「2WEL2101B-2021-sem」の版間の差分

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===領域04===
===領域04===
 図14に示すように、着目領域04は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の3箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。
 図14に示すように、着目領域04は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の3箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。<br/>
 図15に示すように、領域04の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Pbの濃縮箇所が見られず、Mnの濃縮箇所がわずかに見られた。
 図15に示すように、領域04の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Pbの濃縮箇所が見られず、Mnの濃縮箇所がわずかに見られた。<br/>
 図16から図17に示すように、領域04のU含有領域は数 [μm]の丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。
 図16から図17に示すように、領域04のU含有領域は数 [μm]の丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。



2024年3月22日 (金) 16:42時点における版

No 日付 分類 内容 備考 記載者
1 2022/05/16 新規 2WEL2101B分析結果の登録 IRID報告書 付録-4 より転記。 原稿作成:鈴木(NFD)

wiki転記:池内(JAEA)

2 2022/11/22 承認 池内(JAEA)

SEM観察用試料の分取

 図1に示すように、汚染物試料2WEL2101Bから、黒色で扁平の物質の表面を測定することとし、SEM観察用試料として2WEL2101B-1を採取した。


着目領域の位置

 図2に、SEM観察用試料の全体SEM像と各着目領域の位置を示す。2WEL2101B-1表面のU及びCs濃縮部分の探索を約1mm四方に相当する面積まで行ったところ、U濃縮部分を4箇所見つけることができたが、Cs濃縮部分は見つからなかった。Cs濃縮部分については、さらに、Mo及びSi濃縮箇所にわずかに含まれる可能性を考えたSi等の濃縮箇所の確認、入射エネルギーを30keVまで上げて若干深さ方向に探索範囲を広げた探索、発見したU濃縮箇所近傍での倍率を上げた探索、試料上の亀裂及びエッジ近傍での探索、亀裂及びエッジ部分を少し傾けた状態での探索等を試行したが、発見には至らなかった。

各着目領域の概要

(Below, the Japanese word "領域" in figures means "Region" in English.)

領域01~02

 図3に示すように、着目領域01は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の1箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。また、着目領域02は、特異元素の濃縮部分として、同視野でTiの濃縮部分を設定した。
 図4に示すように、領域01及び02の近傍は、大量のFe及びOが存在し、Mg、Si、Crの濃縮箇所があり、わずかにC、Al、S、Ca、Ti、Ni、Zn、Zr、Sn、Pb、Uの濃縮箇所も見られた。このうち、UとZrの濃縮箇所は明確に相関していた。
 図5から図6に示すように、領域01のU含有領域は約5 μmの丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Zr、U、Crが見られた。
 図7から図9に示すように、領域02のTi含有領域は約10 μmの丸みを帯びた形状であり、その中央部分(領域02-1)を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Tiが見られた。また、点分析の中心をやや下方に移した位置(領域02-2)では、O、Fe、Tiに加え、主にSi、Mgも見られた。このように、領域02はTiを含む粒子の一部にSiやMgを含む部分が存在していた。

2WEL2101B-1のSEM観察結果の概要

2WEL2101B-1 表面のU及びCs濃縮部分の探索を実施した。約1mm四方に相当する面積まで行ったところ、U濃縮部分を4か所見つけることができたが、Cs濃縮部分は見つからなかった。Cs濃縮領域については、さらに、Mo及びSi濃縮個所にわずかに含まれる可能性を考えたSi等の濃縮個所の確認、入射エネルギーを30keVまで上げて若干深さ方向に探索範囲を広げた探索、発見したU濃縮個所近傍での倍率を上げた探索、試料上の亀裂及びエッジ近傍での探索、亀裂及びエッジ部分を少し傾けた状態での探索等を試行したが、Cs濃縮領域は見つからなかった。 2WEL2101B-1の表面には、大量のFe及びOが存在し、Mg、Si、Crの濃縮個所があり、わずかにC、Al、S、Ca、Ti、Mn、Ni、Zn、Zr、Mo、Ag、Sn、Pb、Uの濃縮個所も見られた。試料表面に大量に存在するFe及びOの濃淡は概ね一致しているが、位置により若干その濃淡が異なっている様子が見られた。この変化は、数ミクロン以下で変化している表面形状による差ではなく、約十ミクロン単位での変化であり、試料上にFeとOの比率の変化が存在すると見られた。 着目領域は11か所設定した。U濃縮部分の4か所、特異元素濃縮部分としてTiに着目した1か所、Fe-Oの濃淡の差に着目した6か所である。ZrはUが存在する領域のみで見られ、4つのU領域のうち3つでZrが含まれていた。その他、TiやSi-Mg、Crが比較的多い領域があった。Si、Al、Mg、Znは複数の領域にわずかながら含まれており、2WEL2101B-1全体の特徴であると見られる。なお、NiはCrが比較的多い領域のうち1つで見られた。FeとOの比の位置による差は確かに有意に存在しており、2WEL2101B-1には、Fe-O系物質のうち、FeやFeO、Fe3O4やFe2O3などのうち複数の化学形が存在していると見られる。B及びCはFe-Oの濃淡の差に着目した6か所の領域の中心付近を中心としたEDS点分析で確認できず、大量に存在するFeの少なくとも大部分はホウ化物や炭化物で無いことがわかった。 各領域の中心付近を中心としたEDS点分析によって、UとZrが含まれる領域について、UとZrが両方とも含まれる領域(種別U-Zr)とZrが少なくUのみ含まれる領域(種別U)はランダムに探索しており、その結果、見つかった領域数は、順に2領域と1領域となった。員数が少ないため比率を論じることはできないが、種別Uが大多数ではなく種別U-Zrも少なからず存在するという、他の2号機試料で見つかった領域と同じ傾向にあることがわかった。 TEM観察対象領域としては、種別U-Zrの中からCrもともに存在する領域01を選定した。


領域03

 図10に示すように、着目領域03は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の2箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。
 図11に示すように、領域03の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Mg、Ti、Cr、Ni、Zrの濃縮箇所が見られなかった。
 図12から図13に示すように、領域03のU含有領域は数 [μm]のやや細長い形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Uが見られた。

領域04

 図14に示すように、着目領域04は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の3箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。
 図15に示すように、領域04の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Pbの濃縮箇所が見られず、Mnの濃縮箇所がわずかに見られた。
 図16から図17に示すように、領域04のU含有領域は数 [μm]の丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。

領域05

 図18に示すように、着目領域05は、2WEL2101B-1の4箇所のU濃縮部分の4箇所目を含む視野において、Uの濃縮部分を設定した。
 図19に示すように、領域05の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Al、Ti、Ni、Pbの濃縮箇所が見られず、Agの濃縮箇所がわずかに見られた。PdはSEM観察前に導電性確保のために試料表面に蒸着した元素の一つであり、表面に凹凸のある本試料上における蒸着ムラの範囲の濃縮であると見られるため、試料外元素の影響であると判断した。
 図20から図21に示すように、領域05のU含有領域は約5 μmの丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからはC及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にFe、O、Cr、Zr、Uが見られた。

領域06~08

 図2に示すように、着目領域06~08は、2WEL2101B-1に見られたFeとOの濃淡の差に着目して、Feの方がやや低いと見られる部分を領域06、Feの方がやや高いと見られる部分を領域07及び08として設定した。
 図23に示すように、領域06~08の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、C、S、Ti、Cr、Ni、Zr、Pb、Uの濃縮箇所が見られず、Mn、Moの濃縮箇所がわずかに見られた。PdはSEM観察前に導電性確保のために試料表面に蒸着した元素の一つであり、表面に凹凸のある本試料上における蒸着ムラの範囲の濃縮であると見られるため、試料外元素の影響であると判断した。
 図24から図26に示すように、領域06~08に見られる主な元素はFeとOであるが、それぞれのピーク高さの比(Oピーク高さ)/(Feピーク高さ)を見ると、領域06の方が領域07や08よりも大きいことがわかる。なお、領域06~08におけるBやCからの信号のピークは見当たらず検出限界以下であり、EDXによるBやCの感度は低いものの、Feの大部分はホウ化物や炭化物でないことがわかる。

領域09~11

 図27に示すように、着目領域09~11は、2WEL2101B-1に見られたFeとOの濃淡の差に着目して、Feの方がやや低いと見られる部分を領域09、Feの方がやや高いと見られる部分を領域10及び11として設定した。  図28に示すように、領域09~11の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であったが、Ti、Ni、Zr、Pb、Uの濃縮箇所が見られず、Mnの濃縮箇所がわずかに見られた。  図29から図31に示すように、領域09~11に見られる主な元素はFeとOであるが、それぞれのピーク高さの比(Oピーク高さ)/(Feピーク高さ)を見ると、領域09の方が領域10や11よりも大きいことがわかる。なお、領域09~11におけるBやCからの信号のピークは見当たらず検出限界以下であり、EDXによるBやCの感度は低いものの、Feの大部分はホウ化物や炭化物でないことがわかる。

各着目領域のEDX点分析による半定量分析結果

 各着目領域の中心部付近でのEDX点分析において、EDX付属のソフトウェアによる各元素の半定量値の出力結果を、一次データとして表1に示す。このデータは、疑似信号や有効数字の評価を行っておらず、表に示す元素の合計を100%として表示している。すなわち、蒸着膜材の元素(Pt、Pd)及び領域01~05おけるCについては、それらのEDX信号が有意に見られる場合も表示していない。ただし、各点分析位置のスペクトルにおいて、これらの元素(Pt、Pd、C)及び表に示した元素以外の元素からのEDXピークは有意に存在しなかった。なお、領域06~11についてはB、Cを加えたデータを示しているが、各点分析位置のスペクトル上にB、Cからの有意なピークは見られていない。
 この一次データをもとに、スペクトルの精査を経て、定量可能な元素の合計を100 at%として元素組成比を再計算した結果を、半定量分析結果として表2に示す。B及びCの測定結果は比較的大きな値となったが、スペクトルにピークが確認できないことから、B及びCは検出限界以下と判断した。このことは2WEL2101B-1に含まれるFeの多くがホウ化物や炭化物では無いことを示している。FeとOの比の位置による差は確かに有意に存在しており、2WEL2101B-1には、Fe-O系物質のうち、FeやFeO、Fe3O4やFe2O3などのうち複数の化学形が存在していると見られる。ZrはUが存在する領域のみで見られ、4つのU領域のうち3つでZrが含まれていた。その他、TiやSi-Mg、Crが比較的多い領域があった。Si、Al、Mg、Znは複数の領域にわずかながら含まれており、2WEL2101B-1全体の特徴であると見られる。なお、NiはCrが比較的多い領域のうち1つで見られた。

表1 2WEL2101B FE-SEM/EDX点分析(領域01~23)の一次出力データ
(単位:at%)
領域No. B K C K O K Na K Mg K Al K Si K S K Cl K Ag L Cd L U M Sn L Ca K Te L Cs L Ba L Ti K Cr K Fe K Ni K Zn K Pb L Zr K Mo K Total
01 - - 56.0 0.5 0.2 1.3 1.1 0.4 0.0 0.0 0.0 5.7 0.7 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0 5.9 19.1 0.3 0.2 0.0 8.0 0.5 100
02-1 - - 50.4 1.2 0.9 1.1 1.2 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 13.5 0.1 30.3 0.2 0.3 0.0 0.1 0.0 100
02-2 - - 46.6 1.2 7.7 0.4 8.6 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 6.4 0.1 27.7 0.1 0.5 0.1 0.0 0.1 100
03 - - 54.4 0.2 0.3 1.7 0.4 0.0 0.1 0.0 0.0 10.0 1.0 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.1 29.2 0.7 0.1 0.0 0.4 1.2 100
04 - - 39.3 1.3 0.4 1.0 2.3 0.2 0.0 0.0 0.0 3.7 0.8 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.4 37.6 0.1 0.8 0.1 11.3 0.6 100
05 - - 28.6 0.0 0.1 1.1 1.4 0.5 0.0 0.0 0.0 6.3 0.8 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0 13.6 38.5 0.5 0.1 0.0 8.1 0.3 100
06 15.1 4.7 43.5 2.5 0.1 1.6 0.6 0.5 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 30.3 0.1 0.6 0.0 0.0 0.2 100
07 0.0 0.7 37.9 1.8 0.2 2.1 0.6 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 55.0 0.2 0.4 0.0 0.3 0.4 100
08 1.6 0.8 33.5 2.1 0.3 2.0 0.6 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 57.5 0.1 0.6 0.0 0.0 0.1 100
09 2.4 0.0 50.3 1.5 0.2 2.3 0.8 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 41.4 0.1 0.3 0.0 0.0 0.2 100
10 0.0 1.0 30.4 1.9 0.2 1.7 0.6 0.3 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 62.6 0.1 0.5 0.0 0.1 0.3 100
11 0.7 0.5 41.7 1.9 0.3 2.3 0.8 0.3 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 50.4 0.2 0.3 0.0 0.0 0.1 100

(注意事項)
・“n.d.”は、EDX信号のエネルギースペクトルにピークが確認されず、検出限界以下と判断した元素である。
・“L.O.Q”.は、スペクトルにピークが確認できるものの、本表に示す元素を100%とした場合に0.5at%未満となり、定量下限以下と判断した元素である。
・本表の数値は、“n.d.”及び“L.O.Q.”を除いた半定量性を持つデータを示していると判断した元素を100%として規格化して表示した。ただし、C、及び蒸着膜材の元素(Pt, Pd)については、それらのEDX信号が有意に見られる場合も含めていない。
・本表の数値は、着目元素を含む粒子の平均組成を表すものではなく、粒子とその近傍の構成元素やその多寡といった傾向を概略把握するための概数値である。

表2 2PEN2103 着目領域のSEM/EDX点分析による半定量分析結果
(単位:at%)
領域No. 着目元素 B C O Na Mg Al Si S Cl Ag Cd U Sn Ca Te Cs Ba Ti Cr Fe Ni Zn Pb Zr Mo Total 分類
01 U 未測定 未測定 58 n.d. n.d. 1 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 6 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 6 20 L.O.Q. L.O.Q. n.d. 8 n.d. 100 U-Zr
2-1 Ti 未測定 未測定 52 n.d. 1 1 1 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14 n.d. 31 L.O.Q. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. 100 Ti
2-2 Ti 未測定 未測定 48 n.d. 8 L.O.Q. 9 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 7 n.d. 28 L.O.Q. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. 100 Ti
03 U 未測定 未測定 57 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 10 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 31 L.O.Q. n.d. n.d. n.d. n.d. 100 U
04 U 未測定 未測定 41 n.d. n.d. 1 2 n.d. n.d. n.d. n.d. 4 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. L.O.Q. 39 n.d. 1 n.d. 12 n.d. 100 Zr
05 U 未測定 未測定 29 n.d. n.d. 1 1 n.d. n.d. n.d. n.d. 6 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 14 40 1 n.d. n.d. 8 n.d. 100 U-Zr
06 Fe,O n.d. n.d. 57 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 40 n.d. 1 n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O
07 Fe,O n.d. n.d. 40 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 58 n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O
08 Fe,O n.d. n.d. 36 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 62 n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O
09 Fe,O n.d. n.d. 54 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 44 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O
10 Fe,O n.d. n.d. 32 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 66 n.d. L.O.Q. n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O
11 Fe,O n.d. n.d. 44 n.d. n.d. 2 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 54 n.d. n.d. n.d. n.d. n.d. 100 Fe-O

(注意事項)
・“n.d.”は、EDX信号のエネルギースペクトルにピークが確認されず、検出限界以下と判断した元素である。
・“L.O.Q”.は、スペクトルにピークが確認できるものの、本表に示す元素を100%とした場合に0.5at%未満となり、定量下限以下と判断した元素である。
・本表の数値は、“n.d.”及び“L.O.Q.”を除いた半定量性を持つデータを示していると判断した元素を100%として規格化して表示した。ただし、C、及び蒸着膜材の元素(Pt, Pd)については、それらのEDX信号が有意に見られる場合も含めていない。
・本表の数値は、着目元素を含む粒子の平均組成を表すものではなく、粒子とその近傍の構成元素やその多寡といった傾向を概略把握するための概数値である。

TEM観察対象領域の選定

 各着目領域中心部のEDX点分析による半定量分析結果に基づき、各領域を次のように分類した(表1の最右列参照)。なお、試料自体にFe及びOが大量に含まれており、各領域の半定量分析結果に影響を与えていると考えられることから、Fe、O以外の元素を少なからず含む領域の分類においては、Fe及びOは考慮していない。
 ・ 種別 “U-Zr”:UとZrの双方を含む領域として、2領域(領域01、05)が該当。
 ・ 種別 “U”:Zrが極端に少なくUが多い領域として、1領域(領域03)が該当。
 ・ 種別 “Zr”:Uが極端に少なくZrが多い領域として、1領域(領域04)が該当。
 ・ 種別 “Ti”:Tiを多く含む領域として、1領域(領域02-1及び領域02-2を合わせて領域02とする)が該当。
 ・ 種別 “Fe-O”: Fe、Oの濃淡の差に着目して、6領域(領域06~11)が該当。
 2WEL2101B各領域の中からTEM観察候補を選定した。各領域の分類のうち、U-Zr領域は、UとZrを両方含む粒子が存在すると期待されるが、このとき、Uを高濃度に含む相(U-rich相)とZrを高濃度に含む相(Zr-rich相)が相分離している可能性が考えられる。相分離している場合、その分配係数等から粒子の成り立ちや事故炉内雰囲気等が推定できる可能性があるため、TEM観察候補としては種別U-Zrから選ぶこととした。種別U-Zrである領域01と領域05はともに、Crも存在する領域である。このうち、試料上に付着しているような形で存在する領域01の方が、FIBによる採取が容易で確実であることから、TEM観察領域として領域01を選定した。

SEM観察結果のまとめ

 2WEL2101B-1の表面には、大量のFe及びOが存在し、Mg、Si、Crの濃縮箇所があり、わずかにC、Al、S、Ca、Ti、Mn、Ni、Zn、Zr、Mo、Ag、Sn、Pb、Uの濃縮箇所も見られた。試料表面に大量に存在するFe及びOについては、両者の濃淡のパターンは概ね一致しているが、位置によりその濃淡パターンが若干異なっている様子が見られた。この変化は、数ミクロン以下で変化している表面形状による差ではなく、約十ミクロン単位での変化であり、試料上にFeとOの比率の変化が存在すると見られた。  着目領域は11箇所設定した。U濃縮部分の4箇所、特異元素濃縮部分としてTiに着目した1箇所、Fe-Oの濃淡の差に着目した6箇所である。各領域の特徴は以下の通り。
 ・ ZrはUが存在する領域のみで見られ、4つのU領域のうち3つでZrが含まれていた。
 ・ その他、TiやSi-Mg、Crが比較的多い領域があった。Si、Al、Mg、Znは複数の領域にわずかながら含まれていた。なお、NiはCrが比較的多い領域のうち1つで見られた。
 ・ B及びCはFe-Oの濃淡の差に着目した6箇所の領域のEDX点分析で確認できず、大量に存在するFeの少なくとも大部分はホウ化物や炭化物で無いことがわかった。
 TEM観察対象領域としては、種別U-Zrの中からCrとともに存在する領域01を選定した。