「ヘッド取り外しのデザインエンジニアリングと安全評価」の版間の差分
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ヘッド取り外し工程に係るプラント側設備の整備と取り外し手法・ツールの設計は、ヘッド取り外しの2年以上前から着手されている。TMI-2は事故炉に固有の条件を考慮する必要があり、圧力容器周囲を除染し遮蔽物を設置しても、ヘッド取り外しの最初の工程となる内部調査(<span style="color:blue">'''Quick Look'''</span>)に向けてRCS系の圧力バウンダリーを開放するには、いくつかの準備作業が必要とされた[1]。臨界性評価、冷却水のホウ素濃度の調製、カバーガス中に含まれるKr-85の放出、事故以降堆積している水素ガスの制御(#放射線分解で発生し続けている)、デブリの自然発火可能性の評価、ヘッドやプレナム構造物などの重量物の取り扱い、作業員被ばくの抑制、などの解析・評価が行われた。また、実作業で用いられるツールや設備の作業信頼性と運転性を向上することが重要だった。ヘッドの取り外し作業中の安全性や線量影響の評価も必要だった。これらのエンジニアリング結果を受けて、既設の機器について現状調査と改修、あるいは新たな機器の設計製作が行われた。具体的には、Tripodのとりつけ方法の改良、Canal Plateのシール性の改良、Studs緩め治具の改良、等が行われた。高線量対策として、ヘッドを移動して貯蔵後ただちにIIFと遮蔽プラットフォームを設置し、上部プレナム構造物を水没させることとされた。IIFにはガスケットと締めつけ治具を取り付けて、その内部に水位が形成されるように設計された。また、プレナム構造物移動時に固定されるように設計された。 | ヘッド取り外し工程に係るプラント側設備の整備と取り外し手法・ツールの設計は、ヘッド取り外しの2年以上前から着手されている。TMI-2は事故炉に固有の条件を考慮する必要があり、圧力容器周囲を除染し遮蔽物を設置しても、ヘッド取り外しの最初の工程となる内部調査(<span style="color:blue">'''Quick Look'''</span>)に向けてRCS系の圧力バウンダリーを開放するには、いくつかの準備作業が必要とされた[1]。臨界性評価、冷却水のホウ素濃度の調製、カバーガス中に含まれるKr-85の放出、事故以降堆積している水素ガスの制御(#放射線分解で発生し続けている)、デブリの自然発火可能性の評価、ヘッドやプレナム構造物などの重量物の取り扱い、作業員被ばくの抑制、などの解析・評価が行われた。また、実作業で用いられるツールや設備の作業信頼性と運転性を向上することが重要だった。ヘッドの取り外し作業中の安全性や線量影響の評価も必要だった。これらのエンジニアリング結果を受けて、既設の機器について現状調査と改修、あるいは新たな機器の設計製作が行われた。具体的には、Tripodのとりつけ方法の改良、Canal Plateのシール性の改良、Studs緩め治具の改良、等が行われた。高線量対策として、ヘッドを移動して貯蔵後ただちにIIFと遮蔽プラットフォームを設置し、上部プレナム構造物を水没させることとされた。IIFにはガスケットと締めつけ治具を取り付けて、その内部に水位が形成されるように設計された。また、プレナム構造物移動時に固定されるように設計された。 | ||
デザインエンジニアリングは3個のグループに分かれて行われた。(1) | デザインエンジニアリングは3個のグループに分かれて行われた。 | ||
(1)作業安全性の評価と分析、許認可対応の文書作成を含む | |||
(2)プラント側の設備・機器の改良あるいは新設・調達 | |||
(3)ヘッド吊り上げ・貯蔵用のツールおよびサポート機器の機器・ツールの改良あるいは新規設計、機能確認 | |||
この項目では、その概要をまとめる。 | |||
== 作業安全性の評価と分析 == | |||
=== 臨界性評価 === | |||
[2,3] | |||
== 参考文献 == | |||
[1] P.R. Bengel, M.D. Smith, G.A. Estabrook, Appendix-A, Design Engineering Reactor vessel head Removal Activities, TMI-2 Reactor Vessel Head Removal, GEND-044, 1985. | |||
[2] J.R. Worsham III, Appendix-A, Methods and Procedures of Analysis for TMI-2 Criticality Calculations to Support Recovery Activities Through Head Removal, BAW-1738, 1982. | |||
[3] J.R. Worsham III, Addendum 1, Verification of Criticality Calculations for TMI-2 Recovery Operations through Head Removal, 1982. |
2025年1月14日 (火) 11:38時点における版
ヘッド取り外し工程に係るプラント側設備の整備と取り外し手法・ツールの設計は、ヘッド取り外しの2年以上前から着手されている。TMI-2は事故炉に固有の条件を考慮する必要があり、圧力容器周囲を除染し遮蔽物を設置しても、ヘッド取り外しの最初の工程となる内部調査(Quick Look)に向けてRCS系の圧力バウンダリーを開放するには、いくつかの準備作業が必要とされた[1]。臨界性評価、冷却水のホウ素濃度の調製、カバーガス中に含まれるKr-85の放出、事故以降堆積している水素ガスの制御(#放射線分解で発生し続けている)、デブリの自然発火可能性の評価、ヘッドやプレナム構造物などの重量物の取り扱い、作業員被ばくの抑制、などの解析・評価が行われた。また、実作業で用いられるツールや設備の作業信頼性と運転性を向上することが重要だった。ヘッドの取り外し作業中の安全性や線量影響の評価も必要だった。これらのエンジニアリング結果を受けて、既設の機器について現状調査と改修、あるいは新たな機器の設計製作が行われた。具体的には、Tripodのとりつけ方法の改良、Canal Plateのシール性の改良、Studs緩め治具の改良、等が行われた。高線量対策として、ヘッドを移動して貯蔵後ただちにIIFと遮蔽プラットフォームを設置し、上部プレナム構造物を水没させることとされた。IIFにはガスケットと締めつけ治具を取り付けて、その内部に水位が形成されるように設計された。また、プレナム構造物移動時に固定されるように設計された。
デザインエンジニアリングは3個のグループに分かれて行われた。
(1)作業安全性の評価と分析、許認可対応の文書作成を含む
(2)プラント側の設備・機器の改良あるいは新設・調達
(3)ヘッド吊り上げ・貯蔵用のツールおよびサポート機器の機器・ツールの改良あるいは新規設計、機能確認
この項目では、その概要をまとめる。
作業安全性の評価と分析
臨界性評価
[2,3]
参考文献
[1] P.R. Bengel, M.D. Smith, G.A. Estabrook, Appendix-A, Design Engineering Reactor vessel head Removal Activities, TMI-2 Reactor Vessel Head Removal, GEND-044, 1985.
[2] J.R. Worsham III, Appendix-A, Methods and Procedures of Analysis for TMI-2 Criticality Calculations to Support Recovery Activities Through Head Removal, BAW-1738, 1982.
[3] J.R. Worsham III, Addendum 1, Verification of Criticality Calculations for TMI-2 Recovery Operations through Head Removal, 1982.