「1号機格納容器底部堆積物(NFD) SEM」の版間の差分

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{{DISPLAYTITLE:1号機PCV底部堆積物(X-100B直下)堆積物D(1PCV1701D)/FE-SEM/EDX}}
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=試料採取=
=1PCV1701D-1(2017~2018年度実施分)=
==試料採取==
図1にFE-SEM観察台への試料採取の状況写真を示す。
図1にFE-SEM観察台への試料採取の状況写真を示す。


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=SEM像と詳細観察位置=
==SEM像と詳細観察位置==
図2にFE-SEM 像と詳細観察箇所の位置を示す。
図2にFE-SEM 像と詳細観察箇所の位置を示す。


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=詳細観察=
==詳細観察==
==詳細観察像==
===詳細観察像===
図3に詳細観察①の範囲及び拡大FE-SEM像、図4に詳細観察②、③の範囲及び拡大FE-SEM像を示す。
図3に詳細観察①の範囲及び拡大FE-SEM像、図4に詳細観察②、③の範囲及び拡大FE-SEM像を示す。


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=詳細観察結果=
==詳細観察結果==
図5に詳細観察③のFE-SEM/EDS観察結果、図6に詳細観察④のFE-SEM/EDS観察結果、図7に詳細観察⑤のFE-SEM/EDS観察結果を示す。
図5に詳細観察③のFE-SEM/EDS観察結果、図6に詳細観察④のFE-SEM/EDS観察結果、図7に詳細観察⑤のFE-SEM/EDS観察結果を示す。
EDS マッピングは,各位置から得られた各元素のEDS 信号のカウント数の大小を色の濃さで示したものである。しかし,そのカウント数の大小は,基本的にEDS 信号を発した試料表面の元素の量を示しているが,周囲の元素種や試料の形状・密度に影響を受ける。従って,EDS マッピングの色の濃さは,原則的に電子線照射位置の当該元素の量を示しているが,必ずしも各元素濃度の定量比に対応しているわけではない。また,発生するEDS 信号のカウント数は元素の種類によって異なるため,各元素のマッピング間で色の濃さを比較することはできない。さらに,各元素からのEDS 信号には,他の元素のEDS 信号が重なっているケースがあり,明るい部分に必ずしも当該元素が存在するわけではない。電子数の多い対象元素以外の元素の存在する位置では相対的にそのEDS 信号(バックグラウンド)が大きくなる傾向がある。これらの影響を受けていることを考慮した上で同定した元素をキャプションに示した。
EDS マッピングは,各位置から得られた各元素のEDS 信号のカウント数の大小を色の濃さで示したものである。しかし,そのカウント数の大小は,基本的にEDS 信号を発した試料表面の元素の量を示しているが,周囲の元素種や試料の形状・密度に影響を受ける。従って,EDS マッピングの色の濃さは,原則的に電子線照射位置の当該元素の量を示しているが,必ずしも各元素濃度の定量比に対応しているわけではない。また,発生するEDS 信号のカウント数は元素の種類によって異なるため,各元素のマッピング間で色の濃さを比較することはできない。さらに,各元素からのEDS 信号には,他の元素のEDS 信号が重なっているケースがあり,明るい部分に必ずしも当該元素が存在するわけではない。電子数の多い対象元素以外の元素の存在する位置では相対的にそのEDS 信号(バックグラウンド)が大きくなる傾向がある。これらの影響を受けていることを考慮した上で同定した元素をキャプションに示した。
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=U含有領域点分析=
==U含有領域点分析==
FE-SEM/EDS 及びSTEM/EDS 点分析では,各元素の特定にあたって,特性X 線の重なりに関して表2 のように評価した。本報告では点分析結果において,低濃度では誤差が大きく,多元素を扱うため暫定的に小数点以下1 桁の記載とした。明確なEDS 信号が確認できなかったものはBLQ: 定量限界以下(below the limit of quantification)とした。得られたEDS 信号の分離が出来ないものは,Na+Zn,Ti+Ba,Mo+S として表記し,EDS 信号は確認できるが定量はできないため「-」と記載した。よって,図表中のこれらが示す存在割合は確定できないため,測定した元素の存在割合の合計は100%になっていない。なお,本測定では,測定対象元素を定めて測定を行い,主な元素についてのみ報告している。さらに,粒子の形状,大きさ,厚み,測定面の凹凸,及び粒子表面並びに周囲の元素の影響を受けていることに留意が必要である。また,1号機PCV底部堆積物(X-100B直下)堆積物サンプルには鉄さびが混在していることを確認している。これらの理由によりU 含有粒子そのものの分析結果ではないことに留意が必要である。その他,FIB 加工時に蒸着したW 保護膜や照射したGa 原子,FIB 加工前のFE-SEM観察前に蒸着したPt,Pd が残留している可能性がある。分析機器構成元素からの信号の影響として,メッシュ材(Mo もしくはCu)やその他の分析機器構成元素(Al, Co, Fe, Cr)の影響を受けている可能性があることにも留意が必要である。これらについては,各試料の結果に個別に記載した。
FE-SEM/EDS 及びSTEM/EDS 点分析では,各元素の特定にあたって,特性X 線の重なりに関して表2 のように評価した。本報告では点分析結果において,低濃度では誤差が大きく,多元素を扱うため暫定的に小数点以下1 桁の記載とした。明確なEDS 信号が確認できなかったものはBLQ: 定量限界以下(below the limit of quantification)とした。得られたEDS 信号の分離が出来ないものは,Na+Zn,Ti+Ba,Mo+S として表記し,EDS 信号は確認できるが定量はできないため「-」と記載した。よって,図表中のこれらが示す存在割合は確定できないため,測定した元素の存在割合の合計は100%になっていない。なお,本測定では,測定対象元素を定めて測定を行い,主な元素についてのみ報告している。さらに,粒子の形状,大きさ,厚み,測定面の凹凸,及び粒子表面並びに周囲の元素の影響を受けていることに留意が必要である。また,1号機PCV底部堆積物(X-100B直下)堆積物サンプルには鉄さびが混在していることを確認している。これらの理由によりU 含有粒子そのものの分析結果ではないことに留意が必要である。その他,FE-SEM観察前に蒸着したPt,Pd が残留している可能性がある。分析機器構成元素からの信号の影響として,メッシュ材(Mo もしくはCu)やその他の分析機器構成元素(Al, Co, Fe, Cr)の影響を受けている可能性があることにも留意が必要である。これらについては,各試料の結果に個別に記載した。
1uPCV サンプルにおいて発見したU 含有領域についてU 含有領域01~25 と番号を付した。U 含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピングを図8-1~図8-5に示す。また,それぞれのU 含有領域中央付近のFE-SEM/EDS による点分析を実施した結果を表3に示し,表4にFESEM/EDS 点分析によるU 含有領域の分類結果を示す。ここでSTEM/EDS 及びTEM による詳細観察を実施するU 含有領域も示した。また,U 含有領域のFE-SEM/EDS 点分析データについて,そのU:Zr 比のみに着目したプロットを図9に,U:Zr:(Fe+Cr)比に着目したプロットを図10に示した。
1uPCV サンプルにおいて発見したU 含有領域についてU 含有領域01~25 と番号を付した。U 含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピングを図8-1~図8-5に示す。また,それぞれのU 含有領域中央付近のFE-SEM/EDS による点分析を実施した結果を表3に示し,表4にFESEM/EDS 点分析によるU 含有領域の分類結果を示す。ここでSTEM/EDS 及びTEM による詳細観察を実施するU 含有領域も示した。また,U 含有領域のFE-SEM/EDS 点分析データについて,そのU:Zr 比のみに着目したプロットを図9に,U:Zr:(Fe+Cr)比に着目したプロットを図10に示した。


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|-
|-
| rowspan="5" |Zr
| rowspan="5" |Zr
| rowspan="5" |・FE-SEM/EDS は Pt の影響を避けるためZrK で定量。
| rowspan="5" |・FE-SEM/EDS は Pt の影響を避けるためZrK で定量。<br/>
・STEM/EDS はW 保護膜の影響を避けるため ZrK で定量。
・STEM/EDS はW 保護膜の影響を避けるため ZrK で定量。<br/>
・ZrK は強度が小さく定量性が低い。
・ZrK は強度が小さく定量性が低い。
|Kα
|Kα
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-1.jpg|'''図8-2 U含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピング 領域05~10'''
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-1.jpg|'''図8-3 U含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピング 領域11~16'''
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-1.jpg|'''図8-4 U含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピング 領域17~22'''
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-1.jpg|'''図8-5 U含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピング 領域23~25'''
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-9.jpg|'''図9 U含有領域のU:Zr比に着目したプロット'''
ファイル:1PCV1701D-SEM-09.jpg|'''図9 U含有領域のU:Zr比に着目したプロット'''
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ファイル:1PCV1701D-SEM-08-10.jpg|'''図10 U含有領域のUU:Zr:(Fe+Cr)比に着目したプロット'''
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==参考文献==
<references>
<references>
<ref name="Nak22a">仲吉 彬,三次 岳志,佐々木 新治,前田 宏治.“平成29, 30年度福島第一原子力発電所の炉内付着物の分析; 平成28年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金」(燃料デブリの性状把握・分析技術の開発)”,JAEA-Data/Code 2021-011. https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068839</ref>
<ref name="Nak22a">仲吉 彬,三次 岳志,佐々木 新治,前田 宏治.“平成29, 30年度福島第一原子力発電所の炉内付着物の分析; 平成28年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金」(燃料デブリの性状把握・分析技術の開発)”,JAEA-Data/Code 2021-011. https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068839</ref>
</references>
</references>
=1PCV1701D-4(2022年度実施分)=
[[Gr1:1PCV1701D(2022)SEM-EDX|1PCV1701D-4(2022年度実施分。アクセス限定)]]はこちら。

2025年9月17日 (水) 09:07時点における最新版


1PCV1701D-1(2017~2018年度実施分)

試料採取

図1にFE-SEM観察台への試料採取の状況写真を示す。


SEM像と詳細観察位置

図2にFE-SEM 像と詳細観察箇所の位置を示す。


詳細観察

詳細観察像

図3に詳細観察①の範囲及び拡大FE-SEM像、図4に詳細観察②、③の範囲及び拡大FE-SEM像を示す。




詳細観察結果

図5に詳細観察③のFE-SEM/EDS観察結果、図6に詳細観察④のFE-SEM/EDS観察結果、図7に詳細観察⑤のFE-SEM/EDS観察結果を示す。 EDS マッピングは,各位置から得られた各元素のEDS 信号のカウント数の大小を色の濃さで示したものである。しかし,そのカウント数の大小は,基本的にEDS 信号を発した試料表面の元素の量を示しているが,周囲の元素種や試料の形状・密度に影響を受ける。従って,EDS マッピングの色の濃さは,原則的に電子線照射位置の当該元素の量を示しているが,必ずしも各元素濃度の定量比に対応しているわけではない。また,発生するEDS 信号のカウント数は元素の種類によって異なるため,各元素のマッピング間で色の濃さを比較することはできない。さらに,各元素からのEDS 信号には,他の元素のEDS 信号が重なっているケースがあり,明るい部分に必ずしも当該元素が存在するわけではない。電子数の多い対象元素以外の元素の存在する位置では相対的にそのEDS 信号(バックグラウンド)が大きくなる傾向がある。これらの影響を受けていることを考慮した上で同定した元素をキャプションに示した。


U含有領域点分析

FE-SEM/EDS 及びSTEM/EDS 点分析では,各元素の特定にあたって,特性X 線の重なりに関して表2 のように評価した。本報告では点分析結果において,低濃度では誤差が大きく,多元素を扱うため暫定的に小数点以下1 桁の記載とした。明確なEDS 信号が確認できなかったものはBLQ: 定量限界以下(below the limit of quantification)とした。得られたEDS 信号の分離が出来ないものは,Na+Zn,Ti+Ba,Mo+S として表記し,EDS 信号は確認できるが定量はできないため「-」と記載した。よって,図表中のこれらが示す存在割合は確定できないため,測定した元素の存在割合の合計は100%になっていない。なお,本測定では,測定対象元素を定めて測定を行い,主な元素についてのみ報告している。さらに,粒子の形状,大きさ,厚み,測定面の凹凸,及び粒子表面並びに周囲の元素の影響を受けていることに留意が必要である。また,1号機PCV底部堆積物(X-100B直下)堆積物サンプルには鉄さびが混在していることを確認している。これらの理由によりU 含有粒子そのものの分析結果ではないことに留意が必要である。その他,FE-SEM観察前に蒸着したPt,Pd が残留している可能性がある。分析機器構成元素からの信号の影響として,メッシュ材(Mo もしくはCu)やその他の分析機器構成元素(Al, Co, Fe, Cr)の影響を受けている可能性があることにも留意が必要である。これらについては,各試料の結果に個別に記載した。 1uPCV サンプルにおいて発見したU 含有領域についてU 含有領域01~25 と番号を付した。U 含有領域に含まれる可能性の高いU,Zr, Fe のEDS マッピングを図8-1~図8-5に示す。また,それぞれのU 含有領域中央付近のFE-SEM/EDS による点分析を実施した結果を表3に示し,表4にFESEM/EDS 点分析によるU 含有領域の分類結果を示す。ここでSTEM/EDS 及びTEM による詳細観察を実施するU 含有領域も示した。また,U 含有領域のFE-SEM/EDS 点分析データについて,そのU:Zr 比のみに着目したプロットを図9に,U:Zr:(Fe+Cr)比に着目したプロットを図10に示した。

表2 FE-SEM/EDX及びSTEM/EDX点分析の考慮すべきオーバーラップ
Element Determination logic in this report Analyzed Characteristic

X-rays

Energy

(keV)

Interfering elements Characteristic X-rays Energy

(keV)

O ・Cr が大量に存在しない限り妨害元素の影響はない。

・軽元素、コンタミの影響等のため定量性は低い。

0.525 Cr 0.573
Na ・Zn が存在しない限り妨害元素の影響はない。

・ZnK のEDS 信号を確認できた場合、NaK とZnL の EDS 信号は分離できないため、定量を行わず「-」と記した。 ・多くの試料でZnK のEDS 信号と比例関係は確認できないため、Na は存在する可能性があると考えた。

1.041 Zn 1.012
Mg ・軽元素のため定量性は低い 1.253      
Al ・軽元素のため定量性は低い 1.486      
Si ・FE-SEM/EDS では W 保護膜を使用していないため、妨害元素の影響はない。STEM/EDS では W 保護膜を使用しているため、 W の影響を受ける。

・軽元素のため定量性は低い。

1.739 W M 1.774
Mo ・Mo 又は S の EDS 信号を確認できた場合、MoL とSK のEDS

信号は分離できないため、定量を行わず「-」と記した。 ・多くの試料で MoK とUL の EDS 信号は分離できないため、Moが有意に存在していることが確認できない。よって、S が有意に存在している可能性もあると考えた。 ・FE-SEM/WDX 分析においても Mo は同定されていない。

2.293 S 2.307
[Lβ1] [2.394(45)] [S] [Kβ] [2.465(7)]
[U] [ζ1] [2.507(2.3)]
[Kα] [17.441] [U] [Lβ1] [17.217(50)]
Cl ・U のサブピークに留意して同定した。 2.621 [U] [M3N1] [2.862(1.3) 他]
[Ru] [Lα] [2.558]
U ・U 領域を選定しているため EDS 信号も強く、妨害元素の影響はない。 M 3.165      
[Lα] [13.612]
[ULβ1] [17.217(50)]
[ULβ2] [16.425(20)]
[M5N3(ζ1)] [2.507(2.3)]
[M3N1] [2.862(1.3)]
[M5N6(α2)〜M5N7(α1)] [3.162〜3.171(100)]
[M4N6(Mβ)] [3.337(60)]
[M3N5(Mγ)] [3.562(6)]
[M3O5] [4.206(1.5)]
Sn ・U のサブピークに留意して同定した。 3.443 [U] [M4N6(Mβ)] [3.337(60) 他]
Ca ・U のサブピークに留意して同定した。 3.690 [U] [M3N5(Mγ)] [3.562(6) 他]
Cs ・U のサブピークに留意して同定した。 4.286 [U] [M3O5] [4.206(1.5) 他]
Ti ・Ti 又はBa の EDS 信号を確認できた場合、TiK とBaL の EDS 信号は分離できないため、定量を行わず「-」と記した。

・一部の試料でBa のサブピークと推測される EDS 信号も確認できることから、Ba が有意に存在している可能性もあると考えた。

4.508 Ba Lα [Lβ1] 4.465

[4.827(50)]

Cr ・有意な妨害元素の影響はない。 5.411      
Mn ・Cr が存在しない限り妨害元素の影響はない。

・MnK とCrKβ のEDS 信号は分離できないため、Cr Kα のEDS信号を確認できる場合は、定量を行わず「-」と記した。

5.894 Cr 5.946(12)
[Kα] [5.411]
Fe ・有意な妨害元素の影響はない。 6.398      
[Lα] [0.705]
[Kβ] [7.057(13)]
Zn ・ZnL は NaK の影響を受けるため、ZnK で定量。有意な妨害元素の影響はない。 8.630 [Na] [Kα] [1.041]
[Kβ] [9.57(13)]
[Lα] [1.012]
Zr ・FE-SEM/EDS は Pt の影響を避けるためZrK で定量。

・STEM/EDS はW 保護膜の影響を避けるため ZrK で定量。
・ZrK は強度が小さく定量性が低い。

15.744 [Pt] [M] [2.048]
[Lα] [2.042]
[Lα] [9.441(100)]
[Lβ1] [11.069(50)] [W] [M] [1.774]
[Lβ2] [11.249(29)]
Pt ・ FE-SEM/EDX で蒸着に使用されている。 [M] [2.048 ]      
[Lα] [9.441(100)]
[Lβ1] [11.069(50)]
[Lβ2] [11.249(29)]

注釈:[]は参考
出典:[1][2]


表3 各領域のEDX点分析結果
領域No O Na+Zn Mg Al Si Mo+S Cl U Sn Ca Cs Ti+Ba Cr Mn Fe Zn Zr
1 42 - 0.8 6.1 13 - BLQ 3.8 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 16 5.2 1.3
2 58 - 1.6 5.5 3.8 - BLQ 13 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 6.2 2.3 BLQ
3 40 - BLQ 3.4 3.2 - BLQ 7.3 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 10 7.1 BLQ
4 45 - 0.8 6.1 4.4 - BLQ 7.2 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 22 5.7 BLQ
5 68 - BLQ 2.9 5.4 - BLQ 5.2 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 7.4 1.2 BLQ
6 54 - 0.8 5.5 5.6 - BLQ 6.2 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 14 4.1 BLQ
7 52 - 0.7 4.6 6.1 - BLQ 1.4 BLQ BLQ BLQ BLQ 1.5 - 7.9 4.3 BLQ
8 66 - 0.8 3 3.1 - BLQ 4.6 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 7.2 2.1 BLQ
9 60 - 0.5 5.2 2.3 - BLQ 11 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 5.7 2.4 BLQ
10 54 - 1.1 6.1 3.1 - BLQ 13 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 0.4 7 2.7 BLQ
11 50 - 1.1 8.2 3.9 - BLQ 22 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 5.1 1.5 BLQ
12 58 - 0.6 5.1 4.9 - BLQ 11 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 7.9 1.7 BLQ
13 54 - 1 5.8 4.6 - BLQ 5.8 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 10 3 BLQ
14 42 - 0.9 6.8 4.4 - BLQ 11 BLQ 1.2 BLQ - BLQ BLQ 15 4.9 BLQ
15 51 - BLQ 3 3.4 - BLQ 7.2 BLQ BLQ BLQ BLQ 0.7 - 9.3 2.1 12
16 71 - BLQ 3.3 1.5 BLQ BLQ 11 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 6.8 0.8 BLQ
17 58 - BLQ 6.3 4 - BLQ 16 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 5.8 1.1 BLQ
18 58 - BLQ 5.8 2.3 - BLQ 17 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 5.4 1.4 BLQ
19 45 - 1.6 6.9 3.6 - BLQ 8.5 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 13 5.2 BLQ
20 45 - 0.6 5.4 3.4 - BLQ 8.1 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 20 5.4 BLQ
21 71 - BLQ 4 1.8 - BLQ 12 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 4.6 0.5 BLQ
22 46 - 0.9 8.7 3.6 - BLQ 17 BLQ BLQ BLQ BLQ 1.1 BLQ 7.7 1.5 8.3
23 44 - BLQ 8.8 6.5 - BLQ 16 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 14 1.9 BLQ
24 46 - 0.5 6.9 2.9 - BLQ 8.8 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 18 6.4 BLQ
25 48 - 0.8 4.6 3.6 - BLQ 5.6 BLQ BLQ BLQ - BLQ BLQ 14 4.5 2.7

BLQ: 定量限界以下(below the limit of quantification)
-: EDS信号は確認できるが定量はできない。

表4 FESEM/EDS 点分析によるU 含有領域の分類結果
領域 No. U Cr Fe Zr Crタイプ Feタイプ Fe(Cr)タイプ 混在タイプ Fe-Uタイプ Zr>Uタイプ U~Zrタイプ U>Zrタイプ Uタイプ TEM等

対象領域

Cr/U>5 Fe/U>5 (Fe+Cr)/U>5 (Fe+Cr)/(U+Zr)>1 U/(U+Zr)
U/(U+Zr)<0.9 U/(U+Zr)>0.9 <0.4 0.4~0.7 0.7~0.9 >0.9
01 3.8 BLQ 16 1.3                
02 13 BLQ 6.2 BLQ                
03 7.3 BLQ 10 BLQ                
04 7.2 BLQ 22 BLQ                
05 5.2 BLQ 7.4 BLQ                  
06 6.2 BLQ 14 BLQ                  
07 1.4 1.5 7.9 BLQ                  
08 4.6 BLQ 7.2 BLQ                  
09 11 BLQ 5.7 BLQ                  
10 13 BLQ 7.0 BLQ                  
11 22 BLQ 5.1 BLQ                  
12 11 BLQ 7.9 BLQ                  
13 5.8 BLQ 10 BLQ                  
14 11 BLQ 15 BLQ                  
15 7.2 0.7 9.3 12                
16 11 BLQ 6.8 BLQ                  
17 16 BLQ 5.8 BLQ                  
18 17 BLQ 5.4 BLQ                  
19 8.5 BLQ 13 BLQ                  
20 8.1 BLQ 20 BLQ                  
21 12 BLQ 4.6 BLQ                  
22 17 1.1 7.7 8.3                
23 16 BLQ 14 BLQ                  
24 8.8 BLQ 18 BLQ                  
25 5.6 BLQ 14 2.7                  
各タイプ存在割合(%) 0.0 4.0 0.0 8.0 40.0 4.0 4.0 0.0 40.0 -

BLQ: 定量限界以下(below the limit of quantification)


また,U 含有領域のFE-SEM/EDS 点分析データについて,そのU:Zr比のみに着目したプロットを図9に,U:Zr:(Fe+Cr)比に着目したプロットを図10に示した。

公開報告書[3]へのリンク先を表示した。

  • SEM/EDS点分析結果(表)
    • 表 4.2.3.1-1 1uPCV サンプル中のU 含有領域のFE-SEM/EDS 点分析結果
    • 表 4.2.3.1-2 1uPCV サンプル中のU 含有領域の分類とSTEM/EDS 及びTEM 観察領域
  • SEM/EDS観察結果(図)
    • 付図 2.1 1uPCV④サンプルからFE-SEM 観察台へのサンプル採取
    • 付図 2.2 1uPCV④サンプルのFE-SEM 像と各詳細観察箇所を含むエリア
    • 付図 2.3 1uPCV④サンプルの詳細観察①の範囲,及び詳細観察①中の拡大FE-SEM 像
    • 付図 2.4 1uPCV④サンプルの詳細観察②及び③の範囲,及び詳細観察③中の拡大FE-SEM像
    • 付図 2.5 1uPCV④サンプルのFE-SEM/EDS 観察(詳細観察③)
    • 付図 2.6 1uPCV④サンプルのFE-SEM/EDS 観察(詳細観察④)
    • 付図 2.7 1uPCV④サンプルのFE-SEM/EDS 観察(詳細観察⑤)
  • 各領域のSEM/EDS観察結果 2018年度測定分(図)
    • 図 4.2.3.1-1 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域05,領域06)
    • 図 4.2.3.1-2 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域07,領域08)
    • 図 4.2.3.1-3 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域09,領域10)
    • 図 4.2.3.1-4 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域11,領域12)
    • 図 4.2.3.1-5 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域13,領域14)
    • 図 4.2.3.1-6 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域15,領域16)
    • 図 4.2.3.1-7 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域17,領域18)
    • 図 4.2.3.1-8 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域19,領域20)
    • 図 4.2.3.1-9 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域21,領域22)
    • 図 4.2.3.1-10 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域23,領域24)
    • 図 4.2.3.1-11 1uPCV サンプル中のU 含有領域(領域25)
    • 図 4.2.3.1-12 1uPCV サンプル中のU 含有領域の点分析結果の2成分表示
    • 図 4.2.3.1-13 1uPCV サンプル中のU 含有領域の点分析結果の3成分表示


参考文献

  1. J. McNab and A. Sandborg:The EDAX EDITOR, Vol. 14, No. 1
  2. Jan Dellith et al, “Reinvestigation of the M Emission Spectrum of Uranium-92”, Microsc. Microanal. 17, 296–301, 2011
  3. 仲吉 彬,三次 岳志,佐々木 新治,前田 宏治.“平成29, 30年度福島第一原子力発電所の炉内付着物の分析; 平成28年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金」(燃料デブリの性状把握・分析技術の開発)”,JAEA-Data/Code 2021-011. https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068839


1PCV1701D-4(2022年度実施分)

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