「リードスクリューサンプルの分析と自然発火性試験」の版間の差分

提供:debrisWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
(ページの作成:「リードスクリューと支持管サンプルの分析  Quick Look調査の一環として、制御棒駆動用のリードスクリュー(図2)とその支持管の炉心に近い側を一部切り出し、その付着物について詳細な分析を行っている[3,4,5]。 リードスクリューの分析  ここから。。。 リードスクリュー支持管の分析  Quick Look調査の一環として、炉心中央のH8に装荷されて…」)
 
編集の要約なし
38行目: 38行目:
(1) ICP-AES分析
(1) ICP-AES分析


QuickLook 62.png
 
QuickLook 63.png
QuickLook 64.png
QuickLook 65.png
QuickLook 66.png
QuickLook 67.png
QuickLook 68.png
参考文献
参考文献
[1] Quick look inspection: Report on the insertion of a camera into the TMI-2 reactor vessel through a leadscrew opening, GEND-030, vol.1, 1983.
[1] Quick look inspection: Report on the insertion of a camera into the TMI-2 reactor vessel through a leadscrew opening, GEND-030, vol.1, 1983.

2024年12月5日 (木) 13:07時点における版

リードスクリューと支持管サンプルの分析  Quick Look調査の一環として、制御棒駆動用のリードスクリュー(図2)とその支持管の炉心に近い側を一部切り出し、その付着物について詳細な分析を行っている[3,4,5]。

リードスクリューの分析  ここから。。。

リードスクリュー支持管の分析  Quick Look調査の一環として、炉心中央のH8に装荷されていた制御棒駆動機構のリードスクリュー支持管の一部(約9cm長さ)を切り出し(図6)、バッテル研究所において付着物の分析が行われた[5]。分析結果は、リードスクリューの分析結果とおよそ整合していた。付着物ははがれやすいルース付着物(LAD: Loosely Adherent Deposit)とその下の固着した付着物(AD: Tightly Adherent Deposit)に分類された。AD中には金属粒状の粒子が含まれていた。付着物は、Fe,Ni,Crが主成分で、わずかにU,Zr,Snなどの炉心構成物質由来の成分と、Cs-134,Cs-137,Co-60,Sb-125,Ce-144,Sr-90などの核分裂生成物が含まれていた。金属粒状の物質はAg-In-Cdが主成分であった。これは、溶融・蒸発・凝縮プロセスで輸送されたと推定された。母材の微細組織観察では、結晶粒界に炭化物相の析出を観測し、事故時に510~732℃を経験したと推定された。

 分析項目としては、約9cm長のサンプル全体について、目視観察、写真撮影、軸方向γ線プロファイル、がそれぞれ実施された後に、サンプルが7個に輪切りされ、付着物の元素分析と微細組織分析、酸洗浄による除染係数評価、放射化学分析、母材の微細組織分析、が、それぞれ行われた。

参考:TMI-2サンプル分析で用いられた分析技術(リンク先)

目視観察、写真撮影、線量測定  図7に、付着物の全体像を示す。付着物はおよそ黒色で全体的に薄く分布していた。一部に黄色/オレンジ色の付着物があり、炉心に近い側では1mmサイズの金属粒状の物質が付着していた。βγ線量計の計測値は、接触で35R/hr、1m距離で70mR/hrであった。

γ線プロファイル  主にCs-134とCs-137が検出された。微量のCo-60,Sb-125,Ce-144が検出された。

除染係数の評価  5つの異なった溶液を調製し、輪切りにした7個のうち5個について、浸漬試験が行われた。浸漬前後での線量変化から除染係数が評価された。

浸出溶液1:イオン交換水 浸出溶液2:ホウ酸水(2500ppm-B)、pH:7.5(水酸化ナトリウムと界面活性剤で調製) 浸出溶液3:5wt%炭酸ナトリウム + 1wt%過酸化水素 浸出溶液4(2段階処理):Aステップでは、10%水酸化ナトリウム+3%硝酸カリウム溶液。Bステップでは、25g/Lシュウ酸と50g/Lクエン酸アンモニウムの溶液 浸出溶液5:10wt%硝酸 ; 0.1Mフッ酸  図8に、浸出溶液中のCs線量の時間変化を示す。浸出溶液1,2,3では、Csはほとんど溶出しなかった。浸出溶液4では、Aステップで水酸化ナトリウム+硝酸カリウム溶液中に3時間浸漬し、Bステップでシュウ酸+クエン酸アンモニウム溶液に浸漬させた。Aステップのデータの傾向から、もう少し浸漬時間をのばせば浸出量が増えたと推測される。Bステップでは、最初溶解度が増加するが、途中でサチる傾向が見える。浸出溶液4については、Aステップ単独試験、Bステップ単独試験、A/Bステップで浸漬時間を増やした試験が追加で実施されている。A、Bステップの単独試験では、いずれも溶出量がサチってくるが、2段階試験として行うことで、Csの約90%が除染された。浸出溶液5では、母材も一部溶融することで、25分以内に、Csのほぼ全量が溶出された。Csの溶出量をCsの残留量で割り、除染係数を評価すると、溶液1,2,3では約1,溶液4(2ステップ)では約8.8、溶液5では残留量は検出限界以下(除染係数∞)と計算された。

付着物の回収と溶解処理  付着物は、実機運転中に形成される表面酸化膜層の上に、およそLAD(ルース付着物)とAD(ハード付着物)として、層状に存在していた。この層状構造はリードスクリューサンプルでも観測された。LADは、輸送や取り扱い中に一部が剥がれ落ち、残りは、ステンレス製のブラシではぎ取った。ADはさらにかなやすりで削り取った。これらの操作により、リードスクリュー支持管の付着物を、OD-LAD(支持管外側のルース付着物)、ID-AD(同ハード付着物)、ID-LAD(支持管内側のルース付着物)、ID-AD(同ハード付着物)に4分割した。はぎ取ったサンプルは、硝酸+フッ酸にはほとんど溶解せず、ついで、炭酸ナトリウムによるアルカリ溶融を試みたが、これもうまくいかなかったので、溶融媒体をピロ硫酸カリウム(K2S2O7)に変えてアルカリ溶融が行われた。

参考:TMI-2サンプル分析で用いられた分析技術(リンク先)

化学分析  化学分析としては、ICP-AES、XRD、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis), SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)が用いられた。

(1) ICP-AES分析


参考文献 [1] Quick look inspection: Report on the insertion of a camera into the TMI-2 reactor vessel through a leadscrew opening, GEND-030, vol.1, 1983.

[2] S.M. Jensen, D.W. Akers, R.W. Garner, G.S. Roybal, Examination of the TMI-2 core distinct components, GEND-INF-082, 1987.

[3] K. Vinjamuri, D.W. Akers, R.R. Hobbins, PRELIMINARY REPORT: EXAMINATION OF H8 AND B8 LEADSCREWS FROM THREE MILE ISLAND UNIT 2 (TMI-2), EGG-TMI-6685,1985.

[4] K. Vinjamuri, D.W. Akers, R.R. Hobbins, EXAMINATION OF H8 AND B8 LEADSCREWS FROM THREE MILE ISLAND UNIT 2 (TMI-2), GEND-INF-052,1985.

[5] M.P. Failey, V. Pasupathi, M.P. Landow, M.J. Stenhouse, J. Ogden, R.S. Denning, Examination of the Leadscrew Support Tube from Three Mile Island Reactor Unit 2, GEND-INF-067, 1986.