燃料デブリ経年変化特性の推定技術開発 準備中

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燃料デブリの経年変化特性の推定技術の開発

    燃料デブリの経年変化特性の推定技術の開発は、資源エネルギー庁の廃炉・汚染水対策事業補助金により、2019-2020年度に、燃料デブリ性状把握のための分析・推定技術の開発事業の一環として、東芝エネルギーシステムズ株式会社等により実施された。以下に、事業の目的と公開されている事業成果を掲載する。

燃料デブリの経年変化特性の推定技術の開発の目的

    東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所(1F)では、核燃料が炉内構造物とともに溶融し、燃料デブリとして原子炉圧力容器(RPV)及び原子炉格納容器(PCV)内に存在していると考えられる。この燃料デブリを取り出すにあたり、取り出し作業中及び取り出し後の保管中において、燃料デブリの性状や長期間の安定性を把握しておくことが重要である。チェルノブイリ原子力発電所の事故においては、溶融炉心がコンクリート等の構造物を取り込み、溶融炉心-コンクリート反応が起こり、種々の燃料デブリが発生した。これらの燃料デブリの一部は、時間の経過とともに自己崩壊が進行し、事故から30年以上経過した現在では、燃料デブリの微粒子が生じることが報告されている。これらの微粒子が、気中への飛散、液中への流出により拡散することで汚染、被ばくの拡大が懸念される。一方、スリーマイルアイランド原子力発電所2号機(TMI-2)の事故において発生した燃料デブリは、事故後において、分析用の試料溶解を行うことも困難であったことが報告されている。TMI-2の燃料デブリは化学的に高い安定性を有していることが示されており、事故から30年以上経過した現在でも経年変化を生じず、塊状を維持している。これら2ケースの違いについて、どのような原因やメカニズムで燃料デブリの経年変化に有意な差が起きるのか明らかになっていない。1Fにおける燃料デブリ取り出し時の汚染・被ばく量の低減、閉じ込め性能、取り出し後の収納・移送・保管方法を検討するために、経年変化に起因する影響を把握することが重要である。そのため、燃料デブリの経年変化に起因する微粒子化や形態変化、水中への移行挙動等に関する知見を取得し、燃料デブリの長期的な経年変化挙動を予測し、燃料デブリの状態に応じてあらかじめ対策を講じる必要がある。本研究は、1Fの廃炉・汚染水対策に資する技術の開発を支援する事業を、中長期ロードマップ及び「2020年度廃炉研究開発計画」(廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議)に基づき行うことで、廃炉・汚染水対策を円滑に進めるとともに、わが国の科学技術の水準の向上を図ることを目的とする。 具体的には、1Fの燃料デブリが長期間おかれる環境下における経年変化の有無を明らかにし、変化が生じる場合はその様態や変化を予測し、燃料デブリ取り出しや移送・保管等への影響の有無の推定を行う。

燃料デブリの経年変化特性の推定技術の開発(東芝エネルギーシステムズ株式会社提案のプロジェクト、2019-2020年度実施)

【キーワード】燃料デブリの特性、経年変化、燃料デブリの分析、微粒子化、水中移行