「事故前後での炉心物質とFPインベントリ」の版間の差分

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Kurata Masaki (トーク | 投稿記録)
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 TMI-2事故前後での炉心物質とFP分布の評価は、事故炉のクリーンアップ作業、デブリ取り出し、事故進展解析等に向けた重要知見であった。炉心物質については、事故前の設計情報に基づいて初期インベントリが評価され、内部調査、サンプル分析、デブリ取り出しなどの作業の進捗に伴って、事故後の分布がアップデートされた[1,2]。FPについては、そもそも事故開始時点での初期インベントリを正確に評価することが困難であった。そこで、事故時の炉心をU富化度によって3領域(炉心中央、炉心中間、炉心外周)に分割し、ORIGEN-II等の解析コードを用いて、事故直前のインベントリとその経時変化が評価された[3]。サンプル分析や内部調査、建屋内の放射線計測の結果等に基づいて、燃料デブリや破損燃料中のFP残留率、また、圧力容器内外の主要な領域(一次系内表面、原子炉建屋滞留水、補助建屋滞留水、など)への移行率、付着率が評価された[1,2]。この項目では、TMI-2事故解析で行われた、初期インベントリと物質分布の評価についてまとめる。
 TMI-2事故前後での炉心物質とFP分布の評価は、事故炉のクリーンアップ作業、デブリ取り出し、事故進展解析等に向けた重要知見であった。炉心物質については、事故前の設計情報に基づいて初期インベントリが評価され、内部調査、サンプル分析、デブリ取り出しなどの作業の進捗に伴って、事故後の分布がアップデートされた[1,2]。FPについては、そもそも事故開始時点での初期インベントリを正確に評価することが困難であった。そこで、事故時の炉心をU富化度によって3領域(炉心中央、炉心中間、炉心外周)に分割し、ORIGEN-II等の解析コードを用いて、事故直前のFPインベントリとその経時変化が評価された[3]。サンプル分析や内部調査、建屋内の放射線計測の結果等に基づいて、燃料デブリや破損燃料中のFP残留率、また、圧力容器内外の主要な領域(一次系内表面、原子炉建屋滞留水、補助建屋滞留水、など)への移行率、付着率が評価された[1,2]。この項目では、TMI-2事故解析で行われた、初期インベントリと物質分布の評価についてまとめる。


== 炉心物質インベントリ ==
== 炉心物質インベントリ ==


=== 事故前の炉心物質インベントリ ===
=== 事故前の炉心物質インベントリ ===
 '''表1(a)'''に、事故前の主要な炉心物質の重量を示す[1]。'''表1(b)'''には、マイナー成分も含めたより正確な重量を示す[4]。表1(a)は、炉心物質のインベントリ評価に、表1(b)は、デブリ分析での対象核種の選定基準に用いられた。主要な炉心物質としては、燃料棒、制御材、構造材(制御棒被覆管、スペーサグリッド、上下端栓、など)があり、その他に、反射体として用いられていたZrO<small><sub>2</sub></small>、可燃性毒物のAl<sub><small>2</small></sub>O<sub><small>3</small></sub>-B<sub><small>4</small></sub>C、ガドリニア含有燃料、などが装荷されていた。燃料棒は、燃料ペレット約94トン、ジルカロイ被覆管約24トンで構成され、ジルカロイ中の主な副成分としてSnが約370kg装荷されていた。Ag-In-Cd合金からなる制御材は約3トン装荷されていた。構造材は、SS材とインコネル材からなり、事故前の炉心部での重量は約6トンであった。表1(b)に記載されている物質のうち、SnとMo以外のマイナー成分は、インベントリ評価では考慮されていない(#デブリ分析で考慮された)。
 '''表1(a)'''に、事故前の主要な炉心物質の重量を示す[1]。'''表1(b)'''には、マイナー成分も含めたより正確な重量を示す[4]。表1(a)は、炉心物質のインベントリ評価に、表1(b)は、デブリ分析で対象とする元素の選定基準に用いられた。主要な炉心物質としては、燃料棒、制御材、構造材(制御棒被覆管、スペーサグリッド、上下端栓、など)があり、その他に、反射体として用いられていたZrO<small><sub>2</sub></small>、可燃性毒物のAl<sub><small>2</small></sub>O<sub><small>3</small></sub>-B<sub><small>4</small></sub>C、ガドリニア含有燃料、などが装荷されていた。ここで、炉心物質は、上部格子板と下部格子グリッドの間に装荷されていた物質を示している(#上部格子、下部格子自体は含まれていない)。燃料棒は、燃料ペレット約94トン、ジルカロイ被覆管約24トンで構成され、ジルカロイ中の主な副成分としてSnが約370kg装荷されていた。Ag-In-Cd合金からなる制御材は約3トン装荷されていた。構造材は、SS材とインコネル材からなり、事故前の炉心部での重量は約6トンであった。なお、表1(b)に記載されている物質のうち、SnとMo以外のマイナー成分は、インベントリ評価では考慮されていない。


 また、事故の過程で上部格子の底部が一部溶融して崩落したため、約229kgの構造材がデブリ中に混入したと推定された[1]。また、溶融デブリの一部は、炉心外周のバッフル版とコアフォーマ領域を破損して下部プレナムに移行したが、その際に、構造材約182kgが炉心物質に混入したと推定された[1]。事故進展時に、ジルカロイ被覆管は水蒸気によって酸化され、ZrO<sub><small>2</small></sub>が形成されるが、事故シナリオ解析で推定された水素発生量約459kgから逆算して、ジルカロイ酸化に寄与した酸素重量が約3,300kgと評価された[1]。これは、単純計算で、Zrの約43%が酸化していたことに相当している。実際には、水素発生量の推定値に不確かさがあること、ジルカロイだけでなく構造材の一部も酸化していたこと、等により、酸素重量増加の推定には不確かさが存在している。これらの合計として、事故後の炉心物質の総重量は133,250kgと見積もられた[1]。
 また、事故の過程で上部格子の底部が一部溶融して崩落したため、約229kgの構造材がデブリ中に混入したと推定された[1]。また、溶融デブリの一部は、炉心外周のバッフル版とコアフォーマ領域を破損して下部プレナムに移行したが、その際に、構造材約182kgが炉心物質に混入したと推定された[1]。事故進展時に、ジルカロイ被覆管は水蒸気によって酸化され、ZrO<sub><small>2</small></sub>が形成されるが、事故シナリオ解析で推定された水素発生量約459kgから逆算して、ジルカロイ酸化に寄与した酸素重量が約3,300kgと評価された[1]。これは、単純計算で、Zrの約43%が酸化していたことに相当している。実際には、水素発生量の推定値に不確かさがあること、ジルカロイだけでなく構造材の一部も酸化していたこと、等により、酸素重量増加の推定には不確かさが存在している。これらの合計として、事故後の炉心物質の総重量は133,250kgと見積もられた[1]。
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=== 事故後の炉心物質分布 ===
=== 事故後の炉心物質分布 ===
 '''表2'''に、事故後の破損燃料とデブリの分布の評価結果をまとめて示す[1]。'''図1'''に、事故後の圧力容器内のデブリ分布を模式的に示す[5]。燃料棒の約33%は、炉心周辺領域、及び、炉心下部に、本来の燃料棒形状を維持して残留していた。事故シナリオ解析の結果、これらの燃料棒の事故時ピーク温度は、<1100Kであり、炉心物質の初期組成がほぼ維持されていると評価された。周辺燃料棒と切り株燃料棒の割合は、デブリ取り出しにともなって撮影された圧力容器内部のビデオ画像から、周辺燃料棒約22.7%、切り株燃料棒約10.7%と見積もられた(不確かさ±5%)。炉心中央に堆積していた溶融凝固層については、上下クラストで挟まれた構造を持っていた。ボーリングサンプルの分析と画像解析により、上部クラストは、比重8.3g/cm<sup><small>3</small></sup>、重量2,450kg、下部クラストは、比重7.3g/cm<sup><small>3</small></sup>、重量8,760kgと評価された。クラスト層の厚みが非均質なことから、その重量評価誤差は30~40%と見積もられた。溶融凝固層の重量は、回収されたデブリと上下クラスト層重量の差し引きで、25,990kgと評価された。上部ルースデブリベッドは、比重3~5g/cm<sup><small>3</small></sup>の範囲で(上層が小さく、下層が大きい)、初期インベントリの約20%を占めていた。下部プレナムデブリについては、取り出し時の重量が19,100kgであり、主成分はUとZrの二酸化物で、構造材成分をわずかに含んでいた。残り約10,000kgは、下部プレナムデブリや溶融凝固層とLCSAやUCSAの堆積デブリの組成や比重はほぼ等しいと仮定され、画像データで見積もられたデブリ堆積状態から、LCSAとUCSAの堆積デブリの体積割合が評価差荒れ、それぞれに割り付けられた。
 '''表2'''に、事故後の破損燃料とデブリの分布の評価結果をまとめて示す[1]。'''図1'''に、事故後の圧力容器内のデブリ分布を模式的に示す[5]。燃料棒の約33%は、炉心周辺領域、及び、炉心下部に、本来の燃料棒形状を維持して残留していた。事故シナリオ解析の結果、これらの残留燃料棒の事故時ピーク温度は<1100Kであり、炉心物質の初期組成がほぼ維持されていると評価された(#Zryは酸化されていない)。周辺燃料棒と切り株燃料棒の割合は、デブリ取り出しにともなって撮影された圧力容器内部のビデオ画像から、周辺燃料棒約22.7%、切り株燃料棒約10.7%と見積もられた(#不確かさ±5%)。炉心中央に堆積していた溶融凝固層については、上下クラストで挟まれた構造を持っていた。ボーリングサンプルの分析と画像解析により、上部クラストは、比重8.3g/cm<sup><small>3</small></sup>、重量2,450kg、下部クラストは、比重7.3g/cm<sup><small>3</small></sup>、重量8,760kgと評価された。クラスト層の厚みが場所によって非均質なことから、その重量評価誤差は30~40%と見積もられた。溶融凝固層の重量は、回収されたデブリと上下クラスト層重量の差し引きで、25,990kgと評価された。上部ルースデブリベッドは、比重3~5g/cm<sup><small>3</small></sup>の範囲で(上層が小さく、下層が大きい)、初期インベントリの約20%を占めていた。下部プレナムデブリについては、取り出し時の重量が19,100kgであり、主成分はUとZrの二酸化物で、構造材成分をわずかに含んでいた。残り約10,000kgは、下部プレナムデブリや溶融凝固層とLCSAやUCSAの堆積デブリの組成や比重はほぼ等しいと仮定され、画像データで見積もられたデブリ堆積状態から、LCSAとUCSAの堆積デブリの体積割合が評価差荒れ、それぞれに割り付けられた。
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|+'''<big>表2 事故後の炉心物質の重量分布 [1]</big>'''
|+'''<big>表2 事故後の炉心物質の重量分布 [1]</big>'''
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 '''表3(a)'''に、燃料棒主要成分(U,Zr,Sn)の、圧力容器内デブリ中の捕捉率を示す[1,2]。それぞれの領域から採集されたデブリサンプルの分析値の積み上げで、Uの97%が捕捉されたと評価された。形状を維持した燃料棒は、初期インベントリをそのまま維持していたとされた。上部ルースデブリは、>90%が約1~5mmサイズの粒子デブリであり、その平均組成は、初期インベントリに比べてUリッチであった(66%に対し75%)。下部プレナムデブリは、Uの平均濃度65%で、初期インベントリに近い値であった。これに対し、溶融凝固層や上部クラスト層中の金属相や下部クラスト層はUの相対濃度が低く、逆にZr濃度が高い傾向が示された。上部クラスト、溶融凝固層、下部クラストの平均的なU濃度は、それぞれ、49、54、34%であった。しかし、これらの層のうち酸化物相中の平均U組成は、炉心平均に近い値であった。上部プレナム構造物の付着デブリの分析結果から、この領域へのU移行物量は、初期インベントリの<0.1%と評価された。
 '''表3(a)'''に、燃料棒主要成分(U,Zr,Sn)の、圧力容器内デブリ中の捕捉率を示す[1,2]。それぞれの領域から採集されたデブリサンプルの分析値の積み上げで、Uの97%が捕捉されたと評価された。形状を維持した燃料棒は、初期インベントリをそのまま維持していたとされた。上部ルースデブリは、>90%が約1~5mmサイズの粒子デブリであり、その平均組成は、初期インベントリに比べてUリッチであった(66%に対し75%)。下部プレナムデブリは、Uの平均濃度65%で、初期インベントリに近い値であった。これに対し、溶融凝固層や上部クラスト層中の金属相や下部クラスト層はUの相対濃度が低く、逆にZr濃度が高い傾向が示された。上部クラスト、溶融凝固層、下部クラストの平均的なU濃度は、それぞれ、49、54、34%であった。しかし、これらの層のうち酸化物相中の平均U組成は、炉心平均に近い値であった。上部プレナム構造物の付着デブリの分析結果から、この領域へのU移行物量は、初期インベントリの<0.1%と評価された。


 Zrについては、捕捉率が91%であった。上部ルースデブリベッド中のUに対する分析値の相対値から、<u>約50%のZrは炉心下部に先行的に移行したと推定された</u>。炉心下部に移行したZrは、溶融凝固層中の金属相や下部クラスト層に濃化していた。Snは、ジルカロイの酸化・溶融過程でZrから分離され、金属デブリ側に移行していた。ZrとSnの捕捉率がUに比べて低いため、サンプル分析されていない領域に金属デブリが存在していた可能性が示唆された。可能性の一つとして、<u>事故初期に発生した炉心上部での燃料崩落イベント(スクラム後174分)の際に形成された金属微粒子デブリが、下部プレナムに沈降して堆積し、下部プレナムデブリの最下層に金属層を形成していたシナリオが推定された</u>。しかし、下部プレナムデブリ底部のサンプル分析は行われておらず、この仮説は検証されていない。なお、SnはZrに比べて、金属相側に多く分布していることがわかる。
 Zrについては、捕捉率が91%であった。上部ルースデブリベッド中のUに対する分析値の相対値から、<u>約50%のZrは炉心下部に先行的に移行したと推定された</u>。炉心下部に移行したZrは、溶融凝固層中の金属相や下部クラスト層に濃化していた。Snは、ジルカロイの酸化・溶融過程でZrから分離され、金属デブリ側に移行していた。ZrとSnの捕捉率がUに比べて低いため、サンプル分析されていない領域に金属デブリが存在していた可能性が示唆された。可能性の一つとして、<u>事故初期に発生した炉心上部での燃料崩落イベント(スクラム後174分)の際に形成された金属微粒子デブリが、下部プレナムに沈降して堆積し、下部プレナムデブリの最下層に金属層を形成していたシナリオが推定された</u>。しかし、下部プレナムデブリ底部のサンプル分析は行われておらず、この仮説は検証されていない(#下部プレナムハードデブリの採集と分析は行われたが、デブリ破砕作業によりハードデブリが破砕混合された後に採集されたため、底部サンプルは採集されていない)。なお、SnはZrに比べて、金属相側に多く分布していることがわかる。


==== 制御材成分について ====
==== 制御材成分について ====
 表1に示したように、Ag-In-Cdの重量比は、80-15-5wt%であった。その融点は1073-1123Kであった。TMI-2事故では、制御棒溶融時に圧力容器内が高圧で保たれていたため、溶融制御材はデブリ中にあまり噴出されなかったと考えられている。制御材の一部(主にAg)はエアロゾルとして上部プレナムに移行、付着した。上部ルースデブリ中にも若干量のAgが同定された(インベントリの1.8%)。In,Cdの検出量は<0.1%であった。溶融凝固層やクラスト層中では、金属相側に濃化していた。これは、事故の初期に溶融した制御材成分が、燃料成分より先に炉心下部に移行したことを示唆している。下部プレナムデブリ中での検出量は極めて小さく、これは、スクラム後224分のデブリ移行イベント時には、溶融デブリプール中のAg-In-Cdがほぼ溶融デブリ外に放出されていたことを示唆している。Ag-In-Cdとも捕捉率が高くないので、圧力容器内のどこかに移行している可能性がある。上述の事故初期の下部プレナム底部への金属デブリ堆積に随伴した可能性がある。とくにAgは比重が大きいため(10.5g/cm<sup><small>3</small></sup>)、174分のデブリ崩落イベント等の際に粒子状で巻き上げられ、下部プレナム底部に沈降した可能性が考えられる。Inは、Agよりも炉心下部で多く検出された。一方で、Agに比べ酸化物相側での検出割合が若干大きい傾向がある。Cdについては温度上昇により蒸発したと推定されている。Cdは主に金属相中に存在している。事故初期には、全てが蒸発したのではなく、ボイド内にCd気体が保持されていた可能性がある。
 表1に示したように、Ag-In-Cdの重量比は、80-15-5wt%であった。その融点は1073-1123Kであった。TMI-2事故では、制御棒溶融時に圧力容器内が高圧で保たれていたため、溶融した制御材成分はデブリ中にあまり噴出されなかったと考えられている。制御材の一部(主にAg)はエアロゾルとして上部プレナムに移行、付着した。上部ルースデブリ中にも若干量のAgが同定された(初期インベントリの1.8%)。In,Cdの検出量は<0.1%であった。溶融凝固層やクラスト層中では、金属相側に濃化していた。これは、事故の初期に溶融した制御材成分が、燃料成分より先に炉心下部に移行したことを示唆している。下部プレナムデブリ中での検出量は極めて小さく、これは、スクラム後224分のデブリ移行イベント時には、溶融デブリプール中のAg-In-Cdがほぼ溶融デブリプールの外に放出されていたことを示唆している。Ag-In-Cdとも捕捉率が高くないので、圧力容器内のどこかに移行している可能性がある。上述したスクラム後174分の炉心上部崩落の際に、金属デブリ粒子として放出され、下部プレナム底部に移した可能性があると推定された。とくにAgは比重が大きいため(10.5g/cm<sup><small>3</small></sup>)、粒子状デブリとして下部プレナム底部に沈降した可能性があるとされた。Inは、Agに比べて、炉心下部で多く検出された。一方で、Agに比べ酸化物相側での検出割合が若干大きい傾向がある。Cdについては温度上昇により蒸発したと推定されている。残留したCdは主に金属相中に存在している。事故初期には、全てが蒸発したのではなく、ボイド内にCd気体が保持されていた可能性があると推定された。


==== 構造材成分について ====
==== 構造材成分について ====
 構造材の分布についての考察は、参考文献[2]で行われている。
 構造材の分布についての考察は、参考文献[2]で行われている。


 Feについては、上部ルースデブリ中で濃度低下、上下クラスト層と溶融凝固層中の金属相で濃化している。Feの酸化度は20%程度と推定された。
 Feについては、上部ルースデブリ中で濃度低下、上下クラスト層と溶融凝固層中の金属相中に濃化している。Feの酸化度は20%程度と推定された。


 Crについては、クラスト層や溶融凝固層中の金属相中に1.4-1.7wt%の重量濃度で検出された。その多くは酸化され、金属相中では酸化物相として結晶粒界に存在していた。酸化物相中では、構造材酸化物の第2相を形成していた。
 Crについては、クラスト層や溶融凝固層中の金属相中に1.4-1.7wt%の重量濃度で検出された。その多くは酸化され、金属相側では酸化物相を形成し、結晶粒界に存在していた。酸化物相中では、構造材酸化物の第2相を形成していた。


 Niについては、ほぼ酸化されておらず、特に下部クラスト層に濃化していた。Niについては、ボーリングサンプル中の金属相と酸化物相の体積割合、および、それぞれの分析データの代表性が、大きな不確かさを持っている。溶融凝固層の分析結果を外挿して評価した下部プレナムやLCSA/UCSA堆積デブリ中の分布についても不確かさが大きい。
 Niについては、ほぼ酸化されておらず、特に下部クラスト層に濃化していた。Niについては、ボーリングサンプル中の金属相と酸化物相の体積割合、および、それぞれの分析データの代表性が、大きな不確かさを持っている。溶融凝固層の分析結果を外挿して評価した下部プレナムやLCSA/UCSA堆積デブリ中の分布についても不確かさが大きいとされた。


 Moについては、分析データを単純に積み上げると、初期インベントリの約3倍量となってしまう。この傾向は、Moに限らず、初期インベントリが小さく、サンプル分析において、分析感度ぎりぎりの条件で測定した元素について、往々にして現れる。サンプルが非均質な時に、この傾向はより大きく出現しやすい。Moでは、ボーリングサンプル中の金属相の分析値の不確かさが大きいと考えられる。Moの由来は、スペーサグリッドのインコネルであり、おそらく下部クラストを最初期形成した物質に多く含有されている。
 Moについては、分析データを単純に積み上げると、初期インベントリの約3倍量となってしまう。この傾向は、Moに限らず、初期インベントリが小さく、サンプル分析において、分析感度ぎりぎりの条件で測定した元素について、往々にして現れる。サンプルが非均質な時に、この傾向はより大きく出現しやすい。Moでは、ボーリングサンプル中の金属相の分析値の不確かさが大きいと考えられる。Moの由来は、スペーサグリッドのインコネルであり、おそらく下部クラストを最初期形成した物質に多く含有されている。
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 事故時のFPインベントリ解析では、様々な不確かさを考慮する必要がある。スクラム時点でのFPインベントリは、解析で評価するしかないが、様々な解析コードによる解析誤差は、核種によっては最大25%に達する。サンプル分析における分析誤差や、事故時のデブリふるまい、事故以降のデブリふるまいにともなうFPふるまいの変化も考慮する必要がある。そこで、初期インベントリの評価は、Point Isotopic Delpletion法による簡易解析で十分とされた。
 事故時のFPインベントリ解析では、様々な不確かさを考慮する必要がある。スクラム時点でのFPインベントリは、解析で評価するしかないが、様々な解析コードによる解析誤差は、核種によっては最大25%に達する。サンプル分析における分析誤差や、事故時のデブリふるまい、事故以降のデブリふるまいにともなうFPふるまいの変化も考慮する必要がある。そこで、初期インベントリの評価は、Point Isotopic Delpletion法による簡易解析で十分とされた。


 '''図2'''に、U-235富化度の分布を、'''表4'''に、12群に分類された燃焼集合体のそれぞれの燃焼条件を示す[3]。装荷されていた177個の燃料集合体について、軸方向に7ノードに分割されてORIGEN-IIコードでの解析が行われた(スクラム以降の時間変化)。44個のFP核種と24個の重元素について解析結果が整理され、炉心中央、炉心中間、炉心外周の3領域に分けてまとめられた。解析の不確かさについては、Ag-110とAg-110mで28%、Rh-106、Cs-134、Cs-137、Gd-153、Eu-155で10-20%、それ以外のFPでは10%以下と記載されている[3]。重元素では解析誤差が大きく、241核種では30%、242核種では80%、243核種ではファクター2.4、244核種ではファクター3.4と記載されている[3]。
 '''図2'''に、U-235富化度の分布を、'''表4'''に、12群に分類された燃焼集合体のそれぞれの燃焼条件を示す[3]。装荷されていた177個の燃料集合体について、軸方向に7ノードに分割されてORIGEN-IIコードでの解析が行われた(#スクラム以降の時間変化)。44個のFP核種と24個の重元素について解析結果が整理され、炉心中央、炉心中間、炉心外周の3領域に分けてまとめられた。解析の不確かさについては、Ag-110とAg-110mで28%、Rh-106、Cs-134、Cs-137、Gd-153、Eu-155で10-20%、それ以外のFPでは10%以下と記載されている[3]。重元素では解析誤差が大きく、241核種では30%、242核種では80%、243核種ではファクター2.4、244核種ではファクター3.4と記載されている[3]。


 '''図3'''に、3領域に分類したそれぞれでの、燃焼にともなうU-235濃度の変化を示す[3]。炉心外周領域に2.96%富化度燃料が、炉心中間領域に2.64%富化度燃料が、炉心中央領域に1.98%富化度燃料がそれぞれ装荷されていた。また、燃焼に伴う、U-235に対するFP核種や重元素核種の相対濃度が解析されている。これらの解析値が整理され、領域ごとのU-235に対するFP相対濃度の基準条件とされた。'''表5'''に、例として、炉心全体でのスクラム時点でのモル量解析値を示す[3]。'''図4'''に、FPや重元素核種とU-235の相対濃度変化の例を示す[3]。スクラム以降の濃度変化については、直線的に単調に変化している核種(典型例:Eu-155)については解析の不確かさが小さく、曲線的に変化している核種(典型例:Cs-134)では解析誤差が大きくなる。
 '''図3'''に、3領域に分類したそれぞれでの、燃焼にともなうU-235濃度の変化を示す[3]。炉心外周領域に2.96%富化度燃料が、炉心中間領域に2.64%富化度燃料が、炉心中央領域に1.98%富化度燃料がそれぞれ装荷されていた。また、燃焼に伴う、U-235に対するFP核種や重元素核種の相対濃度が解析されている。これらの解析値が整理され、領域ごとのU-235に対するFP相対濃度の基準条件とされた。'''表5'''に、例として、炉心全体でのスクラム時点でのモル量解析値を示す[3]。'''図4'''に、FPや重元素核種とU-235の相対濃度変化の例を示す[3]。スクラム以降の濃度変化については、直線的に単調に変化している核種(典型例:Eu-155)については解析の不確かさが小さく、曲線的に変化している核種(典型例:Cs-134)では解析誤差が大きくなる。
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=== 事故後のFP分布 ===
=== 事故後のFP分布 ===
''' 表4'''に、事故後のFP分布の評価結果をまとめて示す[1]。低揮発性FP(Ce-144,Eu-154,Eu-155)は、ほとんどが破損燃料およびデブリ中に保持されていた。一部が燃料成分の微粒子として、RCS系に移行した。なお、解析において、中性子捕獲過程が入るEu-154については、他の核種より解析誤差が大きくなる傾向がある。なお、低揮発性FPと高揮発性FPについては、デブリサンプルの分析平均値が記載されている。中揮発FPは、酸化物相と金属相への分布が偏っているため、相ごとの分析平均値が掲載されている。
''' 表4'''に、事故後のFP分布の評価結果をまとめて示す[1]。低揮発性FP(Ce-144,Eu-154,Eu-155)は、ほとんどが破損燃料およびデブリ中に保持されていた。一部が燃料成分の微粒子中に混入し、RCS系に移行した。なお、解析において、中性子捕獲過程が入るEu-154については、他の核種より解析誤差が大きくなる傾向がある。なお、低揮発性FPと高揮発性FPについては、デブリサンプルの分析平均値が記載されている。中揮発FPは、酸化物相と金属相への分布が大きく偏っていたため、相ごとの分析平均値がとして掲載されている。


 中揮発性FP(Sr-90,Ru-106,Sb-125)では、Sr-90が初期インベントリの約3.2%が圧力容器外に放出されていた。そのほとんどは原子炉建屋内であり、約0.1%が補助建屋のRCBT内に移行していた。圧力容器内では、破損燃料やデブリ中でほぼUと同伴しており、金属デブリ中にはほとんど検出されなかった。Sb-125については、上下クラスト層中の金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約6-20倍)。Sb-125の約66%は、残留燃料と下部クラスト層中に存在し、上部ルースデブリや下部プレナムデブリ中の検出量は相対的に低い値であった。Ru-106も、Sb-125と同様の傾向であり、金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約4-12倍)。Sb-125とRu-106は酸化されにくい核種として知られており、これらのFPは、酸化されて燃料棒やデブリから放出される前に、主に構造材や金属Zrからなる金属メルトが炉心下部に移行し、下部クラストを形成する過程で、金属相側にトラップされたと推定された。
 中揮発性FP(Sr-90,Ru-106,Sb-125)では、Sr-90が初期インベントリの約3.2%が圧力容器外に放出されていた。そのほとんどは原子炉建屋内であり、約0.1%が補助建屋のRCBT内に移行していた。圧力容器内では、破損燃料やデブリ中でほぼUと同伴しており、金属デブリ中にはほとんど検出されなかった。Sr-90については、事故終息後にも、冷却水中に少しずつ溶出していた。Sb-125については、上下クラスト層中の金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約6-20倍)。Sb-125の約66%は、残留燃料と下部クラスト層中に存在し、上部ルースデブリや下部プレナムデブリ中の検出量は相対的に低い値であった。Ru-106も、Sb-125と同様の傾向であり、金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約4-12倍)。Sb-125とRu-106は酸化されにくい核種として知られており、これらのFPは、酸化されて燃料棒やデブリから放出される前に、主に構造材や金属Zrからなる金属メルトが炉心下部に移行し、下部クラストを形成する過程で、金属相側にトラップされたと推定された。


 希ガスFP(Kr-85)では、一部が燃料棒中に残留し、大半が一次系冷却水/冷却ガスを経由して、建屋内に放出された。それ以外に、上部ルースデブリベッド中の残留が約6%であった。Kr-85の捕捉精度は誤差±5-10%と評価された。建屋内に滞留していたKr-85は、建屋内入域前に環境に制御放出された。切り株燃料中には初期インベントリのままで保持されていた。高揮発性FP(I-129,Cs-134,Cs-137)については、約50%が一次系冷却水中に移行し、さらに一部が原子炉建屋地階の滞留水や汚泥に移行した。I-129は、分析しにくい核種であり、評価精度が低いことに留意が必要である。建屋地階では、粒子状のデブリやコンクリートに吸着していた。残留燃料棒中では、初期インベントリと同程度の割合で保持されていた。約5%が上部ルースデブリに吸着されていた。下部プレナムデブリでは、I-129はほとんど放出されていたが、Cs-134,137は数%から20%くらいが残留していた(#デブリ全体の平均として2.1%)。Cs-137の分布は非均質で、構造材酸化物の結晶粒界やボイド内などに濃化していた。
 希ガスFP(Kr-85)では、一部が燃料棒中に残留し、大半が一次系冷却水/冷却ガスを経由して、建屋内に放出された。それ以外に、上部ルースデブリベッド中の残留が約6%であった。Kr-85の捕捉精度は誤差±5-10%と評価された。建屋内に滞留していたKr-85は、建屋内入域前に環境に制御放出された。切り株燃料中には初期インベントリのままで保持されていた。高揮発性FP(I-129,Cs-134,Cs-137)については、約50%が一次系冷却水中に移行し、さらに一部が原子炉建屋地階の滞留水や汚泥に移行した。I-129は、分析しにくい核種であり、評価精度が低いことに留意が必要である。建屋地階では、粒子状のデブリやコンクリートに吸着していた。残留燃料棒中では、初期インベントリと同程度の割合で保持されていた。約5%が上部ルースデブリに吸着されていた。下部プレナムデブリでは、I-129はほとんど放出されていたが、Cs-134,137は数%から20%くらいが残留していた(#デブリ全体の平均として2.1%)。Cs-137の分布は非均質で、構造材酸化物の結晶粒界やボイド内などに濃化していた。
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== Ex-vesselでのデブリ分布評価 ==
== Ex-vesselでのデブリ分布評価 ==
 ex-vesselについては、全ての領域からサンプルを採集し、FP分布を測定することは困難である。
 ex-vesselについては、全ての領域からサンプルを採集し、FP分布を測定することは困難である。初期インベントリを正確に測定評価できない。多様な核種を様々な濃度範囲で測定するため、分析誤差が大きくなりやすい。採集したサンプルの代表性や均質性に課題がある。また、事故後数年間冷却水中に存在しており、事故直後の情報が必ずしも維持されていない。従って、ex-vesselのデブリ分布評価は、TMI-2事故におけるソースターム評価精度の向上を目的にはしていない。クリーンアップ作業に向けてFPの概略分布を把握すること、および、既往のFPふるまいモデルやソースターム評価にかかわる知見を向上させることが目的である。これを'''FPインベントリプロジェクト(FPI)'''と称している[6]。FPIでは、不確かさ評価を行いつつ、ex-vesselのFP分布を同定し、ex-vesselでのFPふるまいメカニズムを解明すると共に、FP捕捉率を評価する。また、今後のサンプリングニーズを提示する[6]。


、、、ここから
=== 分布範囲 ===
 
* 原子炉建屋内(原子炉圧力容器内、RCS系内、建屋内)、補助建屋内、冷却水浄化系統、滞留水処理系統(SDS、EPICOR-II)、事故時の環境放出、建屋入域前の雰囲気の制御放出分
 
=== 初期インベントリ ===
 
* ORIGEN-II解析値も用いる。
 
=== 重要核種 ===
 
* 規制における、ソースタームに影響する重要核種はI-131,132,133,135、Kr-85,85m,87,88、Xe-133,135、Cs-134,137、Sr-90、Ru-106、Te-132、Ba-140、Ce-144、Pu-238,239,240,241、Cm-242,244である[7]。
* ヨウ素については、いずれも半減期が短く測定困難であるため、長半減期核種のI-129でふるまいをトレースする。
* 従って、数年後に測定可能なのは、I-129,Cs-134,137,Kr-85,Cs-134,Cs-137,Sr-90,Ru-106,Ce-144,Cm-242以外のアクチニド、となる。
 
=== 主な分布領域 ===
 
==== RCS系の外 ====
 
* エアクーラー:建屋換気のため、かなり大きな表面積とガス通過量を有する。作業口の内外面パネルのクーポンサンプルが採集され、γ線分光分析結果を全表面積に外挿して、付着割合が評価された('''表5'''、'''図5''')[6]。付着量は微量と評価された(揮発性FPと希ガスFPの<0.3%)。
* 建屋サンプ:RCS系から外部に放出された汚染水の最終的な溜まりとなっている。原子炉建屋については、建屋地階滞留水をSDSで処理したが、それ以降も高い空間線量が継続した。SDS処理後の残留水と汚泥サンプルが採集された。その分析から、SDSでの汚染水処理後は、建屋サンプは大きな汚染源ではないことが確認された('''表6'''、揮発性FPと希ガスFPの<0.3%)[6]。大きな汚染源は、汚染水がしみこんだコンクリートであった。
* RCDT:事故進展中に、加圧器の圧力開放弁(PORV)から放出された気体、液体が、サンプに移行する途中でRCDTタンクを通過する。事故発生以降、1.9 x 10<sup><small>6</small></sup>Lの汚染水がここを通過した。表面積が相当に大きい。クーポンサンプルを分析したが、大きなFPシンクになっていないことが確認された('''表7,図6'''、揮発性FPと希ガスFPの約0.01%のオーダー)[6]。
* 補助建屋:冷却水浄化系のフィルター樹脂に、移動性FPの最大2%が吸着していたと推定された[6]。
 
==== RCS系内 ====
 
* RCS系内については、冷却水が循環し、連続処理されている。配管や機器の内表面がFPシンクになっている。事故時温度の違い、構造の複雑性、表面積の違いなどのため、RCS系内の場所によって(同じ機器内でも)FP付着量は異なっている。
* 1985年時点では、A系蒸気発生器の抵抗温度計のみ採集され、分析が行われているが、その表面積は約15cm<sup><small>2</small></sup>であり、RCS系全体に対し、10<sup><small>-5</small></sup>%の面積でしかないため、評価精度がかなり低い。
* しかし、暫定的に付着FPを分析し、RCS系全体に外挿することで、全付着割合が予備的に評価された。その結果、可溶性、易移動性のFPが全インベントリの0.1%程度吸着していると評価された('''表8、図7''')[6]。
* 上部プレナム構造物への付着量は、リードスクリューサンプルの分析を全表面積に外挿して評価された。RCS系内表面と同程度のFP付着と推定された。
 
{| class="wikitable"
|+表5 エアクーラー付着割合
(初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
!核種
!Cs-134
!Cs-137
!Sr-90
!I-129
|-
|捕捉割合
(重量分率)
|1±1 x 10<sup><small>-4</small></sup>
|1±1 x 10<sup><small>-4</small></sup>
|3±3 x 10<sup><small>-6</small></sup>
|
|}
{| class="wikitable"
|+表6 原子炉建屋サンプへの残留割合(初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
!核種
!Mn-54
!Co-60
!Sr-90
!Ru-106
!Sb-125
!I-129
!Cs-134
!Cs-137
!Ce-144
|-
|汚泥中の捕捉割合
(重量分率)
|ND
|ND
|8.3±0.9 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|ND
|1.4±10.2 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|<5 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|2.9±0.3 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|2.6±0.3 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|1.0±0.3 x 10<sup><small>-7</small></sup>
|-
|残留水中の捕捉割合
(重量分率)
|ND
|ND
|9.0±1.0 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|ND
|ND
|ND
|1.4±0.1 x 10<sup><small>-3</small></sup>
|1.3±0.1 x 10<sup><small>-3</small></sup>
|ND
|}
{| class="wikitable"
|+表7 RCDTへの残留割合(初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
!核種
!H-3
!Co-60
!Sr-90
!Ru-106
!Sb-125
!I-129
!Cs-134
!Cs-137
!Ce-144
|-
|堆積物中の捕捉割合
(重量分率)
|ND
|ND
|5.0±5.0 x 10<sup><small>-4</small></sup>
|2.0±0.2 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|1.0±1.0 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|6.0±6.0 x 10<sup><small>-9</small></sup>
|4.0±4.0 x 10<sup><small>-6</small></sup>
|3.0±3.3 x 10<sup><small>-6</small></sup>
|1.0±1.0 x 10<sup><small>-6</small></sup>
|-
|残留水中の捕捉割合
(重量分率)
|2.9±0.06 x 10<sup><small>-74</small></sup>
|ND
|1.0±0.2 x 10<sup><small>-4</small></sup>
|ND
|4.0±1.0 x 10<sup><small>-6</small></sup>
|5.0±1.0 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|5.0±1.0 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|4.4±0.9 x 10<sup><small>-5</small></sup>
|ND
|}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
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[5] E.L. Tolman and M. Nishio, TMI-2 Fission Product Inventory Estimates, Draft, EGG-TMI-7851, 1987.
[5] E.L. Tolman and M. Nishio, TMI-2 Fission Product Inventory Estimates, Draft, EGG-TMI-7851, 1987.
[6] S. Langer et al., TMI-2 Fission Product Inventory Program FY-85 Styatus Report, GEND-057, 1986.
[7] D.W. Akers et al., Fission Product Relocation and Behavior in the TMI-2 Reactor Vessel, EGG-M-88154, 1988.

2026年2月9日 (月) 11:23時点における最新版

 TMI-2事故前後での炉心物質とFP分布の評価は、事故炉のクリーンアップ作業、デブリ取り出し、事故進展解析等に向けた重要知見であった。炉心物質については、事故前の設計情報に基づいて初期インベントリが評価され、内部調査、サンプル分析、デブリ取り出しなどの作業の進捗に伴って、事故後の分布がアップデートされた[1,2]。FPについては、そもそも事故開始時点での初期インベントリを正確に評価することが困難であった。そこで、事故時の炉心をU富化度によって3領域(炉心中央、炉心中間、炉心外周)に分割し、ORIGEN-II等の解析コードを用いて、事故直前のFPインベントリとその経時変化が評価された[3]。サンプル分析や内部調査、建屋内の放射線計測の結果等に基づいて、燃料デブリや破損燃料中のFP残留率、また、圧力容器内外の主要な領域(一次系内表面、原子炉建屋滞留水、補助建屋滞留水、など)への移行率、付着率が評価された[1,2]。この項目では、TMI-2事故解析で行われた、初期インベントリと物質分布の評価についてまとめる。

炉心物質インベントリ

事故前の炉心物質インベントリ

 表1(a)に、事故前の主要な炉心物質の重量を示す[1]。表1(b)には、マイナー成分も含めたより正確な重量を示す[4]。表1(a)は、炉心物質のインベントリ評価に、表1(b)は、デブリ分析で対象とする元素の選定基準に用いられた。主要な炉心物質としては、燃料棒、制御材、構造材(制御棒被覆管、スペーサグリッド、上下端栓、など)があり、その他に、反射体として用いられていたZrO2、可燃性毒物のAl2O3-B4C、ガドリニア含有燃料、などが装荷されていた。ここで、炉心物質は、上部格子板と下部格子グリッドの間に装荷されていた物質を示している(#上部格子、下部格子自体は含まれていない)。燃料棒は、燃料ペレット約94トン、ジルカロイ被覆管約24トンで構成され、ジルカロイ中の主な副成分としてSnが約370kg装荷されていた。Ag-In-Cd合金からなる制御材は約3トン装荷されていた。構造材は、SS材とインコネル材からなり、事故前の炉心部での重量は約6トンであった。なお、表1(b)に記載されている物質のうち、SnとMo以外のマイナー成分は、インベントリ評価では考慮されていない。

 また、事故の過程で上部格子の底部が一部溶融して崩落したため、約229kgの構造材がデブリ中に混入したと推定された[1]。また、溶融デブリの一部は、炉心外周のバッフル版とコアフォーマ領域を破損して下部プレナムに移行したが、その際に、構造材約182kgが炉心物質に混入したと推定された[1]。事故進展時に、ジルカロイ被覆管は水蒸気によって酸化され、ZrO2が形成されるが、事故シナリオ解析で推定された水素発生量約459kgから逆算して、ジルカロイ酸化に寄与した酸素重量が約3,300kgと評価された[1]。これは、単純計算で、Zrの約43%が酸化していたことに相当している。実際には、水素発生量の推定値に不確かさがあること、ジルカロイだけでなく構造材の一部も酸化していたこと、等により、酸素重量増加の推定には不確かさが存在している。これらの合計として、事故後の炉心物質の総重量は133,250kgと見積もられた[1]。

表1(a) TMI-2炉の主要な炉心物質の初期インベントリ [1]
炉心物質 成分 重量(kg) 炉心物質 成分 重量(kg) 炉心物質 成分 重量(kg) 炉心物質、など 成分 重量(kg)
燃料棒 U 82,810 制御材 Ag 2,199 構造材

(SS, インコネル)

Fe 3,400 その他 ZrO2, Al2O3-B4C, Gd2O3、など 3,600
Zr 23,200 In 412 Cr 1,110 上部格子の崩落 構造材 229
Sn 370 Cd 137 Ni 1,046 バッフル板などの破損 構造材 182
O 11,300 Mo 36 ジルカロイの酸化 酸素量の増加 3,300
表1(b) TMI-2炉の炉心物質の重量と組成 [4]
炉心物質 重量(t) 主要成分 組成(wt%) 炉心物質 重量(t) 主要成分 組成(wt%)
UO2ペレット 93.05 U-235 2.265 ZrO2 0.331 Zr 74
U-238 85.882 O 26
O 11.853 Ag-In-Cd 2.749 Ag 80.0
Zry-4 23.029 Zr 97.907 In 15.0
Sn 1.60 Cd 5.0
Fe 0.225 B4C-Al2O3 0.626 Al 34.33
Cr 0.125 O 30.53
O 0.095 B 27.50
その他 C,N,Hf,S,Al,Ti,V,Mo,Ni,

Cu,W,H,Co,B,Cd,U

C 7.64
SS 4.636 Fe 68.635 Gd2O3-UO2 0.1315 Gd 10.27
Cr 19.000 U 77.22
Ni 9.000 O 12.01
Mn 2.000
Si 1.000
その他 N,C,Co,P,S
Inconel-718 1.211 Ni 51.900
Cr 19.000
Fe 18.000
Nb 5.553
Mo 3.000
その他 Tl,Al,Co,Si,Mn,N,Cu,C,S

事故後の炉心物質分布

 表2に、事故後の破損燃料とデブリの分布の評価結果をまとめて示す[1]。図1に、事故後の圧力容器内のデブリ分布を模式的に示す[5]。燃料棒の約33%は、炉心周辺領域、及び、炉心下部に、本来の燃料棒形状を維持して残留していた。事故シナリオ解析の結果、これらの残留燃料棒の事故時ピーク温度は<1100Kであり、炉心物質の初期組成がほぼ維持されていると評価された(#Zryは酸化されていない)。周辺燃料棒と切り株燃料棒の割合は、デブリ取り出しにともなって撮影された圧力容器内部のビデオ画像から、周辺燃料棒約22.7%、切り株燃料棒約10.7%と見積もられた(#不確かさ±5%)。炉心中央に堆積していた溶融凝固層については、上下クラストで挟まれた構造を持っていた。ボーリングサンプルの分析と画像解析により、上部クラストは、比重8.3g/cm3、重量2,450kg、下部クラストは、比重7.3g/cm3、重量8,760kgと評価された。クラスト層の厚みが場所によって非均質なことから、その重量評価誤差は30~40%と見積もられた。溶融凝固層の重量は、回収されたデブリと上下クラスト層重量の差し引きで、25,990kgと評価された。上部ルースデブリベッドは、比重3~5g/cm3の範囲で(上層が小さく、下層が大きい)、初期インベントリの約20%を占めていた。下部プレナムデブリについては、取り出し時の重量が19,100kgであり、主成分はUとZrの二酸化物で、構造材成分をわずかに含んでいた。残り約10,000kgは、下部プレナムデブリや溶融凝固層とLCSAやUCSAの堆積デブリの組成や比重はほぼ等しいと仮定され、画像データで見積もられたデブリ堆積状態から、LCSAとUCSAの堆積デブリの体積割合が評価差荒れ、それぞれに割り付けられた。

表2 事故後の炉心物質の重量分布 [1]
主要な領域 重量推定値(kg) 不確かさ(%) 事故直後のインベントリに対する割合(%)
形状を維持した燃料棒

(炉心周辺燃料、切り株燃料)

44,500

 周辺燃料棒:30,200  切り株燃料棒:14,300

5 33.4
溶融凝固層

(クラスト層を含む)

32,700

 溶融凝固層:25,990  上部クラスト層:2,450  下部クラスト層:8,760

5 24.5
上部ルースデブリ

(デブリベッド)

26,600 5 19.9
下部プレナムデブリ 19,100 20 14.3
LCSA内堆積デブリ 5,800 40 4.3
UCSA内堆積デブリ 4,200 40 3.2
圧力容器外 60~100# - 0.2~0.3

#圧力容器外の炉心物質量は、原子炉建屋と補助建屋内の各種機器や配管の線量計測の結果に基づいて推定された。後日、GPU社による詳細評価がなされ、450kgに修正されている

LCSA: Lower Core Support Assembly

UCSA: Upper Core Support Assembly

参考:事故シナリオとデブリふるまい

燃料棒成分について

 表3(a)に、燃料棒主要成分(U,Zr,Sn)の、圧力容器内デブリ中の捕捉率を示す[1,2]。それぞれの領域から採集されたデブリサンプルの分析値の積み上げで、Uの97%が捕捉されたと評価された。形状を維持した燃料棒は、初期インベントリをそのまま維持していたとされた。上部ルースデブリは、>90%が約1~5mmサイズの粒子デブリであり、その平均組成は、初期インベントリに比べてUリッチであった(66%に対し75%)。下部プレナムデブリは、Uの平均濃度65%で、初期インベントリに近い値であった。これに対し、溶融凝固層や上部クラスト層中の金属相や下部クラスト層はUの相対濃度が低く、逆にZr濃度が高い傾向が示された。上部クラスト、溶融凝固層、下部クラストの平均的なU濃度は、それぞれ、49、54、34%であった。しかし、これらの層のうち酸化物相中の平均U組成は、炉心平均に近い値であった。上部プレナム構造物の付着デブリの分析結果から、この領域へのU移行物量は、初期インベントリの<0.1%と評価された。

 Zrについては、捕捉率が91%であった。上部ルースデブリベッド中のUに対する分析値の相対値から、約50%のZrは炉心下部に先行的に移行したと推定された。炉心下部に移行したZrは、溶融凝固層中の金属相や下部クラスト層に濃化していた。Snは、ジルカロイの酸化・溶融過程でZrから分離され、金属デブリ側に移行していた。ZrとSnの捕捉率がUに比べて低いため、サンプル分析されていない領域に金属デブリが存在していた可能性が示唆された。可能性の一つとして、事故初期に発生した炉心上部での燃料崩落イベント(スクラム後174分)の際に形成された金属微粒子デブリが、下部プレナムに沈降して堆積し、下部プレナムデブリの最下層に金属層を形成していたシナリオが推定された。しかし、下部プレナムデブリ底部のサンプル分析は行われておらず、この仮説は検証されていない(#下部プレナムハードデブリの採集と分析は行われたが、デブリ破砕作業によりハードデブリが破砕混合された後に採集されたため、底部サンプルは採集されていない)。なお、SnはZrに比べて、金属相側に多く分布していることがわかる。

制御材成分について

 表1に示したように、Ag-In-Cdの重量比は、80-15-5wt%であった。その融点は1073-1123Kであった。TMI-2事故では、制御棒溶融時に圧力容器内が高圧で保たれていたため、溶融した制御材成分はデブリ中にあまり噴出されなかったと考えられている。制御材の一部(主にAg)はエアロゾルとして上部プレナムに移行、付着した。上部ルースデブリ中にも若干量のAgが同定された(初期インベントリの1.8%)。In,Cdの検出量は<0.1%であった。溶融凝固層やクラスト層中では、金属相側に濃化していた。これは、事故の初期に溶融した制御材成分が、燃料成分より先に炉心下部に移行したことを示唆している。下部プレナムデブリ中での検出量は極めて小さく、これは、スクラム後224分のデブリ移行イベント時には、溶融デブリプール中のAg-In-Cdがほぼ溶融デブリプールの外に放出されていたことを示唆している。Ag-In-Cdとも捕捉率が高くないので、圧力容器内のどこかに移行している可能性がある。上述したスクラム後174分の炉心上部崩落の際に、金属デブリ粒子として放出され、下部プレナム底部に移した可能性があると推定された。とくにAgは比重が大きいため(10.5g/cm3)、粒子状デブリとして下部プレナム底部に沈降した可能性があるとされた。Inは、Agに比べて、炉心下部で多く検出された。一方で、Agに比べ酸化物相側での検出割合が若干大きい傾向がある。Cdについては温度上昇により蒸発したと推定されている。残留したCdは主に金属相中に存在している。事故初期には、全てが蒸発したのではなく、ボイド内にCd気体が保持されていた可能性があると推定された。

構造材成分について

 構造材の分布についての考察は、参考文献[2]で行われている。

 Feについては、上部ルースデブリ中で濃度低下、上下クラスト層と溶融凝固層中の金属相中に濃化している。Feの酸化度は20%程度と推定された。

 Crについては、クラスト層や溶融凝固層中の金属相中に1.4-1.7wt%の重量濃度で検出された。その多くは酸化され、金属相側では酸化物相を形成し、結晶粒界に存在していた。酸化物相中では、構造材酸化物の第2相を形成していた。

 Niについては、ほぼ酸化されておらず、特に下部クラスト層に濃化していた。Niについては、ボーリングサンプル中の金属相と酸化物相の体積割合、および、それぞれの分析データの代表性が、大きな不確かさを持っている。溶融凝固層の分析結果を外挿して評価した下部プレナムやLCSA/UCSA堆積デブリ中の分布についても不確かさが大きいとされた。

 Moについては、分析データを単純に積み上げると、初期インベントリの約3倍量となってしまう。この傾向は、Moに限らず、初期インベントリが小さく、サンプル分析において、分析感度ぎりぎりの条件で測定した元素について、往々にして現れる。サンプルが非均質な時に、この傾向はより大きく出現しやすい。Moでは、ボーリングサンプル中の金属相の分析値の不確かさが大きいと考えられる。Moの由来は、スペーサグリッドのインコネルであり、おそらく下部クラストを最初期形成した物質に多く含有されている。

表3(a) 圧力容器内の各種成分の分布(初期インベントリに対する捕捉率、%) [1,2]
主要な領域 燃料棒成分 制御材成分 構造材成分
U Zr Sn Ag In Cd Fe Cr Ni Mo
上部プレナム付着デブリ <0.1 <0.1 <0.1 1.0 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1
上部ルースデブリ

(デブリベッド)

24 13 <0.1 1.8 <0.1 <0.1 5.3 5.0 12 <0.1
上部クラスト層

 酸化物相

 金属相

.

1.3 -

.

1.2 0.3

.

2.3 6.1

.

1.2 2.4

.

3.6 3.3

.

0.65 0.39

.

1.2 7.4

.

1.1 2.7

.

1.3 12

.

- 27

溶融凝固層

 酸化物相

 金属相

.

12 -

.

18 0.2

.

- 5.8

.

1.6 10

.

2.1 27

.

1.1 6.1

.

- 6.2

.

13 1.5

.

- 10

.

- 28

下部クラスト層

 酸化物相

 金属相

.

3.6 -

.

2.8 5.6

.

9.3 26

.

7.3 11

.

7.2 16

.

1.4 2.9

.

1.4 22

.

4.3 9.9

.

11 34

.

- 62

形状を維持した燃料棒 33 33 33 11 11 11 33 33 33 33
下部プレナムデブリ 15 11 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 13 13 1.8 126
LCSA内堆積デブリ 4.6 3.3 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 4.1 3.9 0.5 38
UCSA内堆積デブリ 3.3 2.4 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 3.0 2.8 0.4 28
捕捉率の合計 97% 91% 82% 47% 70% 23% 97% 90% 116% 340%#

#Moは、ICP-AESの検出限界に近い範囲で分析が行われたため、特にサンプルが非均質であったボーリングサンプル中での分析値に誤差が大きい。

FPインベントリ

事故前のFPインベントリ

 事故時のFPインベントリ解析では、様々な不確かさを考慮する必要がある。スクラム時点でのFPインベントリは、解析で評価するしかないが、様々な解析コードによる解析誤差は、核種によっては最大25%に達する。サンプル分析における分析誤差や、事故時のデブリふるまい、事故以降のデブリふるまいにともなうFPふるまいの変化も考慮する必要がある。そこで、初期インベントリの評価は、Point Isotopic Delpletion法による簡易解析で十分とされた。

 図2に、U-235富化度の分布を、表4に、12群に分類された燃焼集合体のそれぞれの燃焼条件を示す[3]。装荷されていた177個の燃料集合体について、軸方向に7ノードに分割されてORIGEN-IIコードでの解析が行われた(#スクラム以降の時間変化)。44個のFP核種と24個の重元素について解析結果が整理され、炉心中央、炉心中間、炉心外周の3領域に分けてまとめられた。解析の不確かさについては、Ag-110とAg-110mで28%、Rh-106、Cs-134、Cs-137、Gd-153、Eu-155で10-20%、それ以外のFPでは10%以下と記載されている[3]。重元素では解析誤差が大きく、241核種では30%、242核種では80%、243核種ではファクター2.4、244核種ではファクター3.4と記載されている[3]。

 図3に、3領域に分類したそれぞれでの、燃焼にともなうU-235濃度の変化を示す[3]。炉心外周領域に2.96%富化度燃料が、炉心中間領域に2.64%富化度燃料が、炉心中央領域に1.98%富化度燃料がそれぞれ装荷されていた。また、燃焼に伴う、U-235に対するFP核種や重元素核種の相対濃度が解析されている。これらの解析値が整理され、領域ごとのU-235に対するFP相対濃度の基準条件とされた。表5に、例として、炉心全体でのスクラム時点でのモル量解析値を示す[3]。図4に、FPや重元素核種とU-235の相対濃度変化の例を示す[3]。スクラム以降の濃度変化については、直線的に単調に変化している核種(典型例:Eu-155)については解析の不確かさが小さく、曲線的に変化している核種(典型例:Cs-134)では解析誤差が大きくなる。

 これらの解析結果に基づいて、分析対象核種として、FPについては、Kr-85,Sr-90,Ru-106,Sb-125,I-129,Cs-134,Cs-137,Ce-144,Eu-154,Eu-155が選定された。重元素については、Pu同位体、Am-241,Am-243,Cm-242が選定された。

表4 TMI-2炉心での12個の燃料グループ [3]
燃料グループ 解析ノード数 初期富化度

(wt%)

初期UO2重量

(t)

平均燃焼度

(MWd/MTU)

最低燃焼度

(MWD/MTU)

最高燃焼度

(MWD/MTU)

1 72 1.98 4.7684 1863 1436 2240
2 68 1.98 4.5035 2746 2488 3158
3 152 1.98 10.067 3637 3190 4021
4 100 1.98 6.6228 4391 4087 4905
5 105 2.64 6.9540 2239 1647 2741
6 76 2.64 5.0334 3552 2810 3890
7 230 2.64 15.223 4315 3907 4952
8 16 2.64 1.0597 5465 5227 6213
9 136 2.96 9.0071 1548 910 2020
10 164 2.96 10.861 2644 2100 3143
11 76 2.96 5.0334 3554 3261 4192
12 44 2.96 2.9140 4878 4453 5572
表5 スクラム時全炉心でのFPと重元素モル数 [3]
核種 全炉心 炉心中央

1.98%燃料

炉心中間

2.64%燃料

炉心外周

2.96%燃料

核種 全炉心 炉心中央

1.98%燃料

炉心中間

2.64%燃料

炉心外周

2.96%燃料

核種 全炉心 炉心中央

1.98%燃料

炉心中間

2.64%燃料

炉心外周

2.96%燃料

Th-231 3.184 x 10-8 7.567 x 10-9 1.122 x 10-8 1.306 x 10-8 H-3 1.461 x 10-1 4.905 x 10-2 5.717 x 10-2 3.988 x 10-2 Te-125m 5.900 x 10-3 2.153 x 10-3 2.251 x 10-3 1.497 x 10-3
Th-234 4.950 x 10-6 1.574 x 10-6 1.704 x 10-6 1.672 x 10-6 Se-79 6.433 x 10-1 2.101 x 10-1 2.528 x 10-1 1.804 x 10-1 Sn-126 1.493 x 100 5.336 x 10-1 5.745 x 10-1 3.846 x 10-1
Pa-233 1.395 x 10-7 5.318 x 10-8 5.340 x 10-8 3.291 x 10-8 Kr-85 2.904 x 100 9.217 x 10-1 1.148 x 100 8.349 x 10-1 Sb-126 3.727 x 10-3 1.357 x 10-3 1.445 x 10-3 9.252 x 10-4
Pa-234m 1.670 x 10-10 5.311 x 10-11 5.748 x 10-11 5.638 x 10-11 Sr-89 2.385 x 101 7.470 x 100 9.437 x 100 6.943 x 100 Sb-126m 2.203 x 10-6 8.248 x 10-7 8.558 x 10-7 5.221 x 10-7
U-234 5.606 x 10-2 1.710 x 10-2 2.226 x 10-2 1.670 x 10-2 Sr-90 6.076 x 101 1.916 x 101 2.404 x 101 1.757 x 101 Te-127 1.706 x 10-2 6.112 x 10-3 6.607 x 10-3 4.339 x 10-3
U-235 7.673 x 103 1.821 x 103 2.702 x 103 3.150 x 103 Y-90 1.517 x 10-2 4.807 x 10-3 6.007 x 10-3 4.353 x 10-3 Te-127m 2.633 x 10-1 9.351 x 10-2 1.018 x 10-1 6.796 x 10-2
U-236 2.162 x 102 6.609 x 101 8.592 x 101 6.423 x 101 Y-91 3.183 x 101 1.002 x 101 1.259 x 101 9.220 x 100 I-129 9.489 x 100 3.225 x 100 3.705 x 100 2.559 x 100
U-237 8.910 x 10-1 3.302 x 10-1 3.521 x 10-1 2.087 x 10-1 Zr-93 7.122 x 101 2.275 x 101 2.811 x 101 2.035 x 101 Cs-134 1.145 x 100 4.342 x 10-1 4.696 x 10-1 2.412 x 10-1
U-238 3.351 x 105 1.066 x 105 1.153 x 105 1.132 x 105 Nb-93m 6.391 x 10-6 2.084 x 10-6 2.518 x 10-6 1.789 x 10-6 Cs-135 2.088 x 101 5.919 x 100 7.795 x 100 7.165 x 100
Np-237 6.280 x 100 2.379 x 100 2.419 x 100 1.482 x 100 Zr-95 3.896 x 101 1.251 x 101 1.537 x 101 1.108 x 101 Cs-137 7.160 x 101 2.331 x 101 2.819 x 101 2.009 x 101
Np-239 2.698 x 101 1.030 x 101 1.010 x 101 6.579 x 100 Nb-95 1.403 x 101 4.516 x 100 5.534 x 100 3.982 x 100 Ba-137m 1.109 x 10-5 3.617 x 10-6 4.367 x 10-6 3.106 x 10-6
Pu-236 1.618 x 10-6 7.079 x 10-7 6.272 x 10-7 2.828 x 10-7 Nb-95m 1.487 x 10-2 4.782 x 10-3 5.863 x 10-3 4.222 x 10-3 Ce-144 5.145 x 101 1.649 x 101 2.030 x 101 1.465 x 101
Pu-238 2.479 x 10-1 1.085 x 10-1 9.597 x 10-2 4.343 x 10-2 Tc-99 6.839 x 101 2.220 x 101 2.691 x 101 1.927 x 101 Pr-144 2.246 x 10-3 7.237 x 10-4 8.877 x 10-4 6.347 x 10-4
Pu-239 6.011 x 102 2.247 x 102 2.220 x 102 1.543 x 102 Ru-103 1.833 x 101 6.272 x 100 7.166 x 100 4.890 x 100 Pr-144m 1.089 x 10-5 3.492 x 10-6 4.299 x 10-6 3.102 x 10-6
Pu-240 5.230 x 101 2.246 x 101 1.986 x 101 9.979 x 100 Ru-106 1.008 x 101 3.852 x 100 3.870 x 100 2.358 x 100 Pm-147 1.891 x 101 6.004 x 100 7.404 x 100 5.506 x 100
Pu-241 9.822 x 100 4.721 x 100 3.691 x 100 1.410 x 100 Rh-106 1.630 x 10-5 6.474 x 10-6 6.349 x 10-6 3.478 x 10-6 Sm-151 2.611 x 100 7.938 x 10-1 9.835 x 10-1 8.334 x 10-1
Pu-242 3.572 x 10-1 1.894 x 10-1 1.286 x 10-1 3.913 x 10-2 Pd-107 6.847 x 100 2.694 x 100 2.617 x 100 1.536 x 100 Eu-152 2.119 x 10-3 6.923 x 10-4 8.441 x 10-4 5.826 x 10-4
Am-241 3.655 x 10-2 1.777 x 10-2 1.361 x 10-2 5.172 x 10-3 Ag-110 1.307 x 10-6 5.943 x 10-7 5.019 x 10-7 2.107 x 10-7 Gd-153 1.160 x 10-4 4.558 x 10-5 4.796 x 10-5 2.250 x 10-5
Am-242m 3.168 x 10-4 1.653 x 10-4 1.150 x 10-4 3.650 x 10-5 Ag-110m 6.344 x 10-3 2.887 x 10-3 2.423 x 10-3 1.033 x 10-3 Eu-154 2.297 x 10-1 9.090 x 10-2 9.283 x 10-2 4.601 x 10-2
Am-242 1.325 x 10-4 6.967 x 10-5 4.803 x 10-5 1.479 x 10-5 Cd-113m 1.250 x 10-2 4.666 x 10-3 4.750 x 10-3 3.082 x 10-3 Eu-155 4.494 x 10-1 1.552 x 10-1 1.717 x 10-1 1.225 x 10-1
Am-243 8.314 x 10-3 4.768 x 10-3 2.821 x 10-3 7.248 x 10-4 Sn-119m 6.535 x 10-3 2.403 x 10-3 2.487 x 10-3 1.645 x 10-3
Cm-242 2.654 x 10-3 1.419 x 10-3 9.476 x 10-4 2.866 x 10-4 Sn-121m 1.432 x 10-4 5.134 x 10-5 5.580 x 10-5 3.606 x 10-5
Cm-243 9.989 x 10-6 5.755 x 10-6 3.370 x 10-6 8.640 x 10-7 Sn-123 9.459 x 10-2 3.394 x 10-2 3.626 x 10-2 2.439 x 10-2
Cm-244 2.654 x 10-4 1.627 x 10-4 8.376 x 10-5 1.890 x 10-5 Sb-125 9.433 x 10-1 3.446 x 10-1 3.604 x 10-1 2.383 x 10-1

事故後のFP分布

 表4に、事故後のFP分布の評価結果をまとめて示す[1]。低揮発性FP(Ce-144,Eu-154,Eu-155)は、ほとんどが破損燃料およびデブリ中に保持されていた。一部が燃料成分の微粒子中に混入し、RCS系に移行した。なお、解析において、中性子捕獲過程が入るEu-154については、他の核種より解析誤差が大きくなる傾向がある。なお、低揮発性FPと高揮発性FPについては、デブリサンプルの分析平均値が記載されている。中揮発FPは、酸化物相と金属相への分布が大きく偏っていたため、相ごとの分析平均値がとして掲載されている。

 中揮発性FP(Sr-90,Ru-106,Sb-125)では、Sr-90が初期インベントリの約3.2%が圧力容器外に放出されていた。そのほとんどは原子炉建屋内であり、約0.1%が補助建屋のRCBT内に移行していた。圧力容器内では、破損燃料やデブリ中でほぼUと同伴しており、金属デブリ中にはほとんど検出されなかった。Sr-90については、事故終息後にも、冷却水中に少しずつ溶出していた。Sb-125については、上下クラスト層中の金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約6-20倍)。Sb-125の約66%は、残留燃料と下部クラスト層中に存在し、上部ルースデブリや下部プレナムデブリ中の検出量は相対的に低い値であった。Ru-106も、Sb-125と同様の傾向であり、金属相中に濃化していた(#燃料棒中の重量比の約4-12倍)。Sb-125とRu-106は酸化されにくい核種として知られており、これらのFPは、酸化されて燃料棒やデブリから放出される前に、主に構造材や金属Zrからなる金属メルトが炉心下部に移行し、下部クラストを形成する過程で、金属相側にトラップされたと推定された。

 希ガスFP(Kr-85)では、一部が燃料棒中に残留し、大半が一次系冷却水/冷却ガスを経由して、建屋内に放出された。それ以外に、上部ルースデブリベッド中の残留が約6%であった。Kr-85の捕捉精度は誤差±5-10%と評価された。建屋内に滞留していたKr-85は、建屋内入域前に環境に制御放出された。切り株燃料中には初期インベントリのままで保持されていた。高揮発性FP(I-129,Cs-134,Cs-137)については、約50%が一次系冷却水中に移行し、さらに一部が原子炉建屋地階の滞留水や汚泥に移行した。I-129は、分析しにくい核種であり、評価精度が低いことに留意が必要である。建屋地階では、粒子状のデブリやコンクリートに吸着していた。残留燃料棒中では、初期インベントリと同程度の割合で保持されていた。約5%が上部ルースデブリに吸着されていた。下部プレナムデブリでは、I-129はほとんど放出されていたが、Cs-134,137は数%から20%くらいが残留していた(#デブリ全体の平均として2.1%)。Cs-137の分布は非均質で、構造材酸化物の結晶粒界やボイド内などに濃化していた。

表4 事故後のFP分布 [1]
FP吸着部位 低揮発性FP 中揮発性FP 高揮発性FP 希ガス
Ce-144 Eu-154 Eu-155 Sr-90 Ru-106 Sb-125 Cs-137 I-129 Kr-85
ex-vessel
原子炉建屋雰囲気 - - - - - - IA IA 54
原子炉建屋地階、タンク類 0.01 IA IA 2.1 0.5 0.7 47 47 IA
RCS系(一次系) IA IA IA 1.0 IA 0.2 3 1 IA
補助建屋 IA IA IA 0.1 IA 0.7 5 7 IA
In-vessel
上部プレナム付着デブリ IA IA IA IA IA IA IA IA IA
上部ルースデブリ(表層近く) 26 30 24 23 14 13 5.3 5.9 6
上部ルースデブリ(バルク) 20 19 19 19 16 24 4.3 5.3 IA
上部クラスト層(平均) 1.4 2.0 1.6 - - - 0.41 0.27 IA
 酸化物相 - - - 0.73 0.8 0.5 - - -
 金属相 - - - IA 3.8 7.8 - - -
溶融凝固層(平均) 24 32 22 - - - 0.77 2.1 IA
 酸化物相 - - - 8.3 2.2 3.1 - - -
 金属相 - - - IA 9.0 6.9 - - -
下部クラスト層(平均) 5.9 7.9 5.1 - - - 1.3 3.5 IA
 酸化物相 - - - 4.5 5.7 7.4 - - -
 金属相 - - - IA 24 36 - - -
形状を維持した燃料棒

(周辺燃料棒、切り株燃料棒)

30 30 30 30 30 30 30 30 30
UCSA堆積デブリ 3.4 4.5 NA 3.9 0.23 0.22 0.46 0.12 IA
LCSA堆積デブリ 4.7 6.3 NA 5.3 0.32 0.30 0.63 0.16 IA
下部プレナムデブリ 16 21 NA 18 1.1 1.0 2.1 0.54 IA
捕捉率の合計 105 122 110 93 94 119 95 97 91

IA: Insignificant Amount detected

捕捉率の評価では、上部ルースデブリについて、バルクサンプルの分析値が用いられた。

Eu-155については、下部プレナムデブリについて分析が行われていない。Eu-154と同様の比率で分配していると仮定した。

Ex-vesselでのデブリ分布評価

 ex-vesselについては、全ての領域からサンプルを採集し、FP分布を測定することは困難である。初期インベントリを正確に測定評価できない。多様な核種を様々な濃度範囲で測定するため、分析誤差が大きくなりやすい。採集したサンプルの代表性や均質性に課題がある。また、事故後数年間冷却水中に存在しており、事故直後の情報が必ずしも維持されていない。従って、ex-vesselのデブリ分布評価は、TMI-2事故におけるソースターム評価精度の向上を目的にはしていない。クリーンアップ作業に向けてFPの概略分布を把握すること、および、既往のFPふるまいモデルやソースターム評価にかかわる知見を向上させることが目的である。これをFPインベントリプロジェクト(FPI)と称している[6]。FPIでは、不確かさ評価を行いつつ、ex-vesselのFP分布を同定し、ex-vesselでのFPふるまいメカニズムを解明すると共に、FP捕捉率を評価する。また、今後のサンプリングニーズを提示する[6]。

分布範囲

  • 原子炉建屋内(原子炉圧力容器内、RCS系内、建屋内)、補助建屋内、冷却水浄化系統、滞留水処理系統(SDS、EPICOR-II)、事故時の環境放出、建屋入域前の雰囲気の制御放出分

初期インベントリ

  • ORIGEN-II解析値も用いる。

重要核種

  • 規制における、ソースタームに影響する重要核種はI-131,132,133,135、Kr-85,85m,87,88、Xe-133,135、Cs-134,137、Sr-90、Ru-106、Te-132、Ba-140、Ce-144、Pu-238,239,240,241、Cm-242,244である[7]。
  • ヨウ素については、いずれも半減期が短く測定困難であるため、長半減期核種のI-129でふるまいをトレースする。
  • 従って、数年後に測定可能なのは、I-129,Cs-134,137,Kr-85,Cs-134,Cs-137,Sr-90,Ru-106,Ce-144,Cm-242以外のアクチニド、となる。

主な分布領域

RCS系の外

  • エアクーラー:建屋換気のため、かなり大きな表面積とガス通過量を有する。作業口の内外面パネルのクーポンサンプルが採集され、γ線分光分析結果を全表面積に外挿して、付着割合が評価された(表5図5)[6]。付着量は微量と評価された(揮発性FPと希ガスFPの<0.3%)。
  • 建屋サンプ:RCS系から外部に放出された汚染水の最終的な溜まりとなっている。原子炉建屋については、建屋地階滞留水をSDSで処理したが、それ以降も高い空間線量が継続した。SDS処理後の残留水と汚泥サンプルが採集された。その分析から、SDSでの汚染水処理後は、建屋サンプは大きな汚染源ではないことが確認された(表6、揮発性FPと希ガスFPの<0.3%)[6]。大きな汚染源は、汚染水がしみこんだコンクリートであった。
  • RCDT:事故進展中に、加圧器の圧力開放弁(PORV)から放出された気体、液体が、サンプに移行する途中でRCDTタンクを通過する。事故発生以降、1.9 x 106Lの汚染水がここを通過した。表面積が相当に大きい。クーポンサンプルを分析したが、大きなFPシンクになっていないことが確認された(表7,図6、揮発性FPと希ガスFPの約0.01%のオーダー)[6]。
  • 補助建屋:冷却水浄化系のフィルター樹脂に、移動性FPの最大2%が吸着していたと推定された[6]。

RCS系内

  • RCS系内については、冷却水が循環し、連続処理されている。配管や機器の内表面がFPシンクになっている。事故時温度の違い、構造の複雑性、表面積の違いなどのため、RCS系内の場所によって(同じ機器内でも)FP付着量は異なっている。
  • 1985年時点では、A系蒸気発生器の抵抗温度計のみ採集され、分析が行われているが、その表面積は約15cm2であり、RCS系全体に対し、10-5%の面積でしかないため、評価精度がかなり低い。
  • しかし、暫定的に付着FPを分析し、RCS系全体に外挿することで、全付着割合が予備的に評価された。その結果、可溶性、易移動性のFPが全インベントリの0.1%程度吸着していると評価された(表8、図7)[6]。
  • 上部プレナム構造物への付着量は、リードスクリューサンプルの分析を全表面積に外挿して評価された。RCS系内表面と同程度のFP付着と推定された。
表5 エアクーラー付着割合 (初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
核種 Cs-134 Cs-137 Sr-90 I-129
捕捉割合

(重量分率)

1±1 x 10-4 1±1 x 10-4 3±3 x 10-6
表6 原子炉建屋サンプへの残留割合(初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
核種 Mn-54 Co-60 Sr-90 Ru-106 Sb-125 I-129 Cs-134 Cs-137 Ce-144
汚泥中の捕捉割合

(重量分率)

ND ND 8.3±0.9 x 10-7 ND 1.4±10.2 x 10-7 <5 x 10-7 2.9±0.3 x 10-7 2.6±0.3 x 10-7 1.0±0.3 x 10-7
残留水中の捕捉割合

(重量分率)

ND ND 9.0±1.0 x 10-5 ND ND ND 1.4±0.1 x 10-3 1.3±0.1 x 10-3 ND
表7 RCDTへの残留割合(初期インベントリに対する割合)、1984.3に換算
核種 H-3 Co-60 Sr-90 Ru-106 Sb-125 I-129 Cs-134 Cs-137 Ce-144
堆積物中の捕捉割合

(重量分率)

ND ND 5.0±5.0 x 10-4 2.0±0.2 x 10-5 1.0±1.0 x 10-5 6.0±6.0 x 10-9 4.0±4.0 x 10-6 3.0±3.3 x 10-6 1.0±1.0 x 10-6
残留水中の捕捉割合

(重量分率)

2.9±0.06 x 10-74 ND 1.0±0.2 x 10-4 ND 4.0±1.0 x 10-6 5.0±1.0 x 10-5 5.0±1.0 x 10-5 4.4±0.9 x 10-5 ND

参考文献

[1] D.W. Akers et al., TMI-2 Core materials and Fission Product Inventory, Nucl. Eng. and Design 118 (1990) 451-461.

[2] D.W. Akers and R.K. McCardell, Core Materials Inventory and Behavior, Nucl. Technol., 87 (1989) 214-223.

[3] B.G. Schnitzler and J.B. Briggs, TMI-2 Isotopic Inventory Calculations, EGG-PBS-6798, 1985.

[4] D.W. Akers et al., TMI-2 Core Debris Grab Samples -Examination and Analysis, GEND-INF-075, part 1, 1986.

[5] E.L. Tolman and M. Nishio, TMI-2 Fission Product Inventory Estimates, Draft, EGG-TMI-7851, 1987.

[6] S. Langer et al., TMI-2 Fission Product Inventory Program FY-85 Styatus Report, GEND-057, 1986.

[7] D.W. Akers et al., Fission Product Relocation and Behavior in the TMI-2 Reactor Vessel, EGG-M-88154, 1988.