒の軸方向には、数か所でスペーサーグリッド(インコネル製)が配置され、上端と下端は、ステンレス製の金具で束ねられている。上端下端金具内にはインコネル製のスプリングが装着されている。さらに、各燃料集合体内には、可燃性毒物棒スパイダー、制御棒スパイダー、軸方向出力平坦化棒スパイダー(APSR: Ax1al Power Shaping Rod APSR)のうち、ひとつのタイプのスパイダーが案内管を通じて挿入される構造になっている('''図3''')。 | '''図2'''に、TMI-2で使用されていた燃料集合体の模式図を示す。15x15の燃料集合体内に、燃料棒(ジルカロイ被覆管)、および、制御棒案内管と計装管(ジルカロイ製)が配置されている。燃料棒の軸方向には、数か所でスペーサーグリッド(インコネル製)が配置され、上端と下端は、ステンレス製の金具で束ねられている。上端下端金具内にはインコネル製のスプリングが装着されている。さらに、各燃料集合体内には、可燃性毒物棒スパイダー、制御棒スパイダー、軸方向出力平坦化棒スパイダー(APSR: Ax1al Power Shaping Rod APSR)のうち、ひとつのタイプのスパイダーが案内管を通じて挿入される構造になっている('''図3''')。 | ||
'''図4'''に、分析に供された2個の燃料集合体(D-141-3、D-153-9)の上部残留物の外観を示す。D-141-3では、上部スペーサーグリッドから制御棒スパイダーの上部までが、ほぼ無傷であった。図は、上部スペーサーグリッドの下あたりの外観を示している。上部スぺーサーグリッドの下では、燃料棒や制御棒は一部無傷でぶら下がっており、これらは、分析のために除去された。ステンレス製の制御棒被覆管は、途中で溶融して崩落した痕跡が観測された。一方で、ジルカロイ製の燃料棒被覆管は、溶融でなく脆性破壊で途中から崩落した痕跡が観察された。この脱落は、事故進展時あるいは収納缶に回収した際に発生したと推定された。制御棒のステンレス被覆管が残留(一部で溶融の痕跡)していたことから、このあたりでの事故時ピーク温度は1673K程度と推定された。スペーサーグリッドが残留していた部分では、ピーク温度が1533K以下であったと推定された。D-153-9では、上部スペーサーグリッドとタイプレートが一部で溶融破損(図の右下方向)し、一部では残留(左上方向)していた。右下部分では、エプロンも溶融していた。左上では、燃料棒や制御棒が、上部スペーサーグリッドの20-25cm下まで残留していた。これらの残留状態から、右下領域でのピーク温度は>1673Kと推定された。左上領域では> | '''図4'''に、分析に供された2個の燃料集合体(D-141-3、D-153-9)の上部残留物の外観を示す。D-141-3では、上部スペーサーグリッドから制御棒スパイダーの上部までが、ほぼ無傷であった。図は、上部スペーサーグリッドの下あたりの外観を示している。上部スぺーサーグリッドの下では、燃料棒や制御棒は一部無傷でぶら下がっており、これらは、分析のために除去された。ステンレス製の制御棒被覆管は、途中で溶融して崩落した痕跡が観測された。一方で、ジルカロイ製の燃料棒被覆管は、溶融でなく脆性破壊で途中から崩落した痕跡が観察された。この脱落は、事故進展時あるいは収納缶に回収した際に発生したと推定された。制御棒のステンレス被覆管が残留(一部で溶融の痕跡)していたことから、このあたりでの事故時ピーク温度は1673K程度と推定された。スペーサーグリッドが残留していた部分では、ピーク温度が1533K以下であったと推定された。D-153-9では、上部スペーサーグリッドとタイプレートが一部で溶融破損(図の右下方向)し、一部では残留(左上方向)していた。右下部分では、エプロンも溶融していた。左上では、燃料棒や制御棒が、上部スペーサーグリッドの20-25cm下まで残留していた。これらの残留状態から、右下領域でのピーク温度は>1673Kと推定された。左上領域では>1533Kと推定された。 | ||
'''図5(a)'''に、燃料棒の崩落断面の拡大を示す。ペレットには溶融の痕跡はほぼ見られず、内部にクラックが入っているのが見える。その周囲の燃料被覆管は脆性破断したように崩落していることがわかる。このような崩落メカニズムで、上部ルースデブリベッドが形成された可能性が示唆される。この場合、崩落物の温度は高々2200K程度と推定される。'''図5(b)'''に、制御棒の崩落断面の拡大を示す。内部が中空で、中性子吸収剤(Ag-In-Cd)が溶落し消失していることがわかる。また、ステンレス製の制御棒被覆管とジルカロイ製の案内管の間で共晶溶融が発生していることがわかる。'''図5(c)'''には、制御棒の下部の様子を示す。Ag-In- | '''図5(a)'''に、燃料棒の崩落断面の拡大を示す。ペレットには溶融の痕跡はほぼ見られず、内部にクラックが入っているのが見える。その周囲の燃料被覆管は脆性破断したように崩落していることがわかる。このような崩落メカニズムで、上部ルースデブリベッドが形成された可能性が示唆される。この場合、崩落物の温度は高々2200K程度と推定される。'''図5(b)'''に、制御棒の崩落断面の拡大を示す。内部が中空で、中性子吸収剤(Ag-In-Cd)が溶落し消失していることがわかる。また、ステンレス製の制御棒被覆管とジルカロイ製の案内管の間で共晶溶融が発生していることがわかる。'''図5(c)'''には、制御棒の下部の様子を示す。Ag-In-Cdが溶融凝固してスタックしているが、被覆管とはほとんど反応していないことが確認できる。上部端栓近くでは、制御棒被覆管がほぼ本来形状を維持し、Ag-In-CdとInconel製のスプリングのみが溶融していた。このことから、制御棒内の温度は1073-1673Kであり、軸方向に大きな温度勾配があったと推定された。 | ||
ジルカロイ製の制御棒案内管については、内部で水素化が進んでいた('''図6''')。一方で、同じ高さレベルでの燃料被覆管では酸化が進み、水素化の痕跡は見られなかった。これらのことから、事故時の水蒸気/水素気流が局所的に異なっていた可能性が示唆された。燃料ペレットは、一部で破砕しており、若干の結晶成長が見られた。燃料被覆管については、軸方向の高さ位置によって、外周部での酸化進展が異なっていた('''図7''')。このことは、軸方向に大きな温度勾配と、水蒸気/水素比の変化があったことを示唆した。 | |||
温度推定の根拠となった、各構成物質の融点や共晶溶融温度を、'''表1'''に示す[3]。また、以下に観察結果とそこからの推定をまとめて示す。 | |||
'''内部調査での観測結果:''' 177体の燃料集合体のうち、42体が炉心周辺部に、ほぼ全長を維持して残留、そのうち2体のみが、全長に対して>90%無傷の燃料棒を保持 | '''内部調査での観測結果:''' 177体の燃料集合体のうち、42体が炉心周辺部に、ほぼ全長を維持して残留、そのうち2体のみが、全長に対して>90%無傷の燃料棒を保持 | ||
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==上部ルースデブリ[2] | ==上部ルースデブリ== | ||
上部ルースデブリサンプルの分析については、参考文献[1]に分析結果の概略が、参考文献[2]に詳細が報告されている。 | |||
上部ルースデブリは2回に分けて、炉心中央(H8集合体のあった部分)と中間領域(E9集合体のあった部分)からサンプリングされた。採集したサンプル重量は、炉心全体重量に対し、わずか0.001%に相当した(サンプルごとに10数gから最大200g弱を採集)。'''図8'''に、採集部位の詳細を示す[2]。'''図9'''に、サンプリング部位と、サンプル外観との関係を示す[1]。それぞれのサンプルは、含まれていた粒子サイズでおよそ分離され、分析にかけられた。 | |||
物理分析では、外観観察と写真撮影、重量とかさ密度測定、粒度分布測定、さらに磁性と自然発火性の確認試験、が行われた。上部ルースデブリの構成成分は、本来炉心を構成する物質とは異なっており、外観観察により、5グループに分類された。 | |||
# 破損した燃料棒の一部 | |||
# 破損した被覆管粒子 | |||
# 多孔質の溶融凝固物 | |||
# 燃料ペレットや溶融凝固酸化物の粒子 | |||
# 溶融金属の凝固した粒子 | |||
かさ密度測定では、採集位置により、大きく2つのグループに分類された。図8のサンプル-1,3,6では、かさ密度は3.5-3.8g/cm<sup><small>3</small></sup>であり、サンプル-9,10,11では、5.0-5.5g/cm<sup><small>3</small></sup>であった。粒度分布測定では、サンプル-1,3,6では、1680-4000ミクロンまで分布が広がっていたのに対し、サンプル-9,10,11では、1680-4000ミクロンサイズと297-700ミクロンサイズの2か所に粒子サイズのピークが存在した。サンプル-9,10,11では、粒度の異なる粒子が混在することで、かさ密度が高くなったと推定された。試料全体としては、1mmを超えるような大きな粒子が多く(>80%)存在していた。デブリベッドの表面近くでは大きな粒子のみが存在しており、下の方にいくと(表面からおよそ36-56cm以下)、小サイズの粒子が混在し、かさ密度が大きくなる傾向が確認された。サンプル-6でのみ磁性がある粒子が検出された。 | |||
29個の粒子が微細組織分析に回され、金相顕微鏡、走査型電子顕微鏡、EDX分析、オージェ分析、などが行われた。ほぼすべての粒子に、事故時にU-Zr-Oメルトを形成していた痕跡が観察され、ピーク温度は>2200Kと推定された。さらにその多くで、(U,Zr)O<sub><small>2</small></sub>相が形成されており、ピーク温度>2800Kと推定された。さらに一部では、UO<sub><small>2</small></sub>が溶融した痕跡が見られ、ピーク温度>3100Kと推定された。しかし、サンプル全体としては、これらの溶融の痕跡は一部にとどまっており、ルースデブリの平均的なピーク温度は<2000Kと推定された。あるいは、高温に曝された時間は極めて短時間と推定された。このため、溶融の痕跡が見られる部分の近くに、未溶融の物質が残留できたと推定された。また、U-Zr-Oメルトが形成されていた部分では、燃料棒に由来しない成分(Al,Cr,Fe,Ni)が検出された。このような成分は、結晶粒界やボイドの内表面に多く見られた。いくつかの粒子では、燃料に由来しない成分の方が割合が多かった。Ag-In-Cdは、このような鋼材由来の合金中にほとんど検出されなかった。一方で、Ag-Ni-Snの金属間化合物の析出物が同定された。 | |||
ルースデブリのバルクサンプル、粒子状や塊状サンプルを混合し、ICPによる化学分析が行われた。以下の5つのグループに分類して、分析結果を評価した。 | |||
# 燃料ペレット+ジルカロイ被覆管 | |||
# Ag-In-Cd制御棒 | |||
# 可燃性毒物棒(B,Gd,Al含有) | |||
# 構造材(SS、インコネル) | |||
# Te含有物質 | |||
いずれのサンプルからも、UとZrが検出され、事故進展中に、燃料成分が溶融し混合したことが示された。また、初期の炉心組成に比べ、ルースデブリ中ではZrの割合が<50%減少していることが示された。制御棒については、Agの割合が初期組成に比べて>90%減少していた。可燃性毒物については、AlとGdは、ほぼすべてのサンプル中に存在していた。Gdは初期炉心中にわずか13kgしか装荷されていなかったが、広く均質に分布していた。Alはデブリベッドの表面近くに多く存在していた。このことから、デブリベッドは、揮発性物質のトラップとなっていた可能性が示唆された。構造材は、デブリベッド全体で均質に検出され、その組成は、炉心本来組成に近かった。Teは、Alと同様にデブリベッドの表面近くに濃化していた。 | |||
化学分析と同様に、混合したサンプルを用いて、放射線分析が行われた。分析結果に基づいて、U-235/U-238比、高揮発性FP(I-129,Cs-137)、中揮発性FP(Ru-106,Sb-125)、低揮発性FP(Sr-90,Ce-144)の分布、などが評価され、推定値と比較された。Ceの検出濃度が高いことから、Ce分布が非均質であった可能性が示唆された。また、NiによるSb-125やRu-106のスカベンジ効果があることが推定された。I-129はサンプル表面に濃化していた。 | |||
以下に観察結果のまとめとそこからの推定を示す。 | |||
ここから、 | |||
主な成分: 形状を維持した燃料ペレット、破砕した燃料ペレット、燃料棒由来の溶融・凝固物 | 主な成分: 形状を維持した燃料ペレット、破砕した燃料ペレット、燃料棒由来の溶融・凝固物 | ||
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[1] R.K. McCardell, M. L. Russell, D.W. Akers, C.S. Olsen, Summary of TMI-2 core sample examination, Nucl. Eng. Des. 118 (1990) 441-449. | [1] R.K. McCardell, M. L. Russell, D.W. Akers, C.S. Olsen, Summary of TMI-2 core sample examination, Nucl. Eng. Des. 118 (1990) 441-449. | ||
[2] D.W. Akers, E.R. Carlson, B.A. Cook, S.A. Ploger and J.O. Carlson, TMI-2 core debris grab samples -Examination and analysis, GEND-INF-075, 1986. | [2] D.W. Akers, E.R. Carlson, B.A. Cook, S.A. Ploger and J.O. Carlson, TMI-2 core debris grab samples -Examination and analysis, GEND-INF-075-PT-1, 1986. | ||
[3] S.M. Jensen, D.W. Akers, R.W. Garner and G.S. Roybal, Examination of the TMI-2 core distinct components, GEND-INF-082, 1987. | [3] S.M. Jensen, D.W. Akers, R.W. Garner and G.S. Roybal, Examination of the TMI-2 core distinct components, GEND-INF-082, 1987. |
2024年6月18日 (火) 15:46時点における版
コアデブリサンプルの採集位置
TMI-2事故では、事故収束時の圧力容器内の最終形態(図1)が報告されている。コアデブリサンプルが、上部プレナム内の堆積/付着物、炉心の比較的上部に堆積していたデブリベッド、その下の溶融凝固領域、残留していた燃料集合体、下部プレナムデブリから、それぞれ回収され分析が行われた。分析結果に基づいて、それぞれの領域ごとに、事故進展中のピーク温度、構成材料間の反応、デブリ組成、デブリ酸化度、FP残留程度などが評価された[1]。
各領域の概要
- 上部空洞: 最深1.5mの深さ、空間体積9.3m3。周辺部に177個の燃料集合体のうち42個が部分的に残留、うち2個で全長に対し90%以上の無傷の燃料が残留
- 上部ルールデブリ: 上部空洞の直下。厚み0.6~1m、重量26.4トン
- 溶融・凝固物層: 3m径、中央で1.5m厚、周辺で0.25m厚、重量32.7トン
- ハードクラスト: 溶融・凝固物層を、上下及び周辺で取り囲むクラスト層
- 切り株燃料集合体: 0.2~1.5m高さ、下部クラストの下で、溶融・凝固物を支持
- 下部プレナムデブリ: 0.75~1m厚さ、堆積範囲4m径、重量19.2トン。堆積状態はシンメトリックでなく小山状。ハードデブリとルースデブリ
コアデブリサンプルの採集場所
- 上部ルースデブリ
- 上部空洞周辺の残留燃料集合体
- 溶融凝固層と周辺のクラスト層
- 切り株燃料集合体
- 下部プレナムデブリ
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上部空洞周辺に残留していた燃料集合体
上部空洞周辺に残留していた燃料集合体の分析については、参考文献[1]に分析結果の概略が、参考文献[3]に詳細が報告されている。
図2に、TMI-2で使用されていた燃料集合体の模式図を示す。15x15の燃料集合体内に、燃料棒(ジルカロイ被覆管)、および、制御棒案内管と計装管(ジルカロイ製)が配置されている。燃料棒の軸方向には、数か所でスペーサーグリッド(インコネル製)が配置され、上端と下端は、ステンレス製の金具で束ねられている。上端下端金具内にはインコネル製のスプリングが装着されている。さらに、各燃料集合体内には、可燃性毒物棒スパイダー、制御棒スパイダー、軸方向出力平坦化棒スパイダー(APSR: Ax1al Power Shaping Rod APSR)のうち、ひとつのタイプのスパイダーが案内管を通じて挿入される構造になっている(図3)。
図4に、分析に供された2個の燃料集合体(D-141-3、D-153-9)の上部残留物の外観を示す。D-141-3では、上部スペーサーグリッドから制御棒スパイダーの上部までが、ほぼ無傷であった。図は、上部スペーサーグリッドの下あたりの外観を示している。上部スぺーサーグリッドの下では、燃料棒や制御棒は一部無傷でぶら下がっており、これらは、分析のために除去された。ステンレス製の制御棒被覆管は、途中で溶融して崩落した痕跡が観測された。一方で、ジルカロイ製の燃料棒被覆管は、溶融でなく脆性破壊で途中から崩落した痕跡が観察された。この脱落は、事故進展時あるいは収納缶に回収した際に発生したと推定された。制御棒のステンレス被覆管が残留(一部で溶融の痕跡)していたことから、このあたりでの事故時ピーク温度は1673K程度と推定された。スペーサーグリッドが残留していた部分では、ピーク温度が1533K以下であったと推定された。D-153-9では、上部スペーサーグリッドとタイプレートが一部で溶融破損(図の右下方向)し、一部では残留(左上方向)していた。右下部分では、エプロンも溶融していた。左上では、燃料棒や制御棒が、上部スペーサーグリッドの20-25cm下まで残留していた。これらの残留状態から、右下領域でのピーク温度は>1673Kと推定された。左上領域では>1533Kと推定された。
図5(a)に、燃料棒の崩落断面の拡大を示す。ペレットには溶融の痕跡はほぼ見られず、内部にクラックが入っているのが見える。その周囲の燃料被覆管は脆性破断したように崩落していることがわかる。このような崩落メカニズムで、上部ルースデブリベッドが形成された可能性が示唆される。この場合、崩落物の温度は高々2200K程度と推定される。図5(b)に、制御棒の崩落断面の拡大を示す。内部が中空で、中性子吸収剤(Ag-In-Cd)が溶落し消失していることがわかる。また、ステンレス製の制御棒被覆管とジルカロイ製の案内管の間で共晶溶融が発生していることがわかる。図5(c)には、制御棒の下部の様子を示す。Ag-In-Cdが溶融凝固してスタックしているが、被覆管とはほとんど反応していないことが確認できる。上部端栓近くでは、制御棒被覆管がほぼ本来形状を維持し、Ag-In-CdとInconel製のスプリングのみが溶融していた。このことから、制御棒内の温度は1073-1673Kであり、軸方向に大きな温度勾配があったと推定された。
ジルカロイ製の制御棒案内管については、内部で水素化が進んでいた(図6)。一方で、同じ高さレベルでの燃料被覆管では酸化が進み、水素化の痕跡は見られなかった。これらのことから、事故時の水蒸気/水素気流が局所的に異なっていた可能性が示唆された。燃料ペレットは、一部で破砕しており、若干の結晶成長が見られた。燃料被覆管については、軸方向の高さ位置によって、外周部での酸化進展が異なっていた(図7)。このことは、軸方向に大きな温度勾配と、水蒸気/水素比の変化があったことを示唆した。
温度推定の根拠となった、各構成物質の融点や共晶溶融温度を、表1に示す[3]。また、以下に観察結果とそこからの推定をまとめて示す。
内部調査での観測結果: 177体の燃料集合体のうち、42体が炉心周辺部に、ほぼ全長を維持して残留、そのうち2体のみが、全長に対して>90%無傷の燃料棒を保持
分析方法: 非破壊検査(in situ CCTV、写真、ガンマ線、中性子計測)燃料集合体や制御棒/中性子毒物棒集合体、空洞部位から上部金具にかけて
破壊分析(金相写真、化学分析、放射化学分析)燃料棒/制御棒の上部端栓
分析結果: 事故時に径方向/軸方向に大きな温度勾配が発生していた痕跡、いったん溶融した燃料棒や制御棒の冷却過程が場所によって相違していた痕跡
溶融Ag-In-Cdが、吹き上がり、制御棒の上部プレナムスプリングに付着
燃料棒上端が破損し、燃料・制御棒・構造材成分が上部の燃料被覆管ギャップに侵入
燃料棒や制御棒が、軸方向の途中で溶融あるいは機械的に脱落
事故時ピーク温度(推定): 上部スペーサーグリッド付近で1500-1700K(# 構成材料の溶融状態の痕跡から推定)
事故時の状態(推定): 事故進展中に、炉心周辺領域の燃料集合体は下の方で、溶融物に浸漬
溶融した制御棒、破砕された燃料棒、可燃性毒物棒、などが崩落し、ルースデブリベッドを形成(# 溶融状態の痕跡から、崩落時の平均的な温度は2000K程度、局所的には、二酸化物の融点2800Kや、UO2融点3100Kに到達、と推定)
# 溶融部分と未溶融部分の界面でのピーク温度を、各構成成分の溶融温度や共晶反応温度から推定。
材料 | 融点 (K) |
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304 type-SS(上部金具、エプロン、グリル、など) | 1673 |
718-Inconel(スペーサーグリッド) | 1533 |
X-750 Inconel(スプリング) | 1666 |
Ag-In-Cd(中性子吸収剤) | 1073 |
Zircaloy(燃料棒被覆管、制御棒案内管、計装案内管) | 2030 |
UO2(燃料ペレット) | 3120 |
(U,Zr)O2 (燃料棒の溶融生成物) | 2800 |
Al2O3-B4C(可燃性毒物) | 2300 |
Ni-Zr, Fe-ZrのZrリッチ側共晶溶融(金属部材の界面反応生成物) | 1200 |
Ni-Zr, Fe-ZrのNi,Feリッチ側の共晶溶融(同上) | 1500-1600 |
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上部ルースデブリ
上部ルースデブリサンプルの分析については、参考文献[1]に分析結果の概略が、参考文献[2]に詳細が報告されている。
上部ルースデブリは2回に分けて、炉心中央(H8集合体のあった部分)と中間領域(E9集合体のあった部分)からサンプリングされた。採集したサンプル重量は、炉心全体重量に対し、わずか0.001%に相当した(サンプルごとに10数gから最大200g弱を採集)。図8に、採集部位の詳細を示す[2]。図9に、サンプリング部位と、サンプル外観との関係を示す[1]。それぞれのサンプルは、含まれていた粒子サイズでおよそ分離され、分析にかけられた。
物理分析では、外観観察と写真撮影、重量とかさ密度測定、粒度分布測定、さらに磁性と自然発火性の確認試験、が行われた。上部ルースデブリの構成成分は、本来炉心を構成する物質とは異なっており、外観観察により、5グループに分類された。
- 破損した燃料棒の一部
- 破損した被覆管粒子
- 多孔質の溶融凝固物
- 燃料ペレットや溶融凝固酸化物の粒子
- 溶融金属の凝固した粒子
かさ密度測定では、採集位置により、大きく2つのグループに分類された。図8のサンプル-1,3,6では、かさ密度は3.5-3.8g/cm3であり、サンプル-9,10,11では、5.0-5.5g/cm3であった。粒度分布測定では、サンプル-1,3,6では、1680-4000ミクロンまで分布が広がっていたのに対し、サンプル-9,10,11では、1680-4000ミクロンサイズと297-700ミクロンサイズの2か所に粒子サイズのピークが存在した。サンプル-9,10,11では、粒度の異なる粒子が混在することで、かさ密度が高くなったと推定された。試料全体としては、1mmを超えるような大きな粒子が多く(>80%)存在していた。デブリベッドの表面近くでは大きな粒子のみが存在しており、下の方にいくと(表面からおよそ36-56cm以下)、小サイズの粒子が混在し、かさ密度が大きくなる傾向が確認された。サンプル-6でのみ磁性がある粒子が検出された。
29個の粒子が微細組織分析に回され、金相顕微鏡、走査型電子顕微鏡、EDX分析、オージェ分析、などが行われた。ほぼすべての粒子に、事故時にU-Zr-Oメルトを形成していた痕跡が観察され、ピーク温度は>2200Kと推定された。さらにその多くで、(U,Zr)O2相が形成されており、ピーク温度>2800Kと推定された。さらに一部では、UO2が溶融した痕跡が見られ、ピーク温度>3100Kと推定された。しかし、サンプル全体としては、これらの溶融の痕跡は一部にとどまっており、ルースデブリの平均的なピーク温度は<2000Kと推定された。あるいは、高温に曝された時間は極めて短時間と推定された。このため、溶融の痕跡が見られる部分の近くに、未溶融の物質が残留できたと推定された。また、U-Zr-Oメルトが形成されていた部分では、燃料棒に由来しない成分(Al,Cr,Fe,Ni)が検出された。このような成分は、結晶粒界やボイドの内表面に多く見られた。いくつかの粒子では、燃料に由来しない成分の方が割合が多かった。Ag-In-Cdは、このような鋼材由来の合金中にほとんど検出されなかった。一方で、Ag-Ni-Snの金属間化合物の析出物が同定された。
ルースデブリのバルクサンプル、粒子状や塊状サンプルを混合し、ICPによる化学分析が行われた。以下の5つのグループに分類して、分析結果を評価した。
- 燃料ペレット+ジルカロイ被覆管
- Ag-In-Cd制御棒
- 可燃性毒物棒(B,Gd,Al含有)
- 構造材(SS、インコネル)
- Te含有物質
いずれのサンプルからも、UとZrが検出され、事故進展中に、燃料成分が溶融し混合したことが示された。また、初期の炉心組成に比べ、ルースデブリ中ではZrの割合が<50%減少していることが示された。制御棒については、Agの割合が初期組成に比べて>90%減少していた。可燃性毒物については、AlとGdは、ほぼすべてのサンプル中に存在していた。Gdは初期炉心中にわずか13kgしか装荷されていなかったが、広く均質に分布していた。Alはデブリベッドの表面近くに多く存在していた。このことから、デブリベッドは、揮発性物質のトラップとなっていた可能性が示唆された。構造材は、デブリベッド全体で均質に検出され、その組成は、炉心本来組成に近かった。Teは、Alと同様にデブリベッドの表面近くに濃化していた。
化学分析と同様に、混合したサンプルを用いて、放射線分析が行われた。分析結果に基づいて、U-235/U-238比、高揮発性FP(I-129,Cs-137)、中揮発性FP(Ru-106,Sb-125)、低揮発性FP(Sr-90,Ce-144)の分布、などが評価され、推定値と比較された。Ceの検出濃度が高いことから、Ce分布が非均質であった可能性が示唆された。また、NiによるSb-125やRu-106のスカベンジ効果があることが推定された。I-129はサンプル表面に濃化していた。
以下に観察結果のまとめとそこからの推定を示す。
ここから、
主な成分: 形状を維持した燃料ペレット、破砕した燃料ペレット、燃料棒由来の溶融・凝固物
主な物質: UO2、ZrO2、(U,Zr)O2 一方で、Zry金属、燃料集合体部材(スペーサー、グリッド)、制御棒材料はほとんど含まれない
堆積状態: 粒子状物質が非均質に堆積(#上部ルースデブリ中では、酸化や材料間の反応が様々な進展)、粒子状デブリの混合性は高い
サイズ: 90%は、1~5mm
ピーク温度: >2800K(溶融・破砕した(U,Zr)O2を検出)、局所的に3100K(一部にいったん溶融したUO2を検出)
崩落・堆積後の温度: <2000K(#昇温・崩落過程で高温化、以降はあまり温度上昇していない)
特記事項: 溶融初期に溶落した物質(制御棒溶融物、Zr/Fe共晶溶融物、Zr/Ni共晶溶融物、溶融インコネル、溶融SS、U-Zr-Oメルト、等)は、下方に移行し、上部ルースデブリ中には残留しにくかったと推定。
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溶融・凝固デブリ[4]
図3に、典型的なサンプルの断面BSE像(#重元素が明るく見える)。(a)ほぼ酸化物のサンプル、(b)ほぼ金属のサンプル、(c)酸化物/金属混合物
主な成分: 酸化物と金属の混合物、主に酸化物相、主に金属相
存在割合: 金属相領域の体積割合は15%
主な物質: 金属相:制御棒被覆(SS)、スペーサーグリッド(インコネル)、制御材(Ag-In-Cd)が由来の物質
酸化物:(U,Zr)O2
ピーク温度: 2800K(溶融・凝固した(U,Zr)O2を検出)、3100Kに到達した可能性(上部ルースデブリで見られたUO2溶融・凝固物からの推定)
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上部クラスト[4]
図4に、典型的なサンプルの断面SEM像(#重元素が暗く見える)
主な成分: 酸化物と金属の混合物
存在割合: 金属相領域の体積割合は25%
主な物質: 金属相:制御棒被覆(SS)、スペーサーグリッド(インコネル)、制御材(Ag-In-Cd)が由来の物質。Fe-Ni合金、Ag-In-U合金、Ni-Sn合金等、Cdは未検出
酸化物:(U,Zr)O2
ピーク温度: 2800K(酸化物相の主成分が溶融・凝固した(U,Zr)O2)
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周辺クラスト[4]
上部クラストとおよそ同じ状態。
主な成分: 酸化物と金属の混合物、一部に無傷なペレットを検出、金属相中にZrが多い
存在割合: 参考文献[1]で言及なし、おそらく25%
主な物質: 金属相:制御棒被覆(SS)、スペーサーグリッド(インコネル)、制御材(Ag-In-Cd)が由来の物質。Fe-Zr-Ni-Cr合金、Ag-In合金、Zr-Ni-In合金等、金属Zrを多く含む
酸化物:(U,Zr)O2
組成: 金属相の平均組成は、U,Zr,Cdを除くと炉心平均組成に近い(SS, インコネル, 中性子吸収剤)
ピーク温度: 2800K(酸化物相の主成分が溶融・凝固した(U,Zr)O2)
特記事項: 燃料被覆管/制御棒、制御棒/制御棒案内管の共晶溶融物の崩落と推定
下部クラスト[4]
図5に、典型的なサンプルの断面SEM像(#重元素が暗く見える)。
主な成分: 残留ペレットが縦方向に本来形状を維持してスタックし、その周囲を溶融・凝固物が覆っている。
存在割合: 参考文献[1]で言及なし
主な物質: 金属相:制御棒材や燃料集合体部材と、Zr被覆管や制御棒案内管との、共晶溶融・凝固物、内部に100-200ミクロンの丸いUO2析出物
酸化物:ペレットの残留物
組成: 金属相の平均組成は、U,Zr,Cdを除くと炉心平均組成に近い(SS, インコネル, 中性子吸収剤)。Zr-Fe-Ni-Cr合金、Ag-In合金、Zr-Ni-In合金等、周辺クラストよりさらにZrの割合が高い。
ピーク温度: 金属相中にUO2析出物が見られたことから、2200Kに到達し、U-Zr-Oメルトを形成していたと推定
特記事項: 事故初期フェーズで、制御棒材や燃料集合体部材が溶落し、Zr被覆管や制御棒案内管と接触・溶融(Fe/Zr,Fe/Ni共晶:1400K)、これがペレットの隙間やクラックに侵入して形成と推定
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切り株燃料集合体[4]
切り株燃料集合体と、周辺に残留した集合体で、44.5トンの上部ルースデブリ、クラスト、及び、溶融・凝固デブリを支えていた。
ピーク温度: <1100K(溶融の痕跡が見られない)
特記事項: 一部で下部クラストを通過して、Zrリッチ金属が溶け落ち、わずかに下部プレナムに到達していた。
下部プレナムデブリ[5]
図6に、典型的なサンプルの断面金相。
形状・サイズ: 大きな岩石状(0.2mサイズ)~粒子状(<0.1mm)
主な成分: 溶融・凝固した多孔質物質。
主な物質: (U,Zr)O2 ほぼ均質
組成: 酸化物相中のU:Zr比は、上部ルースデブリ、溶融・凝固物、クラスト中でほぼ同じ(炉心平均に比べ、ややUリッチ)
ピーク温度: 2800-3100K
特記事項: 上部のデブリに比べ、I, Ru, Sbの混入が極めて少ない
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観測結果のまとめ
表1に、検出した相状態・組成、ピーク温度の推定結果、等をまとめて示す。
上部ルースデブリ、上部クラスト、周辺クラスト、溶融・凝固物、下部プレナムデブリのピーク温度は、2800-3100Kと推定
下部クラストの温度は、>1400K、最高2200Kと推定
金属相の組成は、場所によって異なっていた。下部クラスト、周辺クラストでは、Zrリッチの合金を多く検出(Zr-Fe-Ni, U-Ag-Cr-Sn-In-Mo-Cd等)。溶融・凝固物中では、ZrとUの混入が少ない(Fe-Ni, Ag-Sn-Cr-Mo-In-Cd等)、また、存在割合自体が少ない(クラスト中25%、溶融・凝固物中15%)。上部ルースデブリでは、Fe-U-Ni-Zrにマイナー成分としてAg-Cr-Sn-In-Mo-Cd。上部ルースデブリと下部プレナムデブリには、SSや制御棒材はほとんど混入されていなかった。
これらの観測結果から、最初に溶落するのは、インコネル製スペーサーグリッドとZry被覆管の共晶溶融物、Zry制御棒案内管とSS制御棒被覆管の共晶溶融物であり、そこにAg-In-Cdが溶融することで流動性が高まったと推定した。燃料温度が1700K以上に急上昇するとZryの溶融が進み、2200Kあたりで、ZryメルトへのUO2溶融が進むと推定した。ほぼ同じタイミングでSS被覆管が溶けて、Ag-In-Cdが放出され、様々な金属成分が形成される。このような合金相が崩落した燃料ペレットの隙間に存在していた状態から、下部クラストの形成メカニズムとピーク温度を推定した。
デブリの分類 | 主な観測結果 | 事故時ピーク温度(K) | 事故時の状態推定 |
---|---|---|---|
炉心周辺に残留していた燃料集合体 | 上端破損、溶融燃料などが上部プレナムスプリングに付着 | 1500~1700 | 燃料棒の下の方は溶融 |
上部ルースデブリ | UO2, ZrO2, (U,Zr)O2、U:Zr比ほぼ一定
制御棒成分、燃料集合体部材成分はほとんど含まない 溶融凝固の痕跡、しかし、堆積後の再溶融の痕跡はほとんど見られない |
2800~3100(溶融・崩落中)
<2000(デブリベッドとして堆積以降) |
制御棒や燃料集合体部材は、下方に溶落。一部は、>2800Kの高温に到達
デブリベッドとして堆積した以降は、<2000K |
溶融・凝固デブリ | 酸化物:(U,Zr)O2、U:Zr比ほぼ一定
金属:SS,インコネル,Ag-In-Cd由来の合金(U,Zr,Cd金属はあまり含まれない) 金属の体積割合:15% |
2800~3100 | ルースデブリや初期のクラストが再溶融・凝固 |
上部クラスト | 酸化物:(U,Zr)O2、U:Zr比ほぼ一定
金属:SS,インコネル,Ag-In-Cd由来の合金(Fe-Ni, Ag-In-U, Ni-Sn)、U金属を含む 金属の体積割合:25% |
2800~3100 | 再溶融したデブリの一部がクラスト形成 |
周辺クラスト | 酸化物:(U,Zr)O2、U:Zr比ほぼ一定
金属:SS,インコネル,Ag-In-Cd由来の合金(Fe-Zr-Ni-Cr, Ag-In, Zr-Ni-In)、Zr割合が多い 金属の体積割合:25% |
2800~3100 | 再溶融したデブリの一部がクラスト形成 |
下部クラスト | 残留したペレットスタックの周囲に溶融・凝固物が侵入
溶融・凝固物中にUO2粒子析出 |
>1400 (金属メルト形成)
~2200 (溶融・凝固相) |
崩落した燃料棒、制御棒、燃料集合体部材などの金属成分が溶融・凝固し、ペレットの隙間やクラックに侵入
一部、U-Zr-Oメルト形成 |
切り株燃料集合体 | 上部で下部クラストと連結
Zrメルトが一部、下部プレナムまで溶落した痕跡あり |
<1100 | 上部のデブリを支持 |
下部プレナムデブリ | 岩石状~粒子状
溶融・凝固した多孔質 均質な(U,Zr)O2が主成分 I, Ru, Sbなどの混入が少ない |
2800~3100 | 炉心部の溶融デブリが短時間で移動し、凝固 |
関連項目
参考文献
[1] R.K. McCardell, M. L. Russell, D.W. Akers, C.S. Olsen, Summary of TMI-2 core sample examination, Nucl. Eng. Des. 118 (1990) 441-449.
[2] D.W. Akers, E.R. Carlson, B.A. Cook, S.A. Ploger and J.O. Carlson, TMI-2 core debris grab samples -Examination and analysis, GEND-INF-075-PT-1, 1986.
[3] S.M. Jensen, D.W. Akers, R.W. Garner and G.S. Roybal, Examination of the TMI-2 core distinct components, GEND-INF-082, 1987.
[4] D.W. Akers, C.S. Olsen, M.L. Russell and R.K. McCardell, The TMI-2 lower core region: Examination and analysis, GEND-INF-092, 1988.
[5] C.S. Olsen, D.W. Akers and R.K. McCardell, Examination od debris from the lower head of the TMI-2 Reactor, GEND-INF-084, 1988.