「2PEN2103-2021-sem」の版間の差分

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Image:Gr1:2PEN2103 SEM-EDX-4.jpg|図4 2PEN2103 着目領域01~02の設定(赤破線中心を領域の中心とする)
Image:Gr1:2PEN2103 SEM-EDX-4.jpg|図4 2PEN2103 着目領域01~02の設定(赤破線中心を領域の中心とする)
Image:Gr1:2PEN2103 SEM-EDX-5-3.jpg|図5 2PEN2103 SEM-EDSマッピング(領域01~02を含む視野)<br/>※試料からの有意な信号を含まない特性X線像は “※”を付し、括弧書きとした。(すべての輝点が他元素のEDX信号や試料外元素の影響である場合を含む)<br/>他元素からの信号の影響を含む元素マップには、その元素本来の主要な輝点を点線枠で表示した。<br/>C (導電テープの影響が含まれる)<br/>(F※)(O信号の影響)<br/>S (Pb信号の影響が含まれる)<br/>(Mn※)(Cr信号の影響)<br/>(Co※)(Fe信号の影響)<br/>(Mo※)(S信号の影響)<br/>(Mo※)(MoK信号無し)<br/>(Tc※)(S信号の影響)<br/>(Sn※)(U信号の影響)<br/>(Te※)(Ca信号の影響)<br/>(I※)(Ca信号の影響)
Image:Gr1:2PEN2103 SEM-EDX-5.jpg|図5 2PEN2103 SEM-EDSマッピング(領域01~02を含む視野)<br/>※試料からの有意な信号を含まない特性X線像は “※”を付し、括弧書きとした。(すべての輝点が他元素のEDX信号や試料外元素の影響である場合を含む)<br/>他元素からの信号の影響を含む元素マップには、その元素本来の主要な輝点を点線枠で表示した。<br/>C (導電テープの影響が含まれる)<br/>(F※)(O信号の影響)<br/>S (Pb信号の影響が含まれる)<br/>(Mn※)(Cr信号の影響)<br/>(Co※)(Fe信号の影響)<br/>(Mo※)(S信号の影響)<br/>(Mo※)(MoK信号無し)<br/>(Tc※)(S信号の影響)<br/>(Sn※)(U信号の影響)<br/>(Te※)(Ca信号の影響)<br/>(I※)(Ca信号の影響)
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2024年3月6日 (水) 09:25時点における版

更新履歴
No 日付 分類 内容 備考 記載者
1 2022/03/30 新規 IRID報告書の内容を転記。 付録-4 原稿作成:鈴木(NFD)

wiki転記:池内(JAEA)

2 2022/11/29 修正 付図4-79 W(L)のマップを削除。 備考欄参照 確認:鈴木(NFD)

wiki転記:池内(JAEA)

3 2022/11/29 承認 池内(JAEA)

SEM観察用試料の分取 

 図1~2に示すように、汚染物試料2PEN2103から、SEM観察用試料を採取した。黒色の汚れが中央付近に明確に付着している2PEN2103-1をSEM観察試料とし、2PEN2103-2試料は予備試料として観察せずに保管した。

着目領域の位置

 図3に、SEM観察用試料の全体SEM像と各着目領域の位置を示す。黒色の汚れ付近を中心に着目元素の探索を行い、着目領域として23箇所を設定した。その内訳は、U濃縮部分に着目して14箇所、Zr濃縮箇所に着目して4箇所、また特異元素濃縮部分としてNiに着目して2箇所、Pbに着目して1箇所、Tiに着目して1箇所、Cuに着目して1箇所である。
 なお、U濃縮部分及びZr濃縮部分は概ね各探索画面に常に1個以上存在しており、Uに着目した着目領域を14箇所設定したところでU濃縮部分の探索を終了した。一方、Cs濃縮箇所は、約1 mm四方に相当する面積まで探索を行ったが、見つからなかった。

各着目領域の概要

(Below, the Japanese word "領域" in figures means "Region" in English.)

領域01~02

 図4に示すように、着目領域01及び02は、SEM観察用試料の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。
 図5に示すように、領域01及び02の近傍は、スミア繊維上に大量のFe及びOが存在し、C、Caの濃縮箇所があり、わずかにAl、Si、S、Cr、Ni、Zr、Pb、U の濃縮箇所も見られた。このうち、UとZrの濃縮箇所は明確に相関している。
 図6~図7に示すように、領域01のU含有領域は約3 μmの細長い形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。
 図8~図9に示すように、領域02のU含有領域は数 [μm] の扇形の形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、U、Zr、Alが見られた。



領域03~05

 図10に示すように、着目領域03は、SEM観察用試料の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された1点をランダムに選定して設定した。また、着目領域04及び05は、同視野で、Zrの濃縮部分が明確に現れている2点を、領域03と重複しないように設定した。

 図11に示すように、領域03~05の近傍も領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Na、Cl、Cuの濃縮箇所がわずかに見られた。

 図12~図13に示すように、領域03のU含有領域は約6 μmの細長い形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。

 図14~図17に示すように、領域04のU含有領域は直径10 μm程度、領域05は数 [μm] 程度の丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtを除いて、いずれも主にFe、Zr、O、Uが見られた。なお、領域05の近傍にも2 μm程度の丸みを帯びたU濃縮箇所があった。

領域06~09

 図20に示すように、着目領域06及び07は、SEM観察用試料上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。また着目領域08及び09は、同視野から、それぞれ領域08はNiの濃縮部分を、領域09はPbの濃縮部分を設定した。
 図21に示すように、領域06~09の近傍も、Alは見られなかったが領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Mgの濃縮箇所がわずかに見られた。
 図22~図25に示すように、領域06のU含有領域は約30 μm、領域07のU含有領域は約5 μmのやや丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、いずれも主にO、Fe、U、Zrが見られた。
 図26~図27に示すように、領域08のNi含有領域は約10 μmの丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にFe、O、Ni、S、Crが見られた。
 図28~図30に示すように、領域09のPb含有領域は約4ミクロンの丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にFe、O、S、Pbが見られ、若干のAl、Si、Sbが見られた。

領域10~11

 付図4.3-34に示すように、着目領域10及び11は、2PEN2103-1上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。これらをそれぞれ2PEN2103領域10及び領域11とした。

 付図4.3-35~36に示すように、領域10~11の近傍も、領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Mg、Ti、Snの濃縮個所がわずかに見られた。

 付図4.3-37~40に示すように、領域10のU含有領域は約10ミクロンのやや細長い形状、領域11のU含有領域は約10ミクロンのやや丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、それぞれ、主にO、Fe、Cr、U、Zr、主にO、U、Fe、Alが見られた。

領域12~13

 付図4.3-41に示すように、着目領域12及び13は、2PEN2103-1上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。これらをそれぞれ2PEN2103領域12及び領域13とした。

 付図4.3-42~43に示すように、領域12~13の近傍も、領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Mg、Ti、Cu、Znの濃縮個所がわずかに見られた。

 付図4.3-44~47に示すように、領域12及び領域13のU含有領域は約5ミクロンのやや丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtやPdを除いて、主にFe、O、Zr、Uが見られた。

領域14~16

 付図4.3-48~49に示すように、着目領域14及び15は、2PEN2103-1上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。また着目領域16は、同視野で、Zrの濃縮部分が明確に現れている1点を領域14及び領域15と重複しないように設定した。これらをそれぞれ2PEN2103領域14~16とした。

 付図4.3-50~51に示すように、領域14~16の近傍も、Pbは見られなかったが領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Mg、Tiの濃縮個所がわずかに見られた。

 付図4.3-52~55に示すように、領域14は約20ミクロン、領域15は約数ミクロンのやや丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、Zr、Uが見られた。

 付図4.3-56~57に示すように、領域16のZr含有領域は約30ミクロンの丸みを帯びた形状で、ごく近傍にはUがあるが、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、、C及び蒸着材料であるPtを除いて、Uが検出されず、主にZr、O、Feが見られた。

領域17~18

 付図4.3-58~59に示すように、着目領域17は、2PEN2103-1上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された1点をランダムに選定して設定した。また着目領域18は、同視野で、特異元素の濃縮部分として、Niの濃縮部分を設定した。これらをそれぞれ2PEN2103領域17~18とした。

 付図4.3-60~61に示すように、領域17~18の近傍も、領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Tiの濃縮個所がわずかに見られた。

 付図4.3-62~63に示すように、領域17は約15ミクロンのやや丸みを帯びた形状であり、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、U、Zr、Feが見られた。

 付図4.3-64~65に示すように、領域18のNi含有領域は数ミクロンの丸みを帯びた形状で、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、S、Niが見られた。

19~23

 付図4.3-66~68に示すように、着目領域19及び20は、2PEN2103-1上の黒色の汚れ付近をランダムに選んだ視野上で、Uの濃縮が比較的濃く大きく観察された2点をランダムに選定して設定した。また着目領域21は、同視野で、特異元素の濃縮部分として、Niの濃縮部分を設定した。着目領域21は、同視野で、Zrの濃縮部分が明確に現れている1点を領域19及び領域20と重複しないように設定した。また、特異元素の濃縮部分として、着目領域22は同視野でTiの濃縮部分、着目領域23は同視野でCuの濃縮部分を設定した。これらをそれぞれ2PEN2103領域19~23とした。

 付図4.3-69~70に示すように、領域19~23の近傍も、領域01~02の近傍とほぼ同様であるほか、Na、Mg、Cl、Ti、Cu、Znの濃縮個所がわずかに見られた。

 付図4.3-71~76に示すように、領域19及び領域20は約10ミクロン、領域21は約5ミクロンのやや丸みを帯びた形状であり、それらの中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、主にO、Fe、U、Zrが見られた。

 付図4.3-77~80に示すように、領域22のTi含有領域、領域23のCu含有領域とも約10ミクロンの細長い形状で、その中央部分を中心とした点分析スペクトルからは、C及び蒸着材料であるPtとPdを除いて、それぞれ、主にO、Fe、Ti、Si、主にCu、Znが見られた。

各領域中心部を中心としたEDS点分析定量結果 

 付表4.3-1に示すように、2PEN2103-1の各領域の中心部付近を中心としたEDS点分析の半定量分析の取得データとして、SEM-EDS装置に付属したソフトウェアによる各元素の半定量値の出力値をそのまま表示した。このデータは、疑似信号や有効数字の評価を行っておらず、表に示す元素の合計を100%として表示している。すなわち、Cや蒸着膜材の元素(Pt、Pd)については、それらのEDS信号が有意に見られる場合も表示していない。ただし、各点分析位置のスペクトルにおいて、これらの元素(Pt、Pd、C)及び表に示した元素以外の元素からのEDSピークは有意に存在しなかった。なお、領域23ではCuの有意な信号が見られているので、領域23のみCuを分析に加えたデータを示した。

 付表4.3-2に示すように、各点分析位置の半定量分析結果として、各点分析位置におけるスペクトルを精査した結果ピークが見られない元素及び0.5at%以下と判断される元素を検出限界以下と判断してn.d.と表示し、定量可能な元素の合計を100%として表示した。

各領域の分類 

 2PEN2103各領域の分類は、試料自体にFe、Oに大量に存在することで、各領域中心部を中心としたEDS点分析定量結果に影響を与えていると見られることから、Fe、O以外が少なからず存在する領域についてはFe、Oを除外して分類した。UもしくはZrを含む領域のほとんどはUとZrの両方が含まれる領域であった。これを種別U-Zrと分類すると13領域がこれに該当した。一方、Zrが極端に少なくUが多い領域(種別U)やUが極端に少なくZrが多い領域(種別Zr)もわずかに存在し、それぞれ1領域、4領域となった。一方、NiやPbに着目した領域にはSが存在し、それぞれ種別Ni-Sが2領域、種別Pb-Sが1領域認められた。TiやCuは他の元素と相関しておらず、それぞれ種別Tiが1領域、種別Cuが1領域であった。なお、種別Ni-SやPb-Sは硫酸塩もしくは硫化物を形成している可能性が考えられるほか、種別TiやCuはそれぞれ酸化物、金属として存在している可能性が考えられる。次に、これら種別間の割合を検討するためには、各領域がランダムに選ばれていなければならないが、ランダムに選択した領域はUを着目元素とした領域のみであるため、種別U-Zr間と種別U間の割合のみ検討した。これに絞ると、種別U-Zrと種別Uの比率は、13領域と1領域となり、種別U-Zrの割合が圧倒的に多く、種別Uの割合は小さいことがわかった。

各領域からのTEM観察対象試料の選定 

 2PEN2103各領域の中からTEM観察候補を選定する。領域の分類のうち、U-Zr領域は、UとZrを両方含む粒子が存在すると期待されるが、このとき、U含有相とZr含有相が相分離を発生している可能性が考えられる。相分離を発生しているとその分配係数等から粒子の成り立ちや事故炉内雰囲気等が推定できる可能性があるため、TEM観察候補としては種別U-Zrから選ぶこととした。さらに、種別U-Zrの中で酸素の定量値を見ると、比較的酸素が高い領域と比較的酸素は低い領域が存在した。U-Zr-O系の相分離は、高酸素濃度では(U,Zr)O2と(Zr,U)O2に、低酸素濃度では(U,Zr)O2とZr(O)に分離すると考えられているため、酸素濃度の大小をパラメータにTEM観察候補を選定することとした。さらに、U含有領域のサイズが大きく多くの情報が得られること、スミア繊維に覆われやすい位置にあり採取が困難となることなどの観点から、TEM観察領域として、高酸素濃度U-Zrとして領域6及び領域14、低酸素濃度U-Zrとして領域5及び領域12の合計4か所を選定した。