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{{DISPLAYTITLE:2PEN2103 TEM 領域06}}
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!width="200pt"|備考
!width="200pt"|備考
!width="100pt"|記載者
|-
|-
|1
|1
|2022/05/16
|2025/3/6
|新規
|新規
|2PEN2103 TEM分析結果(領域06)の登録
|TEM/EDX分析結果の掲載(出典<ref name="JAEA23a">令和3年度福島第一原子力発電所の炉内付着物サンプル等の分析,日本原子力研究開発機構,JAEA-Data/Code 2023-005.</ref>)
|IRID報告書(付録-4)の内容を転記。'''分析機関での精査を終えていない生データの段階であるため、wordファイルの原本へのリンクを作成するに留めた。'''
|旧ページは [[Gr1:2PEN2103-TEM-領域06|こちら(アクセス限定:Gr1)]]
|原稿作成:鈴木(NFD)<br>wiki転記:池内(JAEA)
|-
|2
|2022/10/06
|改訂
|図(HAADF像、EDS元素マッピング、EDS線分析、EDS点分析、電子線回折)を分析機関での精査後のバージョンに差し替えた(リンク先wordファイルを更新)。
|
|原稿作成:鈴木(NFD)<br>wiki転記:池内(JAEA)
|-
|3
|2023/3/23
|改訂
|本文(仮)の追記
|
|図面精査:鈴木(NFD)<br>wiki原稿(仮)作成:池内(JAEA)
|-
|4
|2023/03/29
|承認
|分析データへの掲載承認
|
|池内(JAEA)
|}
|}


43行目: 18行目:
===TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像===
===TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像===
 図1に、2PEN2103着目領域06のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。<br>
 図1に、2PEN2103着目領域06のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。<br>
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図5.3.3.2-2に示す。当該領域は、断面上では幅約20 μm、厚さ約10 μmの大きさをもつ不定形粒子が占めており、粒子の内部はほぼ均一な組織を有していた。以後、本分析結果の説明において、この粒子を「主粒子」という。<br>
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図2に示す。当該領域は、断面上では幅約20 μm、厚さ約10 μmの大きさをもつ不定形粒子が占めており、粒子の内部はほぼ均一な組織を有していた。以後、本分析結果の説明において、この粒子を「主粒子」という。<br>
 主粒子の周辺(上側、左側、及び左下)には、数百 [nm] から数 [μm] の大きさの粒子が密集していた。
 主粒子の周辺(上側、左側、及び左下)には、数百 [nm] から数 [μm] の大きさの粒子が密集していた。


<gallery mode="packed" heights=250px caption="">
<gallery mode="packed" heights=500px caption="">
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-01.jpg|図1 SEM画像上に示したTEM観察用試料の採取箇所及び分析・観察方向
Image:2PEN2103_TEM-Region06-1.jpg|図1 SEM画像上に示したTEM観察用試料の採取箇所及び分析・観察方向
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-02.jpg|図2 ミクロ組織のHAADF-STEM像
Image:2PEN2103_TEM-Region06-2.jpg|図2 ミクロ組織のHAADF-STEM像
</gallery>
</gallery>


57行目: 32行目:
*酸素(O)は、断面全体に分布していた。
*酸素(O)は、断面全体に分布していた。


<gallery mode="packed" heights=300px caption="図3 STEM-EDXマップ(粒子左側)">
 断面のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3(主粒子左側)及び図4(主粒子右側)に示す。なお、図4のCuのマップから示されるように、主粒子の右下部では、FIB加工時にメッシュ材由来のCuが再堆積し、局所的に厚い層(Cu再堆積層)が形成されている。この影響で、比較的低エネルギーの特性X線を用いて取得されたO K線のマップ、U M線のマップやZr L線のマップでは、右下部において特性X線強度が局所的に弱い領域が表れている。ここで、U及びZrについては、Cu再堆積層の影響を受けにくい比較的高エネルギーの特性X線として、それぞれU L線及びZr K線を用いて元素マップを確認した。その結果、いずれも概ね均一な分布を示したことから、主粒子上のCu再堆積層においてUとZrは均一に分布しているものと判断された。O K線のマップについても、Cu再堆積層の位置(主粒子上の右下部)において、特性X線の吸収効果により見かけ上濃度の低い領域として表れていると考えられる。
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-1.jpg|
 以上のCu再堆積層の影響の検討結果を踏まえ、試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-2.jpg|
*主粒子の内部ではUとZrが検出され、それぞれ均一に分布していた。
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-3.jpg|
*主粒子周辺において微粒子が密集している領域には、Feが広く分布していた。また、Si、Cr、Niを含むスポットが認められた。
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-4.jpg|
*酸素(O)は、断面全体に分布していた。
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-5.jpg|
 
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-6.jpg|
<gallery mode="packed" heights=300px>
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-03-7.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-1.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-2.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-3.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-4.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-5.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-6.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-3-7.jpg|
</gallery>
</gallery>
<p style="text-align:center">
'''図3 STEM-EDXマップ(粒子左側)'''
</p>
(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。<br>
(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。<br>
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。


<gallery mode="packed" heights=300px caption="図4 STEM-EDXマップ(粒子右側)">
'''SEI''':明視野像/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-1.jpg|
'''(C※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-2.jpg|
'''O'''(Cu再堆積と重複する部分はその影響あり)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-3.jpg|
'''(Na※)'''(高輝度部分はGa,U,Cu,Wの影響)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-4.jpg|
'''(Mg※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-5.jpg|
'''(Al※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-6.jpg|
'''Si'''(W,U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-04-7.jpg|
'''(S※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cl※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ca※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ti※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''Cr'''(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Mn※)'''(高輝度部分はCr,U,W,Cuの影響)/
'''Fe'''/
'''Ni'''(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''Cu'''(試料固定メッシュ材の再堆積)(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Zn※)'''(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/
'''Ga'''(FIB加工用イオンの残留)(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Se※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''Zr'''(粒子左下エッジ高輝度部はエッジ効果による偽信号、Gaと重複する周囲部のZrは再堆積)/
'''(Mo※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Tc※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ru※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Rh※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Pd※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ag※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cd※)'''(高輝度部分はUの影響)/
'''(Sn※)'''(高輝度部分はUの影響)/
'''(Sb※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Te※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(I※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cs※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ba※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Sm※)'''(高輝度部分はCr,U,W,Ga,Cuの影響)/
'''W'''(観察片作製用W保護膜)(U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Pb※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''U'''(粒子左下エッジ高輝度部はエッジ効果による偽信号、粒子左部の濃淡変化は試料厚さ変化の影響、Gaと重複する周囲部のUは再堆積)
 
<gallery mode="packed" heights=300px>
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-1.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-2.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-3.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-4.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-5.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-6.jpg|
Image:2PEN2103 TEM-Region06-4-7.jpg|
</gallery>
</gallery>
<p style="text-align:center">
'''図4 STEM-EDXマップ(粒子右側)'''
</p>
(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。<br>
(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。<br>
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。
'''SEI''':明視野像/
'''(C※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''O'''(Cu再堆積と重複する部分はその影響あり)/
'''(Na※)'''(高輝度部分はGa,Uの影響)/
'''(Mg※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Al※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Si※)'''(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/
'''(S※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cl※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ca※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ti※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''Cr'''(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Mn※)'''(高輝度部分はU,W,Cu,Crの影響)/
'''Fe'''(Uと重複する部分はその影響。Cuの影響が含まれる)/
'''(Ni※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''Cu'''(試料固定メッシュ材の再堆積)(U,Wと重複する部分はそれらの影響が含まれる)/
'''(Zn※)'''(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/
'''Ga'''(FIB加工用イオンの残留)(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Se※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''Zr'''(ZrのK線はCu堆積物の影響を受けにくい、下端はエッジ効果による偽信号)/
'''Zr'''(右下部の信号減弱はFIB加工時のCu堆積物の影響)
'''(Mo※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Tc※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ru※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Rh※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Pd※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ag※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cd※)'''(高輝度部分はU,Cuの影響)/
'''(Sn※)'''(高輝度部分はU,Cuの影響)/
'''(Sb※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Te※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(I※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Cs※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Ba※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''(Sm※)'''(高輝度部分はCr,U,W,Ga,Cuの影響)/
'''W'''(観察片作製用W保護膜)(U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/
'''(Pb※)'''(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/
'''U'''(UのL線はCu堆積物の影響を受けにくい、下端はエッジ効果による偽信号)/'''U'''(右下部の信号元帥は、FIB加工時のCu堆積物の影響)


===STEM-EDX線分析データ===
===STEM-EDX線分析データ===
 主粒子を横切る位置で、STEM-EDXによる線分析を実施した。線分析の位置及び線分析データを図5に示す。<br>
 主粒子を横切る位置で、STEM-EDXによる線分析を実施した。線分析の位置及び線分析データを図5に示す。同図の主粒子上に相当する線分析位置(グラフ横軸の約3~12 μm)では、U、Zr、及びOの信号強度が、位置とともに緩やかに変化した。なお、同位置では右に向かうほどCuの再堆積の影響が強く表れ(STEM-EDX元素マッピング参照)、各元素からの信号強度が過小評価されていると考えられる。このため元素分布の厳密な評価は困難であるものの、主粒子上の測定位置では、異なる相の存在を示すような信号強度の急峻な変化は認められなかった。
 主粒子の位置では、UとZrが概ね均一に分布していた。


<gallery mode="packed" heights=600px caption="図5 STEM-EDX線分析データ">
<gallery mode="packed" heights=700px>
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-05.jpg|
Image:2PEN2103_TEM-Region06-5.jpg|'''図5 STEM-EDX線分析データ'''
</gallery>
</gallery>


92行目: 159行目:
===点分析位置===
===点分析位置===
 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置を、図6に示す通り設定した。UとZrがほぼ均一に分布していると考えられる主粒子上の箇所から7箇所(位置①~⑦)、主粒子周辺のFeとCrを含む箇所から3箇所(位置⑧~⑩)の計10箇所を設定した。
 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置を、図6に示す通り設定した。UとZrがほぼ均一に分布していると考えられる主粒子上の箇所から7箇所(位置①~⑦)、主粒子周辺のFeとCrを含む箇所から3箇所(位置⑧~⑩)の計10箇所を設定した。
<gallery mode="packed" heights=200px caption="図6 STEM-EDX点分析位置及び半定量取得データ">
<gallery mode="packed" heights=500px>
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-06-1.jpg|点分析位置 位置①~③(主粒子上)
Image:2PEN2103_TEM-Region06-6.jpg|'''図6 STEM-EDX点分析位置'''
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-06-2.jpg|点分析位置 位置④~⑦(主粒子上)
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-06-3.jpg|点分析位置 位置⑧~⑩(主粒子下部の微粒子が密集する領域)
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-06-4.jpg|半定量取得データ
</gallery>
</gallery>


===各測定点での同定元素===
===各測定点での同定元素===
 各位置(①~⑩)での点分析で取得したスペクトルを図7~16に示す。ソフトウェアの解析により出力された半定量取得データは、図6に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。
 各位置(①~⑩)での点分析で取得したスペクトルを図7に示す。ソフトウェアの解析により出力された一次データを表1に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。
*位置①では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
*位置①では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
*位置②では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
*位置②では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
*位置③では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
*位置③では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
*位置④では、O、Cr、U、及びZrのピークが検出された。
*位置④では、O、Cr、U、及びZrのピークが検出された。
*位置⑤では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
*位置⑤では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
*位置⑥では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
*位置⑥では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
*位置⑦では、O、U、Zr、及びごく小さい強度のCrのピークが検出された。
*位置⑦では、O、U、及びZrのピークが検出されたCrのピークもわずかな強度で認められた。
*位置⑧では、O、及びFeのピークが検出された。
*位置⑧では、O、及びFeのピークが検出された。
*位置⑨では、O、Fe、及びごく小さい強度のSiのピークが検出された。
*位置⑨では、O、及びFeのピークが検出された。Siのピークもわずかな強度で認められた。
*位置⑩では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。
*位置⑩では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。




<gallery mode="packed" heights=200px caption="図7~16 STEM-EDX点分析スペクトル">
 
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-07(位置1).jpg|位置①
<gallery mode="packed" heights=300px>
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-08(位置2).jpg|位置②
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-07(位置1).jpg|位置①<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-09(位置3).jpg|位置③
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-08(位置2).jpg|位置②<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-10(位置4).jpg|位置④
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-09(位置3).jpg|位置③<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-11(位置5).jpg|位置⑤
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-10(位置4).jpg|位置④<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-12(位置6).jpg|位置⑥
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-11(位置5).jpg|位置⑤<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-13(位置7).jpg|位置⑦
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-12(位置6).jpg|位置⑥<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-14(位置8).jpg|位置⑧
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-13(位置7).jpg|位置⑦<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、Fe, Co:計測システム構成材料、C:加工時蒸着元素)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-15(位置9).jpg|位置⑨
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-14(位置8).jpg|位置⑧<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、C:加工時蒸着元素、Ga:加工イオン)からのEDX信号
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-16(位置10).jpg|位置⑩
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-15(位置9).jpg|位置⑨<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、C:加工時蒸着元素、Ga:加工イオン)からのEDX信号
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-16(位置10).jpg|位置⑩<br/>矢印:定量に用いたピーク<br/>括弧で示した元素:分析系材料や保護膜材として使用されている元素等(Cu:メッシュ材、C:加工時蒸着元素、Ga:加工イオン)からのEDX信号
</gallery>
</gallery>
<p style="text-align:center">
'''図7 STEM-EDX点分析スペクトル'''
</p>
{| class="wikitable"| style="margin:0 auto"
|+ 表1 一次データ
! 位置
! OK
! NaK
! MgK
! AlK
! SiK
! SK
! CaK
! TiK
! Cr K
! MoK
! FeK
! NiK
! ZnK
! ZrK
! ZrL
! Mo K
! RuL
! SnL
! SbL
! TeL
! CsL
! BaL
! Pb L
! UM
|-
| ①
| 72.5
| 0.0
| 0.2
| 0.3
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.5
| 0.0
| 1.3
| 0.0
| 0.0
| 10.3
| -
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 14.5
|-
| ②
| 73.8
| 0.0
| 0.0
| 0.2
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.5
| 0.0
| 1.2
| 0.0
| 0.0
| 9.9
| -
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 14.1
|-
| ③
| 65.0
| 0.0
| 0.1
| 0.3
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.7
| 0.1
| 2.5
| 0.0
| 0.1
| -
| 12.7
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 17.9
|-
| ④
| 73.1
| 0.0
| 0.2
| 0.3
| 0.4
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.5
| 0.0
| 1.1
| 0.0
| 0.0
| 9.9
| -
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 14.4
|-
| ⑤
| 75.4
| 0.0
| 0.0
| 0.4
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.4
| 0.0
| 1.1
| 0.0
| 0.0
| 8.1
| -
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 13.9
|-
| ⑥
| 75.6
| 0.0
| 0.0
| 0.3
| 0.4
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.5
| 0.0
| 1.1
| 0.0
| 0.1
| 8.0
| -
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 13.9
|-
| ⑦
| 73.7
| 0.0
| 0.1
| 0.4
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.4
| 0.0
| 1.3
| 0.0
| 0.1
| 9.1
| -
| 0.0
| 0.2
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 14.4
|-
| ⑧
| 37.4
| 0.0
| 0.1
| 0.1
| 0.3
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.3
| 61.3
| 0.0
| 0.0
| 0.2
| -
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
|-
| ⑨
| 54.9
| 0.0
| 0.1
| 0.0
| 0.5
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
| 0.2
| 43.8
| 0.1
| 0.0
| 0.0
| -
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.1
|-
| ⑩
| 51.3
| 0.0
| 1.0
| 0.2
| 0.1
| 0.0
| 0.1
| 0.1
| 30.0
| 0.8
| 15.1
| 0.0
| 0.1
| 0.6
| -
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.0
| 0.7
|-
|}
<p style="text-align:center">
(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。点分析位置③については、Cu堆積層が厚い位置であり、Cu堆積層の影響をU M線と同程度受けるZr Lにて測定を実施した。
</p>


===各測定点での半定量分析結果===
===各測定点での半定量分析結果===
 一次データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに以下に示す。<br>
 一次データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに表2に示す。なお、位置③については、メッシュ材として用いていたCuが厚く堆積しており(図4のCuのマップを参照)定量評価ができなかったため、半定量分析結果は記載していない。
 なお、位置③については、メッシュ材として用いていたCuが厚く堆積しており(図4のCuのマップを参照)定量評価ができなかったため、半定量分析結果は記載していない。


<gallery mode="packed" heights=200px caption="">
{| class="wikitable"| style="margin:0 auto"
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-06-5.jpg|半定量分析結果(位置①~⑩)
|+表2 半定量分析結果
</gallery>
! 位置
! O
! Na
! Mg
! Al
! Si
! S
! Ca
! Ti
! Cr
! Mn
! Fe
! Ni
! Zn
! Zr
! Mo
! Ru
! Sn
! Sb
! Te
! Cs
! Ba
! Pb
! U
|-
| ①
| 75
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 10
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 15
|-
| ②
| 76
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 10
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 14
|-
| ③※
| colspan="23"|Cu堆積層の影響を大きく受ており、定量評価不可
|-
| ④
| 74
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 1
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 10
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 15
|-
| ⑤
| 78
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 8
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 14
|-
| ⑥
| 78
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 8
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 14
|-
| ⑦
| 76
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 9
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 15
|-
| ⑧
| 38
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 62
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
|-
| ⑨
| 56
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| L.O.Q
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 44
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
|-
| ⑩
| 52
| n.d.
| 1
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 30
| n.d.
| 15
| n.d.
| n.d.
| 1
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| n.d.
| 1
|-
|}
<p style="text-align:center">
(注意事項)<br/>
・ “n.d.”は、EDX信号のエネルギースペクトルにピークが確認されず、検出限界以下と判断した元素である。<br/>
・ “L.O.Q”.は、スペクトルにピークが確認できるものの、本表に示す元素を100%とした場合に0.5at%未満となり、定量下限以下と判断した元素である。<br/>
・ 本表の数値は、“n.d.”及び“L.O.Q.”を除いた半定量性を持つデータを示していると判断した元素を100%として規格化して表示した。<br/>
※ 位置③はメッシュ材に用いているCuが厚く堆積しており、その影響で定量評価は不可。
</p>


==TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果==
==TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果==
 電子線回折の測定位置、各位置で取得した回折図形、及び結晶構造の同定結果を図17に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同図に示す。
 電子線回折の測定位置を図8に、各位置で取得した回折図形を図9に、結晶構造の同定結果を表3に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同表に示す。<br/>
 主粒子上の位置⑪~⑬では、構造解析の結果c-UO<sub>2</sub>のパターンと一致していた。近傍のEDX点分析(点①~③)ではUと同程度の濃度でZrが検出されたことから、当該箇所はc-(U,Zr)O<sub>2</sub>と推定された。
 主粒子上の位置⑪~⑬では、構造解析の結果c-UO<sub>2</sub>のパターンと一致していた。近傍のEDX点分析(点①~③)ではUと同程度の濃度でZrが検出されたことから、当該箇所はc-(U,Zr)O<sub>2</sub>と推定された。<br/>
 主粒子周辺の位置⑭では、構造解析の結果c-FeOのパターンと一致すると考えられ、近傍のEDX点分析(位置⑧)において主にOとFeが検出されたことから、当該箇所はc-FeOと推定された。
 主粒子周辺の位置⑭では、構造解析の結果c-FeOのパターンと一致し、近傍のEDX点分析(位置⑧)において主にOとFeが検出されたことから、当該箇所はc-FeOと推定された。<br/>
 主粒子周辺の位置⑮では、構造解析の結果c-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置⑩)におけるCr/Fe原子比(約2)とも整合していることから、当該箇所はc-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>と推定された。
 主粒子周辺の位置⑮では、構造解析の結c-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置⑩)におけるCr/Fe原子比が約2であったことから、当該箇所はc-FeCr2O4と推定された。




<gallery mode="packed" heights=200px caption="図17 TEM回折図形及び主要化学組成の推定結果">
 
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-1.jpg|TEM回折図形取得位置 位置⑪~⑬(主粒子上)
<gallery mode="packed" heights=200px caption>
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-2.jpg|TEM回折図形取得位置 位置⑭~⑮(主粒子下部の微粒子が密集する領域)
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-1.jpg|TEM回折図形取得位置<br/>位置⑪~⑬(主粒子上)
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-3.jpg|TEM回折図形
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-2.jpg|TEM回折図形取得位置<br/>位置⑭~⑮(主粒子下部の微粒子が密集する領域)
</gallery>
</gallery>
<gallery mode="packed" heights=200px caption="TEM構造解析結果及び主要化学組成の推定結果">
<p style="text-align:center">
Image:Gr1:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-4.jpg|※1 1方位のディフラクションからの推定結果<br>※2 参考としたEDX点分析位置
'''図8 電子線回折の測定位置'''
</p>
 
<gallery mode="packed" heights=200px caption>
Image:21NFD図-TEM-2PEN2103領域06-17-3.jpg
</gallery>
</gallery>
<p style="text-align:center">
'''図9 TEM回折図形'''
</p>


 2PEN2103領域06は、組成がほぼ一様で幅20μm以上の大きなc-(U,Zr)O<sub>2</sub>粒子であった。また、粒子の周囲では、c-FeO及びc-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>が同定された。


{| class="wikitable"| style="margin:0 auto"
|+表3 TEM回折図形及び主要化学組成の推定結果
|-
!位置
!TEM構造解析結果
!colspan="2"|TEM構造解析所見
!EDX結果を含めた主要化学組成の推定
|-
|⑪
|c-UO<sub>2</sub>(※1)
|方位[<math>0 \bar{1}3</math>]
|rowspan="3" |ほぼ同方向から測定した⑪と⑬は同方位であり、同一結晶粒と見られる。
|rowspan="3" |c-(U,Zr)O<sub>2</sub>(①②③※2)
|-
|⑫
|c-UO<sub>2</sub>
|方位[<math>\bar{4}11</math>],[<math>121</math>]
|-
|⑬
|c-UO<sub>2</sub>(※1)
|方位[<math>0 \bar{1}3</math>]
|-
|⑭
|c-FeO(※1)
|colspan="2"|方位[<math>1 \bar{1}0</math>]
|c-FeO(⑧※2)
|-
|⑮
|c-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>
|colspan="2"|方位[<math>\bar{3}3 \bar{2}</math>], [<math>10 \bar{1}</math>]
|c-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>(⑩※2)
|}
<p style="text-align:center">
(注) ※1 1方位のディフラクションからの推定結果<br>※2 参考としたEDX点分析位置
</p>
==分析結果のまとめ==
 2PEN2103領域06は、組成がほぼ一様で、幅約20 μm、厚さ約10 μmの大きさをもつc-(U, Zr)O<sub>2</sub>粒子(U : Zrの原子比が約6 : 4)であった。また、粒子の周囲では、数百 [nm] から数 [μm] の大きさの粒子が密集しており、その中に、c-FeO及びc-FeCr<sub>2</sub>O<sub>4</sub>が同定された。
----
[[メディア:21NFD図-TEM(2PEN2103-R06).docx|図データ]]
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[[メディア:Gr1:21NFD図-TEM(2PEN2103-R06).docx|図データ]]

2025年3月6日 (木) 15:05時点における最新版

更新履歴
No 日付 分類 内容 備考
1 2025/3/6 新規 TEM/EDX分析結果の掲載(出典[1] 旧ページは こちら(アクセス限定:Gr1)

断面の微細構造及び元素分布

TEM観察用試料の採取箇所及びHAADF-STEM像

 図1に、2PEN2103着目領域06のTEM観察用試料の採取位置及び観察方向を、SEM画像上に重ねて示す。
 TEM観察用試料断面のミクロ組織のHAADF-STEM像を図2に示す。当該領域は、断面上では幅約20 μm、厚さ約10 μmの大きさをもつ不定形粒子が占めており、粒子の内部はほぼ均一な組織を有していた。以後、本分析結果の説明において、この粒子を「主粒子」という。
 主粒子の周辺(上側、左側、及び左下)には、数百 [nm] から数 [μm] の大きさの粒子が密集していた。

STEM-EDX元素マッピング

 断面のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3(主粒子左側)及び図4(主粒子右側)に示す。試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 主粒子の内部ではUとZrが検出され、それぞれ均一に分布していた。
  • 主粒子周辺において微粒子が密集している領域には、Feが広く分布していた。また、Si、Cr、Niを含むスポットが認められた。
  • 酸素(O)は、断面全体に分布していた。

 断面のSTEM-EDX面分析により取得した元素マップを、図3(主粒子左側)及び図4(主粒子右側)に示す。なお、図4のCuのマップから示されるように、主粒子の右下部では、FIB加工時にメッシュ材由来のCuが再堆積し、局所的に厚い層(Cu再堆積層)が形成されている。この影響で、比較的低エネルギーの特性X線を用いて取得されたO K線のマップ、U M線のマップやZr L線のマップでは、右下部において特性X線強度が局所的に弱い領域が表れている。ここで、U及びZrについては、Cu再堆積層の影響を受けにくい比較的高エネルギーの特性X線として、それぞれU L線及びZr K線を用いて元素マップを確認した。その結果、いずれも概ね均一な分布を示したことから、主粒子上のCu再堆積層においてUとZrは均一に分布しているものと判断された。O K線のマップについても、Cu再堆積層の位置(主粒子上の右下部)において、特性X線の吸収効果により見かけ上濃度の低い領域として表れていると考えられる。  以上のCu再堆積層の影響の検討結果を踏まえ、試料由来として検出された元素の分布には、概ね以下の傾向が認められた。

  • 主粒子の内部ではUとZrが検出され、それぞれ均一に分布していた。
  • 主粒子周辺において微粒子が密集している領域には、Feが広く分布していた。また、Si、Cr、Niを含むスポットが認められた。
  • 酸素(O)は、断面全体に分布していた。

図3 STEM-EDXマップ(粒子左側)

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

SEI:明視野像/ (C※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ O(Cu再堆積と重複する部分はその影響あり)/ (Na※)(高輝度部分はGa,U,Cu,Wの影響)/ (Mg※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Al※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Si(W,U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (S※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cl※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ca※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ti※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Cr(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Mn※)(高輝度部分はCr,U,W,Cuの影響)/ FeNi(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ Cu(試料固定メッシュ材の再堆積)(U,Wと重複する部分はそれらの影響)/ (Zn※)(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/ Ga(FIB加工用イオンの残留)(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Se※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Zr(粒子左下エッジ高輝度部はエッジ効果による偽信号、Gaと重複する周囲部のZrは再堆積)/ (Mo※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Tc※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ru※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Rh※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Pd※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ag※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cd※)(高輝度部分はUの影響)/ (Sn※)(高輝度部分はUの影響)/ (Sb※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Te※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (I※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cs※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ba※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Sm※)(高輝度部分はCr,U,W,Ga,Cuの影響)/ W(観察片作製用W保護膜)(U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Pb※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ U(粒子左下エッジ高輝度部はエッジ効果による偽信号、粒子左部の濃淡変化は試料厚さ変化の影響、Gaと重複する周囲部のUは再堆積)

図4 STEM-EDXマップ(粒子右側)

(注)※は主な輝点がすべて他の元素や試料外からの偽信号であることを示す。
   黄色破線は当該元素が存在する位置を示す。

SEI:明視野像/ (C※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ O(Cu再堆積と重複する部分はその影響あり)/ (Na※)(高輝度部分はGa,Uの影響)/ (Mg※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Al※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Si※)(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/ (S※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cl※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ca※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ti※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Cr(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Mn※)(高輝度部分はU,W,Cu,Crの影響)/ Fe(Uと重複する部分はその影響。Cuの影響が含まれる)/ (Ni※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Cu(試料固定メッシュ材の再堆積)(U,Wと重複する部分はそれらの影響が含まれる)/ (Zn※)(高輝度部分はW,U,Cuの影響)/ Ga(FIB加工用イオンの残留)(U,W,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Se※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ Zr(ZrのK線はCu堆積物の影響を受けにくい、下端はエッジ効果による偽信号)/ Zr(右下部の信号減弱はFIB加工時のCu堆積物の影響) (Mo※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Tc※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ru※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Rh※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Pd※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ag※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cd※)(高輝度部分はU,Cuの影響)/ (Sn※)(高輝度部分はU,Cuの影響)/ (Sb※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Te※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (I※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Cs※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Ba※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ (Sm※)(高輝度部分はCr,U,W,Ga,Cuの影響)/ W(観察片作製用W保護膜)(U,Cuと重複する部分はそれらの影響)/ (Pb※)(高輝度部分はU,W,Cuの影響)/ U(UのL線はCu堆積物の影響を受けにくい、下端はエッジ効果による偽信号)/U(右下部の信号元帥は、FIB加工時のCu堆積物の影響)

STEM-EDX線分析データ

 主粒子を横切る位置で、STEM-EDXによる線分析を実施した。線分析の位置及び線分析データを図5に示す。同図の主粒子上に相当する線分析位置(グラフ横軸の約3~12 μm)では、U、Zr、及びOの信号強度が、位置とともに緩やかに変化した。なお、同位置では右に向かうほどCuの再堆積の影響が強く表れ(STEM-EDX元素マッピング参照)、各元素からの信号強度が過小評価されていると考えられる。このため元素分布の厳密な評価は困難であるものの、主粒子上の測定位置では、異なる相の存在を示すような信号強度の急峻な変化は認められなかった。

各相組成の半定量分析結果

点分析位置

 元素分布の情報をもとに、STEM-EDX点分析の位置を、図6に示す通り設定した。UとZrがほぼ均一に分布していると考えられる主粒子上の箇所から7箇所(位置①~⑦)、主粒子周辺のFeとCrを含む箇所から3箇所(位置⑧~⑩)の計10箇所を設定した。

各測定点での同定元素

 各位置(①~⑩)での点分析で取得したスペクトルを図7に示す。ソフトウェアの解析により出力された一次データを表1に示す。各点分析位置において試料由来のピークとして検出された元素は、以下の通りである。

  • 位置①では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置②では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置③では、O、Cr、Zr、及びUのピークが検出された。
  • 位置④では、O、Cr、U、及びZrのピークが検出された。
  • 位置⑤では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑥では、O、U、及びZrのピークが検出された。Crのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑦では、O、U、及びZrのピークが検出されたCrのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑧では、O、及びFeのピークが検出された。
  • 位置⑨では、O、及びFeのピークが検出された。Siのピークもわずかな強度で認められた。
  • 位置⑩では、O、Cr、Fe、Zr、及びUのピークが検出された。


図7 STEM-EDX点分析スペクトル

表1 一次データ
位置 OK NaK MgK AlK SiK SK CaK TiK Cr K MoK FeK NiK ZnK ZrK ZrL Mo K RuL SnL SbL TeL CsL BaL Pb L UM
72.5 0.0 0.2 0.3 0.3 0.0 0.0 0.1 0.5 0.0 1.3 0.0 0.0 10.3 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 14.5
73.8 0.0 0.0 0.2 0.1 0.0 0.0 0.1 0.5 0.0 1.2 0.0 0.0 9.9 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 14.1
65.0 0.0 0.1 0.3 0.3 0.0 0.0 0.1 0.7 0.1 2.5 0.0 0.1 12.7 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 17.9
73.1 0.0 0.2 0.3 0.4 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 1.1 0.0 0.0 9.9 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 14.4
75.4 0.0 0.0 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.4 0.0 1.1 0.0 0.0 8.1 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.9
75.6 0.0 0.0 0.3 0.4 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 1.1 0.0 0.1 8.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 13.9
73.7 0.0 0.1 0.4 0.3 0.0 0.0 0.1 0.4 0.0 1.3 0.0 0.1 9.1 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 14.4
37.4 0.0 0.1 0.1 0.3 0.0 0.0 0.0 0.1 0.3 61.3 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1
54.9 0.0 0.1 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 43.8 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1
51.3 0.0 1.0 0.2 0.1 0.0 0.1 0.1 30.0 0.8 15.1 0.0 0.1 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.7

(注意事項)このデータは、TEMに付属したソフトウェアによる出力値をそのまま表示したものであり、疑似信号や有効数字の評価を行っていない取得データである。点分析位置③については、Cu堆積層が厚い位置であり、Cu堆積層の影響をU M線と同程度受けるZr Lにて測定を実施した。

各測定点での半定量分析結果

 一次データから、試料由来のピークとして同定された元素の合計を100 at%として再計算した結果を半定量分析結果として、点分析位置とともに表2に示す。なお、位置③については、メッシュ材として用いていたCuが厚く堆積しており(図4のCuのマップを参照)定量評価ができなかったため、半定量分析結果は記載していない。

表2 半定量分析結果
位置 O Na Mg Al Si S Ca Ti Cr Mn Fe Ni Zn Zr Mo Ru Sn Sb Te Cs Ba Pb U
75 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 10 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 15
76 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 10 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
③※ Cu堆積層の影響を大きく受ており、定量評価不可
74 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 10 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 15
78 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 8 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
78 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 8 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14
76 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 9 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 15
38 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 62 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
56 n.d. n.d. n.d. L.O.Q n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 44 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d.
52 n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 30 n.d. 15 n.d. n.d. 1 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 1

(注意事項)
・ “n.d.”は、EDX信号のエネルギースペクトルにピークが確認されず、検出限界以下と判断した元素である。
・ “L.O.Q”.は、スペクトルにピークが確認できるものの、本表に示す元素を100%とした場合に0.5at%未満となり、定量下限以下と判断した元素である。
・ 本表の数値は、“n.d.”及び“L.O.Q.”を除いた半定量性を持つデータを示していると判断した元素を100%として規格化して表示した。
※ 位置③はメッシュ材に用いているCuが厚く堆積しており、その影響で定量評価は不可。

TEM回折図形の取得と構造解析及び主要化学組成の推定結果

 電子線回折の測定位置を図8に、各位置で取得した回折図形を図9に、結晶構造の同定結果を表3に示す。さらに、同位置または近傍のEDX点分析での半定量分析結果を参照しつつ、結晶構造を含めた主要化学組成を推定した結果を同表に示す。
 主粒子上の位置⑪~⑬では、構造解析の結果c-UO2のパターンと一致していた。近傍のEDX点分析(点①~③)ではUと同程度の濃度でZrが検出されたことから、当該箇所はc-(U,Zr)O2と推定された。
 主粒子周辺の位置⑭では、構造解析の結果c-FeOのパターンと一致し、近傍のEDX点分析(位置⑧)において主にOとFeが検出されたことから、当該箇所はc-FeOと推定された。
 主粒子周辺の位置⑮では、構造解析の結c-FeCr2O4のパターンと一致しており、近傍のEDX点分析(位置⑩)におけるCr/Fe原子比が約2であったことから、当該箇所はc-FeCr2O4と推定された。


図8 電子線回折の測定位置

図9 TEM回折図形


表3 TEM回折図形及び主要化学組成の推定結果
位置 TEM構造解析結果 TEM構造解析所見 EDX結果を含めた主要化学組成の推定
c-UO2(※1) 方位[] ほぼ同方向から測定した⑪と⑬は同方位であり、同一結晶粒と見られる。 c-(U,Zr)O2(①②③※2)
c-UO2 方位[],[]
c-UO2(※1) 方位[]
c-FeO(※1) 方位[] c-FeO(⑧※2)
c-FeCr2O4 方位[], [] c-FeCr2O4(⑩※2)

(注) ※1 1方位のディフラクションからの推定結果
※2 参考としたEDX点分析位置

分析結果のまとめ

 2PEN2103領域06は、組成がほぼ一様で、幅約20 μm、厚さ約10 μmの大きさをもつc-(U, Zr)O2粒子(U : Zrの原子比が約6 : 4)であった。また、粒子の周囲では、数百 [nm] から数 [μm] の大きさの粒子が密集しており、その中に、c-FeO及びc-FeCr2O4が同定された。



図データ


  1. 令和3年度福島第一原子力発電所の炉内付着物サンプル等の分析,日本原子力研究開発機構,JAEA-Data/Code 2023-005.